| 同一パーツの価格差はなぜ起こりうる? |
フォードのパーツ価格がボリすぎだとネット上で話題に。
自動車はそれぞれの自動車メーカーで「組み立て」られるものではありますが、使用されるパーツについては「サプライヤー」から供給を受けており、たとえばエアバッグはタカタ、エアコンはデンソー、ブレーキはブレンボや曙ブレーキ、ギアボックスはZFやゲトラグ、ヘッドライトはボッシュやHELLAや小糸、という感じですね。
今回話題となっているのは「フェラーリ」「フォード」「メルセデスAMG」が同じギアボックスを使用しているのに、補修の際などに販売される「部品価格」に大きな差異がある、ということ。
同じパーツでもフォードはメルセデス・ベンツの2倍の価格で販売している
たとえばフォードGT、フェラーリ・カリフォルニア/458、メルセデスAMG GT/SLSは同じゲトラグ製のギアボックス「7DCL750」を使用しており、とくにフォードGTとメルセデスAMG GTについては「ギア比まで一緒」、つまり完全に同じギアボックスを搭載しているようですね。
コレ自体は問題ではなく「よくあること」ですが、そこから先が問題で、Road & Track誌によると、フォードではこのトランスミッションのパーツナンバーはHG7Z-7000-Aでその価格は27,624ドル。
一方でメルセデスAMGではパーツナンバーA1902600500にて全く同じトランスミッションを14,715ドルで販売している、とのこと(リビルト版だとパーツナンバーA1902600600で11,715ドル)。
これを「フォードがボっている」と断じることも可能ですが、たとえばフォードGTは138台しか(2017年に)生産されておらず、しかしメルセデスAMG GTはそれよりもずっと生産台数は多いハズで、つまり「フォードがこのトランスミッションをゲトラグから仕入れるときにはボリュームディスカウントはないが、メルセデスAMGだと割安に仕入れられる」という可能性も。
もしそうだとすると、単に「仕入れ価格の差」がそのままパーツ価格にも反映されていると考えることもできますが、それにしても倍ほどの価格差があり、やはり”ボっている”と言われても仕方がないかもしれません。
同じ部品でも同じ価格とは限らない
なお、この「同じ部品なのにメーカーに寄って値段が違う」のは昔からよくある話で、たとえば有名なのは「フェラーリとランボルギーニ」。
フェルッチョ・ランボルギーニがまだスーパーカーを作らずにトラクターを作っていた頃、自身でフェラーリを購入したもののクラッチが壊れ、自分で修理しようと分解してみたら(フェルッチョ・ランボルギーニはエンジニアでもあった)自分の工場で作るトラクターに使用しているのと同じサプライヤーのクラッチがフェラーリにも使用されており、しかしフェラーリにパーツ価格を問い合わせると数倍もの価格を提示され、「これはいい商売になる」と判断してスーパーカービジネスを始めた、という説もあるほど。
なおパーツの販売価格はその国のインポーター(輸入車でなければメーカー)が決めることになりますが、たとえばポルシェについては「ポルシェ・ジャパン」ができる前に「ミツワ自動車」がインポーターだった頃はパーツ価格がかなり割高。
ポルシェ・ジャパンができた途端に同じパーツでも価格が一気に下がったという件があり、メルセデス・ベンツ(ヤナセ→メルセデス・ベンツ日本)、フェラーリ(コーンズ→フェラーリ・ジャパン)でも同様の例があるかもしれませんね。