| ボクは「フェラーリとロレックスが売れなくなったら」世界が終わると考えている |
わかっていたことではあるが、プロサングエの人気は凄まじかった
さて、フェラーリが昨日発表したばかりの「同社初のクロスオーバー」プロサングエですが、今回自ら「受注を終了する」可能性について言及。
このプロサングエはお値段5630万円という、ロールス・ロイス・カリナンよりも高価なSUVであるものの、すでに生産予定台数の上限に近い受注が集まっており、これ以上の注文を受けることができないという状況に差し掛かっているようです。
なお、フェラーリはプロサングエについて「全生産台数の20%以内に留める」とコメントしており、2021年だとフェラーリは約1万台を販売しているので、この基準に合わせれば「年間2,000台」という計算。
そしてプロサングエが合計5年生産されれば(最近の傾向を見ると、それよりも短いだろう)、今後フェラーリの生産台数が年々増えることを考慮したとしても、5年で合計13,000台くらいしか作られないのかもしれません。
フェラーリはモデルごとに生産台数を制限している
今回「プロサングエの受注を締め切る」と語ったのはドクター・ノーことフェラーリのマーケティング部門にて最高責任者を務めるエンリコ・ガリエッラ氏ですが、同氏によれば「私たちはお客様を大切にしており、しかし需要がいかに多く存在したとしても、私たちは生産量を制限します。これは私たちのDNA、つまり極めて排他的であり続けるという創業者の使命と一致しています。そして、独占的で排他的であり続けるための唯一の方法は、需要と供給をコントロールすることなのです」。
ちなみにこのエンリコ・ガリエッラ氏はフェラーリの限定モデルを「誰に売るか」を判断するキーパーソンであり、そしてフェラーリの限定モデルについては生産台数よりも購入希望の方が遥かに多いので、エンリコ・ガリエッラ氏が「フェラーリにふさわしくない」と判断した人物に対しては遠慮なくNOを突きつけることで知られ、そこでついたニックネームが「(007映画のヴィランになぞらえ)ドクター・ノー(NO)」というわけですね。
実際にエンリコ・ガリエッラ氏は「私の場合、通常業務として、顧客にNOと言い続けなばならない。これはこの仕事のもっとも辛い部分でもある」とも語り、加えて「フェラーリの限定モデルは実際に生産されるよりも、遥かに多くの需要がある。選ばれた人々は”ギフト”を受け取るようなものだ」とも。
なお、フェラーリはデイトナSP3、812コンペティツォーネのように、明確に「限定モデル」と謳うもののほか、とくに限定だとはアナウンスしていない、いわゆるカタログモデルが存在します。
現在だとローマや296GTB、296GTSといったラインアップがこれに相当しますが、これらについても「需要があるだけ」いくらでも生産するわけではなく、公表はしていないものの生産台数を制限していると考えてよく、よってその「制限(上限と言うべきか)に達した場合」受注を打ち切るわけですね。
実際のところ、ローマは発売後1年半ほどで受注が締め切られ、296GTBもそろそろ受注が終了するのではと言われていますが、これは「いつでも買える」国産車や一般の輸入車の購入に慣れているとなかなか理解が難しい状況かもしれません(ただしランドクルーザーだと、マイナーチェンジまでの生産予定台数の受注を受けたために受注が一時停止されており、今回のフェラーリに近い事情でもある)。
なお、こういった「生産台数を制限する」のには、工場のキャパシティの問題もあるかとは思われ、しかし何より「希少性を保つこと」というフェラーリの基本方針が大きく影響しているものと考えてよく、それは「今日のフェラーリが、未来のクラシックフェラーリとなるのである」というフェラーリの考え方からも読み取ることが可能です。
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とにかくフェラーリ・プロサングエを注文するならば急いだほうが良さそう
そしてエンリコ・ガリエッラ氏によれば「プロサングエは、2018年9月から予約を受けていたが、発表後に爆発的に受注が増えた」といい、このままではキャパシティを超えるリスクがあるとして注文受付の終了を検討していて、それはもしかすると「すぐ」起こり得るかもしれません。
なお、プロサングエの購入条件というか購入資格については「フェラーリのVIP顧客」だとされており、今回エンリコ・ガリエッラ氏はそれを認める形で「プロサングエが、フェラーリにとっての新しい顧客に対する高い訴求力を持ち、多くの反響を得ているのは事実だが、プロサングエの納車を受けることができるのはフェラーリの既存顧客だけである」ともコメント。
そしてこういったフェラーリの姿勢については「公平ではない」「購入機会をオープンにすべきである」という声もあるかと思いますが、エンリコ・ガリエッラ氏はそういった意見を封じ込めるだけの説得力をもってこう語ります。
「フェラーリのお客様は皆、プロサングエを欲しがっています。もちろんフェラーリのお客様以外の方々も。ただ、フェラーリを今日の姿にまでしてくれたのはフェラーリの顧客なのですから、我々は顧客に報いなければなりません」。
これはまったくもって正論であり、そう考えると、プロサングエの予約、そして購入権が「上位顧客から」与えられてゆくのは至極当然のことでもありますね。
参考までにですが、フェラーリの株価(ぼくはフェラーリの株をけっこう持っている)はプロサングエ発表に際してちょっとだけ上昇。
ただしこれはその前の日の急落に対するリバウンドの範囲だとも考えることができ、プロサングエに反応したわけではないのかもしれません(プロサングエの発表についてはとうに織り込み済みだと考えていい)。
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参照:Auto News