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トヨタが7300億円を投資しバッテリーの増産を行うと発表!ただしコメントを見るとEVではなくハイブリッド用のバッテリー生産を拡充するもよう

トヨタが7300億円を投資しバッテリーの増産を行うと発表!ただしコメントを見るとEVではなくハイブリッド用のバッテリー生産を拡充するもよう

| トヨタは多様なライフスタイルに対応するため「マルチパワートレーン」を選択 |

あくまでもEV主流という流れには迎合しないようだ

さて、つい昨日はホンダがLGエナジーソリューションとの合弁会社を設立し、44億ドルの投資額をもってアメリカへバッテリー工場を建設すると発表したばかりですが、今回はトヨタ自動車が「日本とアメリカにて、56億ドル(約7300億円)を投資し、バッテリーの増産を行う」と公表。

今回のリリースによれば、日本だとプライムプラネットエナジー&ソリューションズの姫路工場およびトヨタの工場・所有地に合計約4,000億円、アメリカだとToyota Battery Manufacturing, North Carolina(Toyota Motor North America, Inc. 90%、豊田通商株式会社 10%出資)に約3,250億円を新たに投資し、車載用電池生産を増強する、とのこと。※おそらくですが、これら工場ではもともとハイブリッド車用バッテリーを生産しており、その生産量を「拡大」するということなのだと思われる

よってホンダやGM、テスラ、フォルクスワーゲンのように「新しくバッテリー工場を建設する」わけではなく、しかし生産増強によって見込まれるのは(フォルクスワーゲンやホンダの新規工場建設によって生産されるのと同じ)40GWhだとアナウンスされています。

ホンダがLGとの合弁にて北米にバッテリー工場建設と発表。このバッテリーは北米で生産されるEVのみに搭載され、ホンダはあくまでも「現地調達」にこだわるようだ
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トヨタは「マルチパワートレーン」を強調

なお、今回の発表にてトヨタが強調しているのは「あらゆる国と地域の様々なお客様のニーズに、マルチパワートレーンで柔軟に対応し、できる限り多くの選択肢を提供するために実施する」ということ。

何のことかちょっとわかりにくいかと思いますが、まずトヨタは「EVオンリーのラインアップ」構築に反対しており、これはEV普及によって様々な雇用が失われるという産業的側面、そもそも消費者が皆EVを欲しがっているわけではないという販売的側面から。

産業的側面はさておき、販売的側面だと、たとえば発展途上国に住む人々にとってEVは高価過ぎる移動手段であり、僻地に住む人々とともに「インフラが整っていないので」不便な乗り物となる可能性も。

よって一部の国や地域ではまだまだガソリン車が主流であり続け、そしてインフラの問題に関連してピュアEVではなくハイブリッドの方が消費者のライフスタイルに合っている、とうわけですね。

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こういった理由にて「トヨタはEVに対して積極的ではない」と捉えられているわけですが、今回のプレスリリースを見るに、この状況であっても「EVのためのバッテリー増産」ではなく「ハイブリッドのためのバッテリー増産」だと読み取ることができ、トヨタとしてはあくまでも主流は「ハイブリッド」と考えているのかもしれません。

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カーボンニュートラルへの選択肢は1つではない

実際のところ、トヨタは「カーボンニュートラルを実現するための選択肢は1つではない」とあらためて主張し、「お客様の暮らしを守りながら、できる限り多く、できる限り早く、CO2を減らしていくためには、その手段は国や地域によって大きく異なります。この考えのもと、あらゆる国と地域における様々なお客様のニーズにマルチパワートレーンで柔軟に対応し、できる限り多くの選択肢をご提供するために、今後もあらゆる努力を続けてまいります」とも。

たしかにトヨタの言うことも一理あり、実際にトヨタは「水素エンジン」等の試みを行っていますが、実際に実用化できるのかどうかは全く不明であり、FCVのように「お金がかかっただけ」に終わるのかもしれません。

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ただ、トヨタは今回のバッテリー増産について「トヨタ生産方式を活用し、これまで以上に高効率な生産ラインを構築することで、さらなる競争力の強化を目指すとともに、電池生産に従事する人材の育成やモノづくりの伝承にも投資をしてまいります」ともコメントしているので、長期的にはEV向けバッテリー生産を強化するのだと思われますが、トヨタはある意味「同族経営」であり、ここがトヨタと他の会社との時間的な間隔の相違を生むところだとぼくは考えています。

つまり、トヨタは同族経営であり、同族の地位は安泰なので「焦る」必要はなく、しかし他のほとんどの自動車メーカーの社長やCEOは「雇われ」であり、よって早急に結果を出さなければすぐにクビになってしまう危険性があるということですね。

ここが「EV化を急がねばならない」他社と、「ゆっくり進めることができる」トヨタとの差ということになり、しかしどちらが最後に笑うのかは10年以上先にならないとわからないのかもしれません。

ちなみにEV向けバッテリーについては、「今後もパートナー企業からの車載用電池供給を含め、各地域のBEVの需要拡大に着実に対応するための供給体制の構築に、引き続き取り組んでまいります」と述べており、こちらはパートナー企業から調達し、あくまでも自社で生産を強化するのはハイブリッド用バッテリーパックということなのでしょうね。

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参照:TOYOTA

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