| フェラーリの改良はすべて「レースで勝つ」「より速く走る」ためにある |
フェラーリがムジェッロにて開催したイベント、フェラーリ・フィナーリ・モンディアーリ(毎年10-11月に開催されるサーキットイベントの総括とファン感謝祭とを兼ねている)にて、「フェラーリ488チャレンジEVO」を公開。
同じ場ではFIAの定めるGT3クラスに参戦するための「2020フェラーリ488GT3 Evo」を発表していますが、この488”チャレンジ”EVOはフェラーリの開催するワンメイクレース用の車両となり、これまでの488チャレンジの発展(改良)版。
なお、フェラーリはレーシングカーにおいては、既存モデルの発展版に対し、ここ最近では「Evo」という呼称を与えることが多いようです(FXX K Evoなど)。
エアロダイナミクスは大幅向上、ダウンフォースは50%増しに
そして今回の488チャレンジはエアロダイナミクスの向上に主眼が置かれ、なんとダウンフォースは先代488チャレンジに比較してトータルでは50%も強化済み。
とくにフロント部が大きく変更され、効率性は(フロントだけで)30%改善している、とのことです。
参考までに下の画像がこれかでの488チャレンジですが、フロントバンパーの形状そのものが大きく変わり、先端中央が突き出る形となってその下にある「ロ」の字型インテークが変更を受け、下半分のデザインも変更に。※ここから入ったエアはブレーキ冷却のために使用される
そして下側から多くのエアを取り入れるのも「フェラーリ488GT3 Evo」同様の変更だと考えられます。
そのぶんバンパーサイドや下部にはエアロフリック(カナード)やウイングレットが追加され、基本的に「フロント中央からフロア下にエアを取り入れ、サイドでダウンフォースを稼ぐ」といった考え方を持っているようですね。
リアもやはりエアロダイナミクスの改善が図られ、(透明の)エンジンフードの後ろに段差が設けられて隙間からエアを取り込む構造に。
こちらはやはり先代488チャレンジですが、(ちょっとわかりにくいものの)エンジンフードの後ろには段差がないことが確認できます。
そして「隙間」から入ったエアはリアエンドへ向けて抜けることになりますが、このあたり「488ピスタ」「F8トリブート」同様の構造でもありますね。
加えてリアバンパーそのものの形状、リアバンパーサイドのダクトなども488ピスタとの共通点が見られ、フェラーリは絶え間なく改良を続けていること、一つのモデルに与えた改良はほかのモデルにも反映させていること、そしてその改良はデザインといった観点からではなく、「レースに勝つため」「より速く走るため」の改良である(すべて機能的に意味がある)こともわかります。
そのほか、画像では確認が難しいものの、ドアミラー下に小さなウイングが追加され(ダウンフォース獲得と、リアフェンダー上のダクトへと効率よく風を流すことが目的)、リアウイングのエンドプレート形状も変更に。
全般的にはフロントにかかるダウンフォースを増強することでフロントタイヤのグリップを向上させ、ターンインをより鋭く、そしてコーナー脱出時のアンダーステアを低減させているそうです。
見えない部分の変化も大きい
そしてフェラーリ488チャレンジEvoでは見えない部分の変化も大きく、電子制御デフ(E-diff3)、ABS、トラクションコントロールの制御もアップデート。
ドライブモードは4つのパターンが用意され、天候や路面状況にあわせて変更が可能です。
そのほか機能的な部分だと、カーボンセラミックブレーキも耐久性が向上しているようですね。
なお、タイヤはミシュランではなくピレリ指定で、開発に7ヶ月をかけて専用品が採用に(フロントは275/675-19、リヤでは315/705-19)。
インテリアについても変更点は多く、まずステアリングホイールのスイッチ配列が変更されたこと。
これは、ダッシュボード上に追加された後方確認用のディスプレイとともに、488GTEからのフィードバックだそう。
スイッチの配置は人間工学に基づいており、比較的快適そうに見えるシート(ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ、アヴェンタドールSV/SVJのシートより座り心地がよさそうだ・・・)を見るにつけ、レーシングカーといえども「ドライバーに負担を強いない」ということが重要視されているのでしょうね。
フェラーリはこの「488チャレンジEvo」について、車体そのものを販売するほか、既存の「488チャレンジ」に乗っているユーザーに対して「アップグレードパッケージ」を提供し、パーツの入れ替えによって488チャレンジEvoと同様の性能を発揮できるようにした、と発表しています。
なお、488チャレンジEvoならびにアップグレードパッケージの価格については未公表。
VIA:Ferrari