アルファロメオ・ジュリアのラグジャリー・グレード「スーパー」に試乗
アルファロメオ・ジュリア・スーパーとは
アルファロメオ・ジュリアのグレードは4種類。
もっともベーシックなモデルは受注生産となり、装備内容からしてもこれが選ばれることはまずないと思われ、これを外すと実質的なグレードは「スーパー」「ヴェローチェ」「クアドリフォリオ」の三つ。
「スーパー」はその中でも最も安価なモデルとなるものの、けして「廉価版」ではない、ということが今回の試乗で明らかになったのが印象的で、むしろ「積極的に選びたくなる」理由が満載のグレード、と感じました。
なおジュリア「スーパー」は三つのグレードの中では「ラグジュアリーモデル」という位置づけ。
ステアリングホイールやシートに採用されるレザーが「プレミアムレザー」となり、かつ内装に唯一「ベージュ」を選択可能で、ダッシュボードやドア内張りのトリムにも「ウッド」が装着される唯一のグレードとなっています。
なおアルファロメオ・ジュリアのグレード構成は下記の通り。
・ジュリア・スーパー/GIULIA SUPER:5,430,000円
・ジュリア・ヴェローチェ/GIULIA VELOCE:5,970,000円
・ジュリア・クアドリフォリオ/GIULIA QUADRIFOGLIO:11,320,000円
今回試乗した「ジュリア・スーパー」について、まずはスペックを見てみましょう。
全長:4645ミリ
全幅:1865ミリ
全高:1435ミリ
重量:1590キロ
駆動方式:2WD(後輪駆動)
エンジン:2リッター直4ツインスクロールターボ/200馬力
トランスミッション:8速AT
サスペンション:F/ダブルウイッシュボーン、R/マルチリンク
最小回転半径:5.4メートル
アルファロメオ・ジュリア・スーパーの外観はどうだ
詳細は別のエントリー「アルファロメオ・ジュリアを見てきた。スーパー/ヴェローチェ/クアドリフォリオの3グレードを一気に紹介」にて記載していますが、ここでざっとその印象を述べてみると「意外とコンパクトに見える」。
四隅を絞っており、全体的に曲線を用いることで柔らかいイメージがあることが関係しているのかもしれません。
ジャーマンスリーのサルーンとは明らかに異なるデザインを持っており、見た目の軽快感、スポーティーさが感じられます。
前後バンパーは「ヴェローチェ」「クアドリフォリオ」に比較するとやや大人しめ、という感じですね。
それでもジュリア特有の「うねるような」ラインを持つフロントフード、セクシーな前後フェンダーが醸し出す雰囲気はやはり「イタリアン」そのもの。
アルファロメオ・ジュリアの内装をチェック
インテリアは随分先進的なイメージがありますが、スイッチ類は可能な限り少なく抑えられ、シンプルな印象も。
この辺りも「やたらスイッチの多い」ジャーマンスリーの車とは異なるところですね。
メーターはシンプルなアナログで(奥行きがあるのがスポーツカー的)、スピードメーターとタコメーターとの間には液晶ディスプレイが設置され、ダッシュボードにも大型インフォテイメント・ディスプレイが備わります。
面白いのはステアリングホイールのスポーク部にエンジンの「スタート/ストップ」ボタンが備わることで、これはフェラーリと同様。
なおアウディでは最上位「RS」モデルでないとこの位置にスタート/ストップボタンが取り付けられることはなく、この辺りは「さすが」イタリアン、そしてアルファロメオ、と言えそうです。
加えてこのパドルの大きさも「サルーンらしからぬ」ところですね。
さあアルファロメオ・ジュリアで走ってみよう
エンジンをスタートさせた時の音や振動は非常に小さく、まさに「サルーン」。
シフトレバーを「D」に入れて電気式パーキングブレーキをリリースしたのちに車をスタートさせます。
ディーラーから道路へ出る段差の時点で足回りのしなやかさを感じますが、これもやはりジャーマンスリーの車とは全く異なる当たりの柔らかさ。
けして「フニャフニャ」なわけではないのですが、全くと言っていいほど衝撃を感じさせない独特の乗り心地を持っています。
さらには「突き上げ」も皆無と言っていいレベルに達しており、日頃ドイツ車に親しんでいる身としてはちょっと驚かされるところですね。
乗り心地の良さについてはレクサスに近いものがありますが(それよりいいかも)、安定性についてはジャーマンスリーの車に比較しても劣らぬものがあり、ダブルレーンチェンジ、レーンを変更しながらの加速においてもビシリとした安定感を見せます。
加速してもノーズがリフトすることもなく、カーブで車体が傾くこともない「フラットライド」を実現しており、これにもちょっとびっくり。
最近はどのメーカーでも姿勢制御技術が大きく向上していますが、その中でもジュリアのそれはずば抜けている、と言えそうです。
加速に関しては「200馬力」というのが信じられないほどパワフルで軽やか。
これはクアドリフォリオに比べて120キロも軽いことが影響していると思われますが、同時にハンドリングにおいても4気筒エンジンならではの「鼻先の軽さ」を感じることに。
カーブでも「スッと」鼻先が入り、ステアリングホイールの操作に対する反応もダイレクト。
乗り心地の良い車というのは往々にしてブッシュ類が柔らかく、そのためにステアリング操作に対するレスポンスが「ワンテンポ」遅れるものですが、ジュリアに関してはそういったことはなく、文字通りスポーツカーのようなハンドリングですね。
印象としてはマセラティ・ギブリに似ていると感じましたが、よくよく考えるとアルファロメオもマセラティも同じFCAに属するメーカーであり、こういったセッティングにはノウハウが蓄積されているのかもしれません。
ブレーキについても過敏でもスローでもなくリニアな反応が戻ってくるもので、そしてノーズダイブもなくしっかり減速してピタリと止まるという性質を持っています。
スポーツ走行、渋滞時であっても非常に扱いやすいブレーキと言えそうですね。
なお、アクセル、ステアリング、ブレーキ操作全て、つまり「走る、曲がる、止まる」に対して素直でダイレクトな反応を見せますが、それら操作をスムーズに行えるのは「ドライビングポジションの自然さ」にも一つの理由があると思われます。
初めて乗った車であるのにシートやミラー、ステアリングホイール、ペダル類の配置が「しっくり」くるもので、ここまで自然にドラポジが決まる車も珍しい、と思います。
ちなみにシート位置は「けっこう外」つまりボディ外側に位置しており、これは駐車場に入れる際に発券機からチケットを取ったり、出庫時に料金を払うには非常に便利。
ジュリア・スーパーを試乗してどうだった?
正直なところ、「アルファロメオ」というとノイズやバイブレーションが大きい、その割に速くない、加速減速コーナリング時の姿勢が不安定というイメージを持っていましたが、ジュリアはそれを全てひっくり返してしまった車。
乗り心地が良いだけの車は世に多数あり、ハンドリングの良い車も同様に存在します。
ですが、その「両方」を持つ車は非常に珍しく、そしてジュリアはその「珍しい」部類に属する車と言えるでしょう。
ジュリアシリーズはまず「クアドリフォリオありき」で設計されており、つまり「ハイパフォーマンスFR」がその出自。
そのためにプロペラシャフトも「スーパー」「ヴェローチェ」ともにクアドリフォリオと同じ「カーボン製」で、サスペンション形式も全モデルともクアドリフォリオと共通。
ブレーキにおいてもそれは同様で、さすがにクアドリフォリオのみはブレンボ製となるものの、スーパー/ヴェローチェともに対向式ピストンを持つ強力なフロントブレーキを持っています。
その意味では「スーパー」「ヴェローチェ」は非常にお買い得(なぜなら価格がクアドリフォリオの半分)なのは間違いなく、さらにはハーマンカードン製オーディオやレザーシートも付いていますし、スーパーに至ってはクアドリフォリオにも装備されない「プレミアムレザー」採用。
クアドリフォリオとの差は「エンジン」「統合シャシーコントロール」「アクティブサス」「アクティブエアロ」「カーボン製エアロパーツ」「19インチホイール」「アルミボンネット」といった、一定以上の走りを行う際に要求されるものばかりで、快適性や基本性能に関するところはジュリア/ヴェローチェとも一切手抜きなし。
その意味において「スーパー/ヴェローチェ」はかなり、魅力のあるグレードであり、中でも「スーパー」は高級感あふれるグレードとしてその存在意義が大きい、と考えています。
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今回アルファロメオ・ジュリア・クアドリフォリオを試乗させていただいたのは「アルファロメオ北大阪」さん。
八光さん系列となり、そして八光さんの例に漏れず「車好き」の営業さんばかりの頼もしいディーラー。
皆さん知識豊富で、「密度の濃い」試乗が可能です。
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