| ここまでくればポルシェの上場はもはや「時間の問題」か |
ひとまず上場直後に買いを入れ、利益が出そうなところでいったんリリースするのが良さそうだ
さて、この数ヶ月様々なウワサが出てきた「ポルシェの新規株式公開(IPO)」。
今回、その話に進展があったようで、親会社であるフォルクスワーゲンと、ポルシェの持株会社であるポルシェ・オートモービル・ホールディングSEとが「より具体的な話を行っている」と報じられています。
現在最終決定はなされていないものの、ポルシェ・オートモービル・ホールディングSEは議決権の53%に相当する株式をポルシェ創業者一族が保有しており、「一族の総意にて上場を承認」すれば一気にこれが前に進みそうですね。
なぜポルシェは上場を?
そこで気になるのが「なぜポルシェが上場を?」ということ。
これについては非常に簡単であり、「上場すれば多額の資金が手に入るから」。
リヴィアン、ルシード、ローズタウン、ファラデー・フューチャーを見ても明らかですが、上場後は一瞬で巨額の資金が手に入り、そして現在業績好調、さらには非常に高い電動化率を誇るポルシェであれば「巨額上場」となるのは間違いなさそう。
そしてこの上場により、ポルシェの市場価値は最大で約12兆円にも達するのではと言われていますが、これによって得た資金を(ポルシェ、そして親会社のフォルクスワーゲンは)さらなる電動化に向けた投資に回すと言われているわけですね(既存自動車メーカーが電動化へ移行するには数兆円規模の投資が必要だと言われている)。※もちろん12兆円分の株式すべてを放出するわけではない。参考までにフェラーリの時価総額は5兆円
ただ、それにはリスクがあり、現在ポルシェ・オートモービル・ホールディングとフォルクスワーゲンが持っている「ポルシェ株」を市場に放出しなくてはならず、もちろん放出しないと取引も発生せずに株価も上がらず、そしてお金も入ってこないわけですが、持っている株を放出すると「自分たちが持っている株式の保有比率」が下がって影響力が希薄化し、さらにはほかの(新しく株を購入した人の)発言力が大きくなってしまいます。
そうなると会社としては「やりたいこと」ができなくなったり、ちょっと何かを決定するのにも時間を取られたりして経営的にロスがでてしまうわけですね。
ポルシェの上場には大きな期待がかかる
それでも現在の電動化競争に乗り遅れるわけにはゆかず、フォルクスワーゲンとポルシェとがIPOに向けて進んでいるというのが今回の報道となりますが、フォルクスワーゲンによると、この大枠での合意につき、さらに同社の経営委員会と監査役会の承認が必要であること、契約の内容やIPOの可能性そのものについては、現在未決事項であるとのこと。
一方のポルシェ側は、フォルクスワーゲンが「ポルシェの上場の可能性を検討することを決定した」と認め、執行役員会は「この決定を歓迎する」と述べ、「会社の非常に順調な発展を強調するものである」としています。
ポルシェのオリバー・ブルーメ執行役員会長は今回公式に声明を出しており、「ポルシェは強固なビジネスモデルと世界中のファンコミュニティを持つ強力なブランドで、現在”野心的な持続可能性目標”を追求している最中であり、ポルシェとフォルクスワーゲンは今後もシナジー効果から利益を得ることができる」とコメント。
ちなみにこの件が報道された後、フォルクスワーゲンの株価は10%上昇しており、つまりそれだけポルシェに寄せられる期待が大きいということになりそうですが、実際にポルシェは「販売台数はフォルクスワーゲングループ全体の1/30にしかすぎないものの、利益は全体の1/3を稼ぎ出している」といい、それを考慮すれば、とんでもない巨額上場となるかもしれませんね。
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