| V12エンジン搭載、観音開き、そして価格などフェラーリ・プロサングエはロールス・ロイス・カリナンに近い要素を持っている |
なおフェラーリ・プロサングエの購入条件はとんでもなく厳しそう
さて、フェラーリは「初」となるSUV、プロサングエを発表していますが、その価格はなんと本国イタリアでは39万ユーロ(5630万円)に設定されているといい、あまりの高額ぶりに驚かされます。
ちなみにフェラーリはプロサングエについて「SUVではない」と断言しており、「SUVではなくフェラーリ」と断言(プロサングエとは、イタリア語で「サラブレッド」という意味)。
参考までにポルシェがカイエンをデビューさせた際にも「SUVではなくスポーツカー」と押し通していましたが、誰がどう見ても(カイエンは)SUVだったので、その後カイエン=SUVというのが一般的になってしまい、今ではポルシェ自身もカイエンを「SUV」と認めるまでとなっていますね。
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SUVのイメージも時代とともに代わりつつある
もう一つ参考までに、ランボルギーニはウルスを発売する際、ウルスを「SUV」ただし「スーパー」を付けてSSUVと表記し、SUVであるということを真っ向から受け入れています。
これはランボルギーニの「SUVだろうが何だろうが、ランボルギーニはランボルギーニ。ランボルギーニでしかなしえないパフォーマンスを見るがいい」という自信の現れなのだと考えていますが、一昔前に比べると、今は「スポーツカー以上の出力や加速性能を持つSUV」がザラに存在し、かつてのSUVとはイメージが全く変わってきているのもまた事実。
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同様の例だとEVが挙げられ、これも一昔前までは「小さくて遅く、単なる移動手段であって面白くもなんともないクルマ」だったものが、最近だと「加速」「豪華さ」「ガソリン車にはない新しい価値観」を持つ選択肢が多く登場し、EVに対するイメージがネガティブではなくなっているようにも思います。
それはさておき、カイエンが登場した20年前はもちろん、10年前ですらフェラーリがSUVを発売するどころか、ランボルギーニやアストンマーティンが時速100キロを超えるSUVを発売するなど(そしてSUVがそれぞれのブランドの販売の半数以上を占めるとは)夢にも思わず、そう考えるとこれから先は何が起きても不思議ではないのかもしれません。
フェラーリ・プロサングエを現時点でのライバルと比較してみた
そこでフェラーリ・プロサングエを現時点でのライバルと比較してみたいと思いますが、ここでぼくがライバルとして挙げるのはランボルギーニ・ウルス・ペルフォルマンテ、アストンマーティンDBX 707、ベントレー・ベンテイガ・スピード、ポルシェ・カイエン・ターボGT、ロールス・ロイス・カリナン。
ちなみに(プロサングエを除くと)これらにはすべて試乗済みで(ただしウルスはペルフォルマンテではなく前期型、カイエンだとターボGTではなくターボ・クーペ)、それぞれの雰囲気についても把握済みです。
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そこでざっとそれぞれの数値を出してみたのですが、パフォーマンス的に真っ向からぶつかるのはウルス・ペルフォルマンテ、DBX707、カイエン・ターボGTであり、数値上だとDBX707のほうがなんとプロサングエよりも「上」。
ただ、フェラーリ・プロサングエはこれらの中で唯一のトランスアクスルレイアウトを採用していて、それに起因し非常に理想的な重量配分(フロント49%、リア51%)を持つという排他性も。※フロントにV12エンジンを積んでいることを考慮すると驚異的でもある
そして低い全高、コンパクトな全長を考慮するに、おそらくドライビングダイナミクスはフェラーリ・プロサングエの圧勝と考えていいかもしれません。
車種 | エンジン | 出力 | 0-100km/h加速 | 最高速 | ボディサイズ(mm) | 価格 |
フェラーリ プロサングエ | 6.5L V12 自然吸気 | 725馬力 | 3.3秒 | 310km/h | 全長:4,973 全幅:2,028 全高:1,589 | 5630万円 (本国価格) |
ランボルギーニ ウルス ペルフォルマンテ | 4L V8 ツインターボ | 666馬力 | 3.3秒 | 306km/h | 全長:5,137 全幅:2,026 全高:1,618 | 3600万円 (北米価格) |
アストンマーティン DBX707 | 4L V8 ツインターボ | 707馬力 | 3.1秒 | 310km/h | 全長:5,039 全幅:1,998 全高:1,680 | 3119万円 |
ベントレー・ベンテイガ スピード | 6L W12 ツインターボ | 635馬力 | 3.9秒 | 306km/h | 全長:5,114 全幅:1,995 全高:1,728 | 3410万円 |
ポルシェ・カイエン・ターボGT | 4L V8 ツインターボ | 640馬力 | 3.3秒 | 300km/h | 全長:4,940 全幅:1,995 全高:1,635 | 2851万円 |
ロールス・ロイス・カリナン | 6.7L V12 ツインターボ | 571馬力 | 5.2秒 | 250km/h | 全長:5,340 全幅:2,000 全高:1,835 | 4258万円 |
ただしボクはフェラーリ・プロサングエのライバルはロールス・ロイス・カリナンだと思う
しかしながらぼくが思うのは、フェラーリ・プロサングエのライバルは、ロールス・ロイス・カリナンだろうと考えており、その理由は価格が近いこと(驚くべきことに、プロサングエのほうがカリナンよりも高価だ・・・)、そしてV12エンジンを搭載していること(おまけに両方とも、これらの中では他にない”観音開き”ドアを持っている)。
フェラーリはプロサングエに「優れた運動性能」を与えてはいるものの、それはフェラーリという名を与えるに際しての最低限の条件であって目的ではなく、しかし今回フェラーリがプロサングエに求めたもの(目的)は「ラグジュアリーさ」なのではないかとも。
実際のところプロサングエのインテリアはこれまでのフェラーリとは大きく異なり、そしてスポーツよりも豪華さを意識したように思われ、フェラーリ自信も「洗練」「高級」「エレガント」という言葉を使用しています。
そう考えると、根本からして「スポーツ性を高めることを目的とした」ウルス・ペルフォルマンテ、DBX707、カイエン・ターボGTとプロサングエとは開発目的が異なり、そしてプロサングエと同じ方向性を持つのはやはりロールス・ロイス・カリナンだろうという結論となるわけですね。
フェラーリ・プロサングエの購入条件は?
そしてよく聞かれるので、ここで再度フェラーリ・プロサングエの購入条件について述べておくと、現時点では「フェラーリのVIP顧客のみ」。
正確な条件はわかりませんが、フェラーリのスペシャルモデル、たとえば488ピスタや812コンペティツォーネの購入をオファーされるレベルでないと難しいかもしれません。
ちなみにフェラーリはプロサングエについて限定だとはコメントしていないものの、生産台数は全体の20%にとどめると公言しており、となると年間2,000台くらいが上限だと考えて良さそう。
すでにプロサングエの予約(受注)は2,000台を突破したと言われているので、仮に今から注文したとしても1年以上先の生産になることは間違いないということですね。
ただ、このプロサングエの販売状況について、上位顧客から順に発注する権利が拡大されるとして、その人気が一段落すればフェラーリの購入履歴がない人にもオーダーブックが開放される日が来るかもしれませんが、それがいつのことになるのかは現時点では全く不明です。
現時点でのプロサングエの国内価格については未発表ではあるものの、本国だとお値段39万ユーロ(約5630万円)に設定されており、仮に同等の価格で国内にて発売されたとしても、相応のオプション抜きでは購入できず、支払総額は相当な額になるものと思われます。
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