
| 中国ブランド、欧州で驚異の成長 |
ここまで短い時間で「歴史が書き換えられる」とは
中国の自動車ブランドが「(2025年6月単月で)ついに欧州でメルセデスを販売台数で上回る」という歴史的な快挙を達成したとの報道。
2025年6月、BYDやOmoda、Jaecooといった中国メーカーのEVおよびPHEVの販売が急増し、欧州市場の勢力図が大きく揺らぎ始めていますが、このトレンドは覆しようのないものだとされ、欧州の自動車メーカーは「中国内での販売を失うばかりか、お膝元の欧州でもその陣地を奪われている」ということになりそうですね。
欧州における「関税導入」は無意味だったのか
2025年上半期(1月〜6月)、中国ブランドの新車登録台数は前年比91%増の34万7,100台に達し、欧州市場全体の5.1%を占めるまでに拡大することに。
これはメルセデス・ベンツのシェアである5.2%に迫る数字であり、6月単月では中国勢がメルセデスを上回る登録台数を記録しています。
そしてこの数字はフォード(3.8%)を大きく上回り、中国勢は欧州の伝統的ブランドの牙城を着実に崩しつつあるということもわかりますね。
BYDがけん引、EV/PHEVの両方で躍進
中国ブランドの中でも特に際立った成長を見せているのがBYD(比亜迪)で、BYDのPHEVモデル「Seal U」は、なんとVWティグアンと並んで6月の欧州PHEV販売トップに浮上しており、「VW」にとっても現状を無視できない」状況へ。
他にもOmoda、Jaecooといった新興ブランドがプラグインハイブリッド市場で人気を集めています。
欧州ブランドの明暗:VWは成長、テスラとステランティスは減速
そして欧州市場での中国ブランドの台頭と対照的に、欧州や米国の一部メーカーは苦戦中。
明暗がくっきり分かれる形となり、ステランティスは北米市場のみならず中国においても大きく販売を落としていることがわかります。
勝者:
- フォルクスワーゲン:販売+3%
- ルノー:+6%
- BMW:+4%
- フォード:+6%
敗者:
- テスラ:販売-33%
- ステランティス:-9%
なお、テスラ「モデルY」は一時ヨーロッパのベストセラーカーではあったものの、2025年上半期は前年比33%減の6万8,800台に留まり、トップ10から脱落し、「もっとも大きく販売を落としたクルマ」だと言っていいのかもしれません。
欧州EV市場の最新トレンド
2025年上半期の欧州全体のEV登録台数は初の100万台超え(+25%)を達成しており「成長市場」であることは間違いなく、ここでもっとも”波に乗っている”のはフォルクスワーゲングループでもあるようですね。
しかしその一方、中国勢の成長は欧州勢をはるかに凌駕しており、このままのペースをキープするならば、「年間販売で」あっさりと中国の自動車メーカーに販売台数を超えられてしまう欧州自動車メーカーがいくつか登場する可能性も見えてきます。
ブランド別EV販売(2025年上半期)トップ5:
- VW:13万5,427台(+78%)
- テスラ:10万9,262台(-33%)
- BMW:9万4,658台(+15%)
- アウディ:7万4,561台(+53%)
- シュコダ:7万1,789台(+147%)
中国勢の動向:
- BYD:4万1,270台(+143%)→ 欧州EV市場シェアを急拡大
- XPeng(シャオペン):8,346台(+273%)
- Leapmotor:1,539台(初登場)
まとめ:中国ブランドが欧州の“常識”を変える日
中国ブランドが欧州でメルセデス・ベンツを超えたという事実は、もはや一時的なブームではなく、グローバル自動車産業の重心がシフトしつつある兆候。
つまるところ「関税が導入されたとしても、まだ中国車の価格優位が続いている」とも考えられ、EVやPHEVといった電動化の分野で競争力を増す中国勢が今後どのようにシェアを伸ばすのか注目されます。
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参照:Carscoops