| 今回の経営計画「The Arc」は今までの計画に比較し広範にわたり、かつ現実味のある内容に |
さらには未来というよりは「現在の自動車市場」を的確に捉えた内容となっている
さて、日産が「価値・競争力・収益性を向上させる」という経営計画”The Arc(アーク)”を発表。
その内容は非常に多岐にわたっており、日産による要約は以下のとおりです。
日産の経営計画 The Arcの要約
- 2026年度までに2023年度比100万台の販売増と営業利益率6%以上を目指す
- 2026年度までに16車種の電動車両を含む30車種の新型車を投入
- 2026年度までに内燃機関(ICE)車の乗用車ラインナップの60%を刷新
- EVの競争力を向上させるため、次世代EVのコストを30%削減し、2030年度までにICE車と同等のコストを実現
- 日産独自のファミリー開発でEVの開発コストを大幅に削減し、同コンセプトで開発したEVは2027年度より生産開始
- 戦略的パートナーシップを技術、商品ポートフォリオ、ソフトウェアサービスの分野で拡大
- 配当と自社株買いで株主総還元率30%を目指す
- 2030年度までに新規ビジネスにより最大2.5兆円の売上の可能性を見込む
日産「The Arc」はこんな計画
そこでこのThe Arcを掘り下げてみると、日産は今後3年間で30モデルを投入しラインナップを一新しますが、このうちハイブリッド車と電気自動車は16台のみで、残りの14台はガソリン車。
日産が公開した動画ではその30車種のうち25車種までが映っており、様々なボディ形状そしてデザインを持つこともわかります。
ヘッドライトとテールランプにはいくつかのパターンがあり、しかし基本的には「横長」、そしてVモーショングリルの発展形といえる縦型のヘッドライト、それに呼応するかのように両端が縦型となったテールランプなど多種多様。
日産は30車種のラインナップについては口を閉ざしているものの、走り抜ける25モデルの大半はクロスオーバーとSUVに集中しているように見え、そのほか次期マーチ(マイクラ)、そして特定地域向けと思われるピックアップトラックの姿も。
なお、日産は今回の発表にて「地域別の」方針についても公開しており、5台の新しいSUVを中東に、さらに2台をアフリカに投入するなど様々な戦略についても言及しています。
加えてガソリンエンジン搭載車の強化についても触れていて、これは先にメルセデス・ベンツほか数社が示したのと同じ戦略ですね。
一方でEVの拡充についても言及し、あわせてトヨタ同様のマルチパワートレーン戦略の採用についてもコメント。
そしてEV普及の要となる「コスト」についてはモジュール化で対応。
日本国内ではポートフォリオの80%を刷新して5つのまったく新しいモデルを発売し、ハイブリッドとEVがラインナップの70%を占めるという計画に触れたほか、中国ではハイブリッド車とEVが8台登場するものの、そのうち日産のバッジが付くのは”半分(残りは合弁企業の独自ブランドから発売)”となり、世界的に見ると電動車両は2026年から2027年までにモデル構成の40%を占め、2020年代末までに60%に増加するという予測についても言及することに。
他にも、日産は現行のアリアと比較してEV生産コストを30パーセント削減し、2030年までにICEとEVのコスト同等に達したいと考えていること、充電速度が50パーセント向上したリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト(NCM)バッテリーの開発、加えて軽自動車「サクラEV」に比べて3割のコスト削減を達成できるというリン酸鉄リチウム(LFP)電池の開発についても触れ、もちろんも多くの人が”バッテリーにおける聖杯”と考えている全固体電池(ソリッドステートバッテリー)の開発を進めていることにも言及しています。
-
日産が2028年にソリッドステートバッテリー(全固体電池)実用化を行うと改めて明言!「この分野において、我々には明確な優位性がある」
| ソリッドステートバッテリーの実用化は多くの企業が目指すところだが、その困難さに撤退した場合も報じられている | 一部では「まだまだ10年は実用化できない」とする向きも さて、日産は2022年に「今 ...
続きを見る
日産は次世代スカイラインを準備中?
そして今回の動画の中で「チラっと」登場したのが(唯一、丸いテールランプを持つ)次世代スカイラインっぽいクルマ。
動画でははっきりと確認できないものの、ファストバックスタイルを持つクーペのようにも見え、しかしセダンよりも車高が高く、SUVよりも車高が低いように見えるので、「クラウン・クロスオーバー」のようなクルマとなるのかもしれません。
なお、このボディ形状はクラウン・クロスオーバーのみならずプジョー408、シトロエンC5X、さらにはこれから発売されるオペル・マンタやランチア・ガンマなどが採用するもので、ミッドサイズサルーンのひとつの進化系だとも考えられます。
加えてですが、フロントから見るとグリルの存在が確認できず、よってこれは「電気自動車」と判断することも可能であり、そしてこれが「ピュアエレクトリック、そしてクロスオーバーボディを持つスカイライン」だとすると、現行スカイラインとの置き換えなのか、それとも追加車種になるのかという疑問も湧いてきます。
ただし噂では「今年後半にピュアエレクトリックモデルへとフルモデルチェンジを行う」可能性も示唆されており、もう少しすれば様々な事実が明らかになるのかもしれません。
日産が経営計画について触れる動画はこちら
あわせて読みたい、日産関連投稿
-
日産が新型キックスを発表、デザインイメージは「スニーカー」。完全新設計によってデザイン、装備、機能が一気に進化しその魅力を大きく高める
| 新型キックスは「南米専用」から「ワールドワイドなプレーヤーへ」 | 世界中の顧客を納得させることができるだけのデザインそして装備や機能を備える さて、日産がフルモデルチェンジ版となる新型キックスを ...
続きを見る
-
テールライト大きすぎ・・・。デイタイムランプは「竹林」イメージ、テールランプには300個のLEDを使用するなど「光」にこだわった新型インフィニティQX80発表
| テールランプがどんどんスリムになってゆく昨今の高級車の中において、このインフィニティQX80のテールランプは印象的である | 新しいインフィニティは様々なシーンにおいて「日本推し」 さて、インフィ ...
続きを見る
-
日産がR35 GT-R「2025年モデル」発表。2007年発売当時に比較してベースモデルの価格は「倍」、そしてGT-R NISMOではついに3000万円オーバーへ
| 一部ではこの2025年モデルをもってR35GT-Rの販売が終了すると言われているが | 次期「R36」GT-Rについては様々な噂があるものの、まだその方向性が決定していない、とも さて、日産が20 ...
続きを見る
参照:NISSAN