| 自由競争下ではそもそもこういった発想は起こり得ないと考えられるが |
要求するということは「要望が通る」と踏んでいるのだろう
さて、中国のEV業界は政府から多額の補助金を受け取っていることがEUの調査によって明らかになっていますが、今回そういった「補助金」が常態化しているとも思える報道がなされ、中国以外の自動車業界を驚かせることに。
その報道とは中国自動車流通協会(CADA)が「値下げ競争で失った利益を補填するよう政府に対して救済措置を求めた」ものだとされ、いうなれば「作りすぎたEV、もしくは他社製EVに比較して魅力が劣るEVを値引きして販売せざるをえなくなり、そのぶん失った利益を補うよう政府に要求した」という内容に置き換えることも可能です。
これは通常だと考えにくく、どう考えてもメーカー側が負担すべき損失を国に求めているわけで、こういった求めを行うこと自体「請求すればお金をもらえる」という常識がまかり通っているという証左なのかもしれません。
その損害は約3兆円に
なお、この中国自動車流通協会(CADA)とは自動車ディーラーが加盟する団体だそうですが、「厳しい競争を乗り切るために値下げした」ための損失は2024年1月〜8月では合計1380億元(現在の為替レートだと約2兆8300億円)にものぼり、中国政府に対して「このままでは廃業に至ってしまう」という切実な訴えを行ったとされ、8月単月だと新車の割引率は17.4%にも達すると言われます。
参考までに、中国の新興EVメーカーは最大で500社(一説には600社)あったそうですが、春までには相次ぐ倒産によって100社にまで減少した、とも。
今回の報道は自動車メーカーではなくディーラーの話ではありますが、ディーラーにて「値下げせねば売れない」ということはその自動車メーカーの商品力が不足しているからだと考えてよく、自由競争が原則となる資本主義下では「競争について来れない」企業は「黙って去るべし」ではありますが、中国では妙なところで「共産主義」的なところが残っているのかもしれませんね。※それでも400社が去っており、そうとうに競争が厳しいことがわかる
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