| いい腕時計はこうやって見分ける |
逆に、ぐっと思いっきり押さないと作動しないようなもの、どこで針が動き出すかわからないような曖昧な操作感を持つ腕時計はイマイチ。
ぼくの考える「優れた操作感を持つ腕時計」はロレックス、ウブロ 、オーデマピゲ。
その逆はオメガ、そしてベル&ロス、ブライトリング。
↓自社ムーブメントを搭載したオーデマピゲのリューズ操作感は精密かつ滑らか、のひとこと
さらに言うならば、プッシュボタンの「遊び」がないのはもっといい腕時計。
ボタンに指を載せてみて、左右に動かしてみたり、軽く押してみても微動だにしない腕時計はかなり優れている、と考えています。
↓ブライトリングは結構プッシュボタンに遊びがある
そしてリューズですが、これも(時間調整の際に)比較的軽いタッチで引き出せて、しかも「分」「時」「日付」と思い通りのところにキッチリ止めることができるのはいい腕時計で、やはりロレックス、オーデマピゲが秀逸。
逆に「今どこ(の調整位置)よ・・・」というのは精度に疑問を感じます。
針の仕上げをしっかり見てみよう
時針や分針、秒針など針の側面を見てみるのも、その腕時計がどれほど手間がかけられているかを知る一つの基準。
たとえばブレゲやカルティエ、ロレックス、パテックフィリップ、オーデマピゲは針の側面までしっかり磨かれており、かつ非常に薄く作られていて、見るからに精度が高いことがわかります。
とくにカルティエ、ロレックスは素材や仕上げにもう一段こだわっていて、ロレックスの場合はホワイトゴールドを使用したり、カルティエだとモデルによっては「焼き」を入れていたりしますね。
こういった仕上げを見ると、白衣を来て目に拡大鏡をはめた技師がひとつひとつ丁寧に磨いたりカドをとったりしてるんだろうなあ、と思ったりするわけです。
逆にウブロ 、ブライトリング、ベル&ロス、シャネル、ルイ・ヴィトン、タグホイヤーあたりは針の側面の仕上げがイマイチで、針自体も「ちょっと分厚い」。
↓ウブロ は針を切り出した後の処理がイマイチ
金属の板をクッキーカッター(金型)でスポンとくり抜いてそのまま腕時計に取り付けたんだろうなということが容易に想像でき、いかにも「量産品」という雰囲気を感じてしまいます(芸術性を感じない)。
↓ベル&ロスに至っては針の側面が切り出したまま、つまり金属むき出しの場合も
とりあえず針については「薄い」「側面までちゃんと処理してある」「歪みがない」ほうが優れている、と考えて良いと思います。
文字盤にも意外と差が現れる
そして今回の最後は文字盤のインデックス。
まずは秒を刻んだりしてある目盛りのプリントですが、これが「盛り上がっていれば」いい腕時計、「盛り上がっていなければ」そうでない腕時計だと考えています。
ただしこれはそのウオッチメゾンの考え方、デザインの差もあるので必ずしもあてはまるわけではありませんが、腕時計を選ぶときには一応注意して見たほうが良さそう。
簡単に言うと、これが「塗料を盛ったようにぷっくり盛り上がっているか、もしくは紙にインクで印刷したように平らかどうか」で見分けることができ、前者だとロレックス、ベル&ロス、オーデマピゲ、ウブロ、カルティエ 。
後者はセイコー、ブライトリング、オメガ。
↓ベル&ロス(BR01)は文字の塗料が盛り上がっていて質感を感じる。これが平面だったら目も当てられない
[caption id="attachment_45429" align="alignnone" width="800"]
bell&ross bell and ross watch BR01-92 Heritage ベル&ロス 腕時計
↓カルティエもけっこう文字が「ぷっくり」
こういった目盛りのほか「文字」についても同じことが言えますが、これらが平坦だと、「ガッチャンガッチャンと大量生産してるんだろうなあ」と印象を抱き、逆に盛り上がっていると「ひとつひとつ丁寧に作業してるんだろうなあ」とも思うわけですね。
↓ブライトリングはすごく平坦
そして同じく文字盤状では「インデックス」も重要。
時間を表す文字や、文字の代わりの「バー」のことですが、これは別パーツとなっている場合、その仕上げを見ると、メーカーによってかなりな差があることがわかります。
↓オーデマピゲのインデックスは気品すら感じる
たとえばオーデマピゲ、ロレックス、パテックフィリップあたりは驚くべき仕上げを持っていますが(ケースと同じで面が平坦で、エッジがしっかりしている)、ルイ・ヴィトンやブルガリ、セイコーあたりは今ひとつ。
↓シャネルは立体インデックス。光沢を抑えて上品さを出しているのはさすがファッションブランド。ただし針はイマイチ
ルイ・ヴィトンとブルガリは文字の表面が「均一」ではなく歪んでいますし、セイコーのバーインデックスは「切り出したまま」「金型から取り出したまま」のように見えるほど仕上げが甘い、と考えています。
↓ルイ・ヴィトンのインデックスは立体でクローム。なまじ光を反射するので「歪み」が目立ってかえって品質の低さが露呈。ブルガリも同様
ただ、ぼくは「仕上げがいい腕時計」を必ずしも好むといわけではなく、仕上げが粗くともベル&ロスのように「身につけて楽しい」腕時計を好んで身につける場合も。
これもクルマとよく似ていて、品質が高ければ運転していて楽しいとは限らず、荒削りでも笑ってしまうほど楽しいクルマがあるのと同様ですね。
↓セイコー・アストロンはバーインデックス、目盛りのプリンとともに「大量生産品」っぽくて味が感じられない
ただ、その腕時計が価格に見合った仕上げを持っているのか、価格が適正であるのかはこういった細かい部分を見ておく必要がある、とは考えています。
なお、仕上げのいい時計しか知らなければその良さに気づくことは無いと考えていますし、そうでない仕上げを持つ腕時計しか知らなければ「いい時計とは何か」を知らずに終わることも。
よって、これもクルマと同じく、より多くの腕時計を見て、操作してみて、身につけてみる必要がある、とも考えているのですね。
あと何編か公開したいと思いますが、残っている評価ポイントは「重量配分」「精度」「自動巻のローター」「ブレスレット」文字盤の加工」といったところ。