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ランボルギーニが画期的技術「アクティブ・ホイールキャリア」を市販車へ導入。可変キャンバー&トー調整で走行性能が劇的進化、後輪駆動版テメラリオに採用か

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| ランボルギーニが次世代足回り「アクティブ・ホイールキャリア」を市販化へ |

ランボルギーニの「後輪駆動車」に対する考え方、採用される技術は世代ごとに進化している

ランボルギーニは2023年に新技術「アクティブ・ホイールキャリア」をテストしていたことが報じられましたが、2025年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにてランボルギーニ技術者がカーメディアに対して語った内容から、この技術の市販化が間近であることが明らかに。

このシステムは、走行中にリアルタイムでキャンバー角とトー角を調整するという画期的なもので、トー角は最大±6.6度、キャンバー角は+2.5度〜−5.5度まで電動モーターで調整を行うことが可能となり、しかも同時に60度/秒という速度で動作します(ポルシェも同様の、しかしやや異なる技術を開発中)。

ランボルギーニが「走行中にキャンバー角とトー角」を連続可変させるデバイスをテスト中。初期検証段階でもニュルを5秒速く走ることができ、ウラカン後継モデルに搭載か
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実際の効果は?「ラップタイムが最大5秒短縮」

このアクティブ・ホイールキャリアの最大の利点は、タイヤ摩耗を抑えつつコーナリング性能を飛躍的に向上させること。

従来だとサスペンション設定はタイヤ寿命とトレードオフの関係にあったものの、この技術ならそのジレンマを解消でき、報道によると、ポルシェのナードテストコースでラップタイムが5秒近く短縮されたうえ、ランボルギーニのファクトリードライバーによるテストでも2.8秒の短縮が記録されているのだそう。

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リア駆動車での市販が前提、現行モデルとの適合は?

ランボルギーニのCTO(最高技術責任者)であるルーベン・モール氏によれば、「この技術はすでに生産準備が整っており、リアホイール(後輪)駆動車での導入が前提」。

ただし、現在のランボルギーニ市販車はすべてAWD(全輪駆動)であるため、導入モデルについては未定であり、しかし候補の一つとして挙がっているのが、新型「テメラリオ」の派生モデル。

レーシング仕様の「テメラリオGT3」ではフロントモーター(規定によりリアモーターも)を省略していることから、現実的に「テメラリオの後輪駆動車」を提供することは可能であり、「テメラリオの後輪駆動モデル」には大きな期待がかかります。

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ランボルギーニの「後輪駆動車」の位置づけは?

なお、ランボルギーニは「ガヤルド」「ウラカン」にて後輪駆動車を提供してきたという経緯を持ち、ガヤルドであれば当初は「LP550-2 バレンチノ・バルボーニ」にてマニュアル・トランスミッションのみの選択肢として提供され、ウラカンEVO世代では「ドリフト可能なウラカン」という触れ込みにて登場しています。

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つまるところ、ランボルギーニの後輪駆動モデルは「操る楽しみ」を前提としていたわけですが、ここで風向きを変えたのが「ウラカンSTO」。

ウラカンSTOは後輪駆動を導入しつつもの「モータースポーツ(とくにウラカンのワンメイクレースであるスーパートロフェオ、そしてGT3やGTDカテゴリ)にインスパイアされた」スペックを持っており、「ほぼ公道を走るレーシングカー」。

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ここでランボルギーニの後輪駆動モデルが「シリアス路線」にスイッチすることとなったわけですが、この流れにて「テメラリオの後輪駆動バージョン」についても、操る楽しみやドリフトよりも、「自らの腕を頼りに、サーキットでのタイムを1秒でも削る」ファイターに向けたクルマとなるのかもしれません。

そしてここかから想像できるのは、テメラリオの後輪駆動バージョンは「4WDバージョンから引き算をし簡素化した廉価版ではないであろう」ということで、4WD版とは異なる目的のため異なる仕様が与えられた、また別の方向性における究極のスーパーカーとなるのかもしれません。

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今後は「ドライバーの感情」に応じたセッティングも?

ルーヴェン・モール氏は「これはまだ始まりに過ぎない技術」とし、将来的には以下のような進化を想定していると語っていて、つまり、クルマがドライバーを“理解する”時代の到来を見据えているという考えも示唆していますが、ウラカンEVOにおいても、クルマがドライバーの公道を「予見する」という表現をしきりに用いていたため、この方向性は今後さらに強化されるものと思われます。

  • ドライバーの好みに応じてセッティングを変更
  • 運転スタイルに適応するインテリジェント制御
  • ドライバーの感情反応に応じた調整
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 今後の市販化は?AWD対応は未定だが期待大

現在の技術では、リア駆動の方がシステムのポテンシャルを最大限に活かせるとのことですが、将来的なAWD対応も検討されている可能性も。

特に近年のスーパーカーは出力が非常に高いため、AWDでないとトラクションを活かしきれない場面もあるのが実情です。

ただし、1,000馬力のコルベットがリア駆動で市販されている例もあり、ランボルギーニも新しいテクノロジーで次の一手を打つ可能性が十分に考えられ、「テメラリオRWD」は新しいランボルギーニの考え方、そして技術を示す一台になるのかもしれません。

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参照:Car and Driver

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