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かつての超高級車メーカー「イスパノ・スイザ」が現代に蘇るもわずか6年で倒産。なおイスパノ・スイザは「2社」が存在しややこしい状況に

2022/02/25

かつての超高級車メーカー「イスパノ・スイザ」が現代に蘇るもわずか6年で倒産。なおイスパノ・スイザは「2社」が存在しややこしい状況に

| こういった「同じ名称を持つ自動車ブランドがいくつか存在」することは自動車史上、さほど珍しくはないようだ |

ただしボクら消費者としては混乱することこの上ない

さて、かつての名門自動車メーカーであり、現代にみごと復活したイスパノ・スイザ。

ただし話がややこしいのは、「イスパノ・スイザ」社と「イスパノ・スイザ・エンジニアリング」社という2つのイスパノ・スイザが存在し、両者ともがスーパーカーを発表していること。

そして今回、イスパノ・スイザ・エンジニアリング社のほうが「破産した」と報道されています。

イスパノ・スイザ・エンジニアリング社は創業からわずか6年で破産

このイスパノ・スイザ・エンジニアリング社(オーストリア本社)は2016年に創業していますが、出資したのは2010年に創業されたイスパノ・スイザ・アウトモビリマニファクチュア社(スイス本社)。

そしてイスパノ・スイザ・エンジニアリング社は2019年に「マグアリ HS1 GTC」なるV10エンジン搭載のスーパーカーを発表し、300台限定にて発売するとアナウンスしていたわけですが、コロナウイルスのパンデミックによる開発の遅れ、開発費の高騰等の理由にて銀行や株主融資、サプライヤー対しに470万ユーロ(約6億1500万円)の負債を抱えることに。

そしてついに支払いができなくなり、本社と工場やその敷地、マグアリHS1 GTCのフルサイズプロトタイプ2台、さらには商標権も銀行に没収されて会社が清算される見込みだと報じられています。

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現在、イスパノ・スイザ・エンジニアリングの社員は、マネージング・ディレクターのエルヴィン・レオ・ヒンメル氏を含めて3名しかおらず、同氏はアウディにてデザインディレクターを努めたことでも知られ、1991年のアウディ・クワトロスパイダーのコンセプトカーを手掛けた人物なのだそう。

イスパノ・スイザ・マグアリ HS1 GTCのティーザー動画はこちら

もうひとつの「イスパノ・スイザ」とは?

そしてもうひとつのイスパノ・スイザについて触れておく必要がありますが、こちらはバルセロナに拠点を置いており、2019年には「カルメン」、2020年には「カルメン・ブローニュ」を発売済み。

ちなみにもともとの「イスパノ・スイザ(Hispano Suiza)」は1898年に電気自動車メーカーとして設立されており、このバルセロナのイスパノ・スイザはオリジナルのイスパノ・スイザ創業者のひ孫であるミゲル・スケ・マテュー氏が会長を務めており、こちらのほうが「本家」だと考えるのが妥当かも。※車体デザインについても、このイスパノ・スイザのほうがオリジナルのイスパノ・スイザの製品に近い

さらに深く踏み込んでおくと、(最初の)イスパノ・スイザ創業時の社名は「ラ・クアドラ(創業者の名前がエミリオ・デ・ラ・クアドラ)」。

その後1902年に高級車の製造を標榜しイスパノ・スイザ(このときの正式名称は「ファブリカ・イスパノ・スイザ・デ・オートモービル」)へと社名を変更していますが、このイスパノ・スイザという社名は、創業メンバーがスペイン人(ダミアン・マテュー)とスイス人(マルク・ビルキグト)であったことから「スペインの、スイスの」を意味するHispano Suizaを採用しています(自動車メーカーにしては珍しく人名を採用していない)。

さらにその後、イスパノ・スイザは航空機用エンジン、兵器の製造によって大きく成長し、1942年にはブガッティすら買収するほどに成長するものの、当時主流となりつつあったジェットエンジンの製造に出遅れたために衰退してしまい、その後サフラングループに吸収されることとなっています(このサフラングループに吸収されたイスパノ・スイザは現在も存続しているが自動車を製造していない)。

いずれにせよ、数十年もの間「休眠」となっていた、自動車メーカーとしてのイスパノ・スイザの名を、異なる資本がほぼ時を同じくして復活させ、両方ともがスーパーカーを発表したというのはなかなかに興味深い事実だと思います。

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参照:Hispano Suiza Opus Magnum

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