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日産が将来のEV生産に向け「ギガキャスト」導入を発表、加えて2028年に稼働する全固体電池(ソリッドステートバッテリー)パイロット生産設備を公開

日産
Nissan

| 日産は長期計画、そして中期計画を組み合わせ、EVの生産コスト引き下げ、そして市場浸透を図る |

とくにソリッドステートバッテリーの実用化が「可能になるかどうか」には注目が集まる

さて、日産がトヨタに続きギガキャスト技術を導入する、と発表。

この「ギガキャスト」はテスラがモデルYの生産の際に導入し一躍注目を集めたもので、従来だと「何十個もの細かいパーツを鋳造し、それを溶接してクルマのフレームを組み立てていた」ものの、ギガキャストではそれら「一体化したパーツ」を一度に成形してしまうという技術です。

もちろん様々な課題はありますが、EVのように「まず製造コストを引き下げることが最優先」だとされるクルマにおいてはメリットのほうが大きく、よっていくつかの自動車メーカー(トヨタの他にフォルクスワーゲン、ヒョンデ、フォード)がこの生産方法の採用に踏み切っているわけですね。

参考までに、どんな「課題」があるのかというと、一度に大きなパーツを鋳造するため、そのための金型が大きく高価であり、そして広い面積に渡り高い精度が要求されること、大きな部品の反りや亀裂の可能性を排除しなくてはならないこと(要は製造品質面で多大な注意を払う必要がある)、一方で消費者側としては、今までのように「細かいパーツに分かれてクルマが製造されていないので」ちょっとした破損でもパーツ交換ができなかったり多大な修理費用が要求されること。

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日産はギガキャストによってEVの生産コストを10%削減

なお、日産はこのギガキャストの導入により(もちろんその他のコストカットもあわせて)EVの生産コストを10%削減するという目標を持っており、2030年までにEVの価格をガソリン車と同等にまで引き下げる意向を示しています。

日産は先日、新しい中期計画「The Arc」を発表していますが、その中では2027年までに30ものニューモデルを導入することにも言及していて、よってこれらのうちいくつか、とくに普及価格帯のEVについてはこのギガキャストを使用した車体を持つことになるのかもしれません。

上述の通り、ギガキャストについては品質面での管理という問題が存在するものの、日産は「ゼロからスタートするわけではない」と述べ、「当社は10年以上、栃木工場でフロントエアコンの構造部品に鋳造板を使用しており、自動車構造の鋳造にはかなりの経験があります」とも。

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日産はソリッドステートバッテリー(全固体電池)にも注力

さらに日産はソリッドステートバッテリー(全固体電池)の実用化についても触れており、2028年度にパイロット生産を開始するためのラインを公開しています(ただし今のところ、製造設備はまだ見られず、だだっ広い敷地内にラックが置かれているだけである)。

現在ソリッドステートバッテリーに関しての対応は自動車メーカー(と提携するバッテリーメーカー)各社によって分かれていて、一部では「どうしても100%の安全性を担保できない」として開発を中止する会社もあり、また実用化は当面先だと見て別のバッテリー技術に注力する場合、はたまたソリッドステートバッテリーこそが未来だと信じて多額の研究開発費を投じるケースなど多種多様。

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今のところBMW、トヨタ、日産がソリッドステートバッテリーの実用化に近いとされ、その中でもとくに日産は具体的な生産開始時期や設備を公開している会社のひとつです。

日産は今回発表した「ソリッドステートバッテリーの生産ライン」により、従来比で2倍ものエネルギー密度を持ち、そして大幅な充電時間の短縮が可能となる革新的な全固体電池の製造を目指していますが、当面は製造コストが非常に高いレベルに留まると見られ、こちらは(ギガキャストとは逆に)ハイパーフォーマンスカーや高価格帯のクルマに用いられることになりそうですね。※日産は長期的な全固体電池のコスト低減についても触れている

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参照:NISSAN

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