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スバルが北米にて約90万台の巨大リコール!なぜスバルは「数十万台規模」の大型リコールが多いのか?

2021/04/22

スバルのキー

| スバルは過去にも10万台以上の規模をもつリコールを複数回出している |

さて、スバルが米国において、約877,000台のリコールを行うと発表。

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA=National Highway Traffic Safety Administration)へと届け出られた内容を見ると、大きく分けて2件に分類され、ひとつは「リヤスタビライザ」、もうひとつは「ECU」。

内容と対策としては、先日に日本でも届け出られた「24万台のリコール」と同一で、これを北米でも行うということになりそうです(このほか、全世界にて実施することになると思う)。

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今回のリコールにおける対象車種、内容はこうなっている

なお、北米において「リヤスタビライザ」の対象となるのは2018-2019年モデルのクロストレック(製造は2017年5月9日~2019年5月29日)、2019年式クロストレック・ハイブリッド(2018年9月11日~2019年5月7日)、2019年式フォレスター(製造は2048年7月4日~2019年6月3日)。※これら合計で40万8271台

参考までに、日本の国土交通省へと届け出られた内容は下記のとおりです。

リヤスタビライザのブラケットと車体の締結面において、使用過程でボルトが緩み、当該取り付け部にガタが生じて異音が発生することがある。そのまま使用を続けるとボルトが脱落する可能性があり、最悪の場合ブラケットが周辺部品を傷つけるおそれがある。

国土交通省
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2件めのリコールの対象は2016年7月1日~2019年6月17日までに製造されたインプレッサ、そして2017年5月9日~2019年5月8日までに製造されたクロストレック(合計46万6205台)。

日本にて届け出られた内容は下記のとおりとなります。

エンジンコントロールユニットの制御プログラムにおいて、エンジンが停止する際の制御が不適切であったため、イグニッションコイルへ必要以上に通電することがある。そのため、イグニッションコイルの内部温度が上昇し回路がショート、ヒューズ切れを起こし、最悪の場合、走行中エンジンが停止するおそれがある。この場合において、既に長通電を経験したイグニッションコイルでは、対策プログラムに書き換えても、内部ダメージの蓄積により不具合に至るおそれがある。

国土交通省

なぜスバルは大量リコールが出るのか?

なお、これまでに例から見るに、スバルは比較的台数の多いリコールが見られるようにも。

この理由については定かではないものの、ぼくの考えるところでは「スバルは車種構成が少なく、共有する設計やパーツが多いから」。

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スバルの車種は他の自動車メーカーに比べて非常に少なく、逆の視点から見ると「少ない車種で、1台あたりの売上を最大化している」ということになります。

世界的に見てニッチな「ワゴン」に特化し、その狭い市場の中で王者になるというのがスバルの選択であり、さらには技術的にも「最新」を求めず、熟成されたテクノロジーを使用してコストを下げるというのがスバルの経営方針です。

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先端技術の研究開発にはお金がかかり、となるとどうしても車両価格も高くなってしまい、結果的「売れなくなる」ことが目に見えているので、他社と競合するような技術を開発せず、しかしそれが必要になれば「他社から買う(供給を受ける)」という方針を貫いているわけですね。

さらには少ない販売台数の中でも利益を最大化できるようにコストを切り詰めており、その結果として「同じエンジンやトランスミッション、その他のパーツを使い続ける」傾向も。

スバルのキー
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よって、スバルのクルマはいずれも(BRZを除くと)共通するプラットフォームやエンジン含むドライブトレーンを持ち、多くのパーツを共有することになっているわけですが、この「共有化」はある意味だと大きなリスクをはらんでいて、たとえば今回のように「なんらかのパーツに不具合が出た場合」、共有しているすべての車種に対し、そして使用している期間が長ければ長いほど過去にさかのぼってリコールを実施するハメに(リヤスタビライザだと、スバル・グローバル・プラットフォーム=SGPに起因するように見え、採用した初期にまでさかのぼっているようだ)。

反面、トヨタのように「多種多様なクルマを備え、車種ごとに構造やパワートレーンが全く異なる」場合は、そのクルマになんらかのリコールが出たとしても、リコールの範囲はさほど大きくない、ということになるのかもしれません。

ボクはスバルのビジネススタイルが大好きだ

なお、ぼくは(スバル車は買ったことがないけど)スバルのビジネススタイルが大好きで、「他社と競合しない道を選ぶ」「自身の強みに磨きをかける」「不要なことはしない」「世の中の一過性の流行にまどわされない」という、自身をよく把握して取捨選択をしっかり行い、地に足をつけているところに魅力を感じているわけですね。

ただ、多くの自動車メーカーは「サステイナブル」「SDGs」「CASE」という、具体的になにをすればいいのかわからない、しかし「なんとなくそれらに取り組まねばならない的な風潮」に流されてしまって無駄にお金を使ってしまっているように見えることも。

もちろんこれらについては取り組むべき課題だとは認識しており、トヨタのようにお金のある企業はここに費用を投じるべき(それが社会的責務だとも言える)で、しかしトヨタほどの規模を持たない会社にとってそれは「最優先事項」ではない、とも考えています。

参考までに、マツダは企業スケールが大きくないにもかかわらず、「サステイナブル」「SDGs」「CASE」に着手してしまい、その利益を圧迫してしまった端的な例かもしれません。

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よって、「仮に」マツダがそういった”先端分野”に投資を行わず、デザインのみを武器に、今の車両価格よりも50万円くらい安い設定でクルマを売り出せば、今とは違った状況になってい可能性もあるのだろう、と考えています。

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