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BYDが153万円、驚愕のコスパを持つEV「シーガル」発表!アナリスト「この半年で中国のベストセラーになり、事実上、世界で最も売れるEVになるだろう」

2023/04/21

BYDが153万円の驚愕のコスパを持つEV「シーガル」発表!アナリスト「この半年で中国のベストセラーになり、事実上、世界で最も売れるEVになるだろう」

| おそらくBYDは中国のEVメーカーを絶滅へと追い込むだろう |

中国EVメーカーの敵は中国国内にあった

さて、現在絶賛開催中の上海モーターショーでは多数のEVが発表されており、いずれのEVもパフォーマンスであったり先進的な装備であったり様々な特徴を持っています。

ただ、消費者にとって最大の関心事は「価格」だと思われますが、この上海モーターショーにて発表されたBYDの新型EV「シーガル」が大きな注目を集めているといい、その理由は78,000元(現在の為替レートにて153万円)という驚異的なスタート価格を持っているため。

ちなみに上海モーターショーは「コンセプトカーを発表し、そのメーカーの技術力や方向性を示す」というよりも、「消費者へと”実際にクルマを買ってもらうための”認知機会を作る」という性格が強いといい、つまりは消費者も”自分が購入するクルマを探し”に来場しているのかもしれません。

すでにBYDシーガルは発表から24時間で1万件上の受注を獲得

参考までに、現在BYDのベストセラーとなっている「ドルフィン」の価格は116,800元なので、このシーガルの価格(78,000元)はそれよりも一層安いということになりますが、アナリストによれば、このシーガルは「半年で中国のベストセラーとなり、実質的に世界で最も売れるEVとなる」。

いや宏光ミニEVのほうが安いんじゃないの?という声も聞こえてきそうではあるものの、ミニEVとそれに類するクルマたちはサイズと出力が小さく「乗用車未満」の登録区分となっており(マイクロカーのような感じ)、しかしこのBYDシーガルはれっきとした乗用車。

よって「乗用車でこの価格」というのは驚異的としかいいようがなく、この価格が大きなインパクトを消費者に与えているわけですね。

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なお、テスラは「アメリカでもっとも安価なEVを提供すること」を目的として活動していますが、そのために生産効率を向上させ、それによる値下げを継続中。

加えてイーロン・マスクCEOも「価格がモノを言う」「EVの普及を妨げているのは価格のみである」と述べるなど価格の重要性についてたびたび言及しており、しかし価格郵政については完全にBYDに「持ってゆかれた」ということになりそうです。※中国にてもっとも安価なテスラはモデル3の229,900元である

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このシーガルにつき、ベースモデルでは1回の充電での航続距離が305km、上位モデルだと405kmとアナウンスされており、しかもおどろくべきことにシーガルは急速充電機能を備えており、わずか30分でバッテリー容量の30%から80%まで充電することが可能です。

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このBYDシーガルは同胞の中国自動車メーカーの多くを廃業に追い込んでしまうかも

現在テスラは値下げによって価格競争の端緒を開くこととなっていますが、いくつかの自動車メーカーはこれに追随し、またある自動車メーカーはこれをフォローせずに「値下げせず」。

しかしこのBYDシーガルが「その価格をもって」世界で最も売れるEVになったとすれば、値下げ競争に参加していない自動車メーカーにとっても「再考せざるを得ない」状況となるのかも。

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なお、このBYDは数ある中国のEVメーカーの中では「唯一」利益を出せているメーカーだとされ(他の多くのEVメーカーは初期投資を回収できていない)、その大きな理由は「自社でバッテリーを作っているから」ということと「マスクが売れたから(冗談ではなく、本業である自動車よりも多くの利益を稼いだ)」。

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そのほかにも内製率が高いことなどの理由もありますが、テスラと同じく「製造コストを安く抑えることができる」ところは共通しているかと思います。

そしてこの「低い製造コスト」はEV業界において最も強力な武器になり得るものと思われ、「普及価格帯」をウリにするほかの中国のEVメーカー、そしてもしかするとフォルクスワーゲンのような欧州の普及自動車メーカーをも駆逐してしまうかもしれません。

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こういった現状が目の前にあるからか、メルセデス・ベンツは「今後は台数を追求せず、高利益製品に特化する」ともコメントしており、たしかに「高いブランド価値と技術によって高価各製品を売る」ということは今の中国EVメーカーにとって得意な分野ではなく、既存自動車メーカーはBYDの勢力拡大によって認識を改める必要があるだろうとも考えています。

なお、つい1年前に「2025年までのEV勢力予想」が公開されていますが、これによると「BYDはたしかに成長するだろうが、フォルクスワーゲンとテスラには届かない」と推測されていて、しかしそこから1年も経たないうちにその予想とはまったく異なる現実が訪れており、つまりはフォルクスワーゲンとテスラが失速し、BYDの「一人勝ち」といった可能性が濃厚に。

よってここから先の1年はさらに予想外の事態となるのかもしれません。

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参照:CarNewsChina(Facebook), Reuters

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