| テスラは次世代バッテリーよりもリチウムイオンバッテリーの可能性を追求するようだ |
さて、韓国LG化学がアメリカそして欧州にて、テスラ向けのバッテリーを製造する工場を建設すると複数メディアが報じています。
これらによると、LG化学の電池部門である「LGエナジーソリューション」がテスラ向けの新型バッテリー”4680”生産のための工場を建設し、2023年より稼働を開始させる模様。
加えてLGエナジーソリューションは米国に対し約45億ドルを投じると公表しており、おそらく「テスラ向けのバッテリー工場」はこのうちのひとつなのだと思われます。
なお、このLGソリューションの巨額投資については、バイデン大統領のEV推進政策を考慮した新しい方針だとされ、将来的に米国でEVが増加するという予測に基づいて実行されることになりますが、すでにLGは別途「GMとのジョイント」にて23億ドル規模の工場を建設するとも発表しており、今後米国におけるバッテリー製造が急速に活発化することになりそうですね。
バッテリー確保は最大の課題
なお、ここから2035年辺りにかけては世界の自動車販売が急速に「ガソリン/ディーゼルから、エレクトリックカーへ」と置き換えられてゆくことになり、現在「年間9000万台くらい」販売されている自動車のすべてが将来的にEVへと置き換えられることに。
おそらくはその段階において、毎年数百万台規模でEVが増加すると思われるものの、現在250万台くらいの販売規模とされる電動車(EVとPHEV)の市場規模であってもバッテリーが足りないと言われているので、これが毎年「倍倍ゲーム」で増えてゆくとなると一瞬でバッテリーが不足しそう。
もちろんバッテリーがないとEVを作ることはできないので、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンも中国のパートナーとバッテリー確保に走り、トヨタもパナソニックとの合弁にて(プライム プラネット エナジー&ソリューションズ株式会社を設立して)バッテリーの開発や製造に乗り出していることでもわかるとおり、とにかく今後はバッテリーがEVの生命線となるのは間違いなく、いかに高性能なバッテリーを安定して安く入手するかが大きな課題だと考えられます。
ちなみにテスラの4680バッテリーについては、「容積が小さく、しかしエネルギー密度が高く、製造コストが安い」というメリットがあり、従来のリチウムイオンバッテリーに比較してエネルギー密度が5倍高く、一回の満充電あたり航続可能距離を16%伸ばせるとのこと。
バッテリーに対する取り組みは様々
なお、現在EV用として主流なのはリチウムイオンバッテリーですが、次世代バッテリーに対しても各社各様の姿勢を見せており、トヨタとBMWは個体電池(ソリッドステートバッテリー)の実用化を目指しているほか、GMはソリッドエナジーシステムズとの協業にて「リチウムメタルバッテリー(従来のリチウムイオンに比較して2倍のエネルギー密度を持ち、60%安い)」の実用化を目指しており、しかしテスラはリチウムイオンバッテリーの可能性を追求した「4680」を推し進める意向。
テスラというと新しいテクノロジーに対して積極的という印象があるものの、意外や現実的な一面も持っており、「(現在のテクノロジーでは)ソリッドステートバッテリーの実用化は当面不可能」としてリチウムイオンバッテリーに集中したり、空飛ぶクルマについても「無意味」とバッサリ切り捨てていますが、取捨選択や集中分野を明確にしている企業ということなのでしょうね。
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テスラの工場にて火災発生
なお、テスラのフリーモント(カリフォルニア)工場に火災が発生したという報道も出ており、これによると3月11日に火災発生、そして鎮火済みとのこと。
油圧作動用のオイルが溶融アルミニウムに接触したことで発火したとされ、今のところけが人の報告はないようですね。
テスラからの公式見解は出されておらず、生産に対する影響などは不明だとされています。
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