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【試乗:アストンマーティンDB11】脱・スーパースポーツ。こういったクルマのある人生もいいかもしれない

2018/11/17

| 趣向を変えてこういった選択もいいかもしれないな |

さて、アストンマーティンDB11のオープンモデル、「DB11 ヴォランテ(V8)」に試乗。
一目見て「メチャクチャ格好良いなコレ」と声が出てしまうクルマで、後述しますがその内装のエレガントさがまさに白眉。

こんなクルマに乗れるならば何を引き換えにしたっていい、と思わせる一台です。

アストンマーティンDB11 ヴォランテはこんなクルマ

アストンマーティンはオープンモデルのことを「ヴォランテ」と呼びますが、伝統的に(メタルトップを用いずに)ソフトトップを採用するのも特徴。
そのため優雅な外観を持つのはもちろんであり、かつ(クーペと比較しても)トップがコンパクトに見え、そのぶんスポーティーに見えるようですね。

なおDB11ヴォランテではソフトトップに新素材を採用しており、8層構造とすることで外部からのノイズを遮断。
トップのカラーはボルドー(ワインレッド)、ブラックシルバー、グレーシルバーが選択可能となっています。

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アストンマーティンの戦略上、DB11はヴァンテージとは異なり「GT(グランドツーリングカー)」的な性格を持ちますが、それだけに快適性を重視し、サイドウインドウも「二重」。
これはスポーツカーとしてはかなり珍しく、こういった防音や遮音にかかる装備によって重量が(スポーツカーとしては)重くなっているようですね。

なおDB11ヴォランテのスペックは下記の通り。

ボディサイズ:全長4750ミリ、全幅1950ミリ、全高1300ミリ
エンジン:4リッターV8ツインターボ
出力:510馬力
トランスミッション:8速AT
重量:1870kg
0-100キロ加速:4秒
最高速度:301km/h
価格:24,232,276円

アストンマーティンDB11ヴォランテに乗ってみよう

さて、さっそくアストンマーティンDB11ヴォランテに乗ってみましょう。
ざっと外観を見てみますが、とにかく「美しい」の一言。
ヴァンテージは比較的「曲面」を多用していますが、DB11は「直線」つまりプレスラインを多く用いており、そのぶん「流れ」「抑揚」を強調したデザインを持っていると思います。

とくにフロントフェンダーのホイールアーチからサイドスカットル、リアフェンダー上部のプレスラインは優雅かつ筋肉質な美しさを感じさせる部分ですね。

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ボディカラーはオプションのパール塗装(70万円くらい)で、これがまたボディの陰影を美しく表現しています。

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ドアはアストンマーティン特有の「スワンスイング」。
ちょっと斜め上にドアが開く構造を持っており、よって狭い空間であっても「少ない開閉幅で」足を地面に下ろしやすくなっています。
加えてドアはラッチによる「段階式」ではなく無断階に開き、かつ「どこでも」止まるため、ふいにドアが開いて自車や周囲を傷つける心配もありません。

このあたり、幅1900ミリを超える車としては誠にありがたい装備ですね。

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アストンマーティンDB11ヴォランテのインテリアは「美しい」の一言

ドアを開くとそこは「別世界」のよう。
インテリアはフルレザーで「ホワイトとネイビー」という、とんでもなくエレガントなコンビネーション。
加えてAピラーやウインドウフレーム内側もホワイトなので、実際に運転席に座って目に入る部分も他のクルマとはまったく異なり、ありきたりな表現ですが「凄いなコレ・・・」という言葉しか出ないほどです。

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そしてシートやドアインナーパネルに施されるのがステッチやパンチングによる加工。
靴でいう「メダリオン(穴飾り)」が施されており、これはアストンマーティン以外だと”まず似合わないだろうな”というデザインで、アストンマーティンにしかない世界観ですね。

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アストンマーティンDB11ヴォランテで走ってみよう

シートやステアリングホイール、ミラー類を合わせていざエンジンスタート。
エンジンはセンターコンソール上にある、これもアストンマーティンならでは「透明」のボタンを押すことによって行いますが、その始動音は思いのほかエレガント。

これは試乗した車両が「V8エンジン搭載」だからだと思われ、というのもV12エンジンを積むDB11だと凄まじい轟音とともにエンジンが目覚めるから(ライオンの咆哮のようだ、とぼくは考えている)。

そしてエンジンスターターボタンのふたつ横にある「D」ボタンを押すとすぐに走行体制に入ることができ、アクセルを踏むとパーキングブレーキが自動解除されてスルスルとクルマが滑り出します。

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なお、ドライブモードは「GT」「スポーツ」「スポーツ+」の三種。
「GT」がもっともマイルドなモードですが、DB11では「GT」がデフォルトで、ヴァンテージでは「GT」がなく「スポーツ」がデフォルト。
このあたりの性格の違いが示すように、DB11ヴォランテの乗り心地は望外によく、エンジンが(V12から)4気筒分減ったことで明らかに布団とのマスが軽いために段差超え時でもけっこう軽い印象があり、交差点を曲がるときでもやはり軽快さを感じるほど。

V8モデルのDB11に積まれるV8ツインターボはV12に比べると出力で100馬力劣るものの「510」馬力を発生しますし、0-100キロ加速だとV12に比べても遅れることわずか0.1秒(加速タイムは4秒)。
それだけのパワーがあれば運転していて不足があろうはずもなく、まさに乗り心地は快適そのものだと言えます。

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ハンドリングについても正確無比で、思ったよりも「曲がらない」ことも、思ったよりも「曲がる」こともなく、まさに自然。
ブレーキのタッチもマイルドで「カックン」とは無縁ですが、ヴァンテージと比べても「奥の方で効く」設定となっており、つまりアストンマーティンはモデルによって操作系のフィーリングまでも変化させている、ということになりますね。

上述のようにサイドウインドウは「二重」、ソフトトップは「8レイヤー」なので遮音性も高く、まさにサルーンのような静粛さを実現しているものの、そこはアストンマーティンなので「運転する楽しさ」も損なっておらず、まさに完璧なGTカーといった印象です。

ちなみに停車してからクルマを降りるまでの手法はちょっと変わっていて、まず停車してから「P」に入れるのはほかのATやDCTのクルマと同様であるものの、自分で電気式パーキングブレーキを操作してブレーキをかけておく必要があります。

結局どうなのアストンマーティンDB11ヴォランテ?

非常に独特の世界観を持っており”指名買い”がなされることが多いクルマだと思いますが、競合があるとすればメルセデス・ベンツSクラスクーペやベントレー・コンチネンタルGT、マセラティ・グラントゥーリズモということになりそう。
ですがそれらのいずれに比べても乗り心地に優れている、という印象があります。

意外やSクラスクーペは足回りが固くブレーキのタッチもナーバスで、逆にコンチネンタルGTは足回りがやわらかすぎるようにも感じますが、アストンマーティンDB11ヴォランテはまさに「ちょうどいい」という印象であり、足回りは固くもなく柔らかくもなく、ハンドリングも不足がなく過剰でもなく、ブレーキも踏んだら踏んだぶんだけ効くクルマ。

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ぼくはいろいろなクルマに試乗していますが、その多くは突出した何かを持っており、「テスラ・モデルXは加速がスゴかった」とか、「ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテは鬼のように曲がった」とか、「マクラーレン720Sはハーネスが必要なほどブレーキが効いた」とかいろいろな記憶が残っています。

ですがこのアストンマーティンDB11ヴォランテの場合は、試乗を終えてみてただ単に「いやーいいクルマだったな」という印象が残り、かつその「どこが」いいのかという突出した部分の記憶はなく、しかしそれは悪い意味ではなく「バランスが高い次元でバランスしていて」しかも「フィードバックが人の感覚に近い」からなんだろうな、と考えています。※ヴァンテージはアクセルを踏むとドカンと加速し、ステアリングホイールを切るとガクンと曲がり、ブレーキを踏むとガツンと止まるが、DB11は「すべてが自然」としか表現のしようがない

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そういった意味において、アストンマーティンDB11ヴォランテは「まったくスゴさを感じさせないのに実はスゴい」たぐいのクルマであり、雰囲気としてはポルシェ・パナメーラSに近いという感じ。
つまりは「相当に完成度の高い」クルマであって、ちょっと前のアストンマーティンからすると信じられないようなレベルにある、と考えています(こういったクルマは運転しているときにスゴさを感じさせないが、そのクルマを降りてほかのクルマに乗り換えたとき、”やっぱあのクルマはスゴかったんだな”と後で感じさせてくれるタイプ)。

実際にここ最近のアストンマーティンの業績回復における立役者でもあり、継続して販売が伸びているということを考えると、ぼくだけではなく市場の評価も高い、と言えそうですね。

ぼくはスポーツカーを選ぶことが結果的に多くなっているものの、実はこういったGTカー、とくにオープンモデルは大好きで、DB11ヴォランテは「いつか買うであろうクルマのうちの一台になるだろうな」と感じた試乗でした。

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他の画像はFacebookのアルバム「アストンマーティン大阪」に保存中です。

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