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現在中国のEVメーカーはなんと400社!そのうち「エヴァーグランデNEV」は1台もクルマを売っていないのに株価が上昇し時価総額がGMやフォードを超える

2021/04/25

エヴァーグランデNEV」は1台もクルマを売っていないのに株価が上昇し時価総額がGMやフォードを超える

| 中国のEVバブルは度を越しているようにも思えるが |

さて、中国のEVバブルはとどまるところを知らず、現在はなんと400社にもおよぶEVメーカーが存在する、とのこと。

そして今回Bloombergが報じているのが「一台もEVを発売していないのに、会社の評価額(時価総額)が870億ドルを超え、時価総額でGM(ゼネラルモータース)やフォードを上回った」、というエヴァーグランデ・ニューエネルギー・ビークル(Evergrande NEV)なる会社。

なぜここまで評価額が巨大に?

なお、評価額とはつまるところ株式市場での株価×発行済株式ということになりますが、つまりそれだけ株価が高いということに。

そして株価が高くなった理由としてはよくわからないものの、一節によれば、「エヴァーグランデNEVの設立者が中国で有名な大富豪の一人、ホイ・カエン氏」「イーロン・マスクを負かすと豪語している」こと。

さらには今回の上海モータショーへと一気に9モデルを展示して「フルランアップ」を構築し市場を制圧する姿勢を示していること(絵に描いた餅だけではなく、なんらかの形を示した)もその理由のひとつに数えていいかもしれませんが、実のところ、2019年の決算時では1130億ドル(評価額よりも大きい・・・)の負債を計上しています。

実際にはまだ一台も製造していない

なお、当初の計画だとエヴァーグランデNEVは2022念3月までに年間50万台〜100万台のEVを生産する計画を持っていたものの、現時点で生産されたEVは(プロトタイプを覗いて)ゼロ。

ちなみに「50万台」というのは2020年にテスラが販売した車両の合計台数と同じ(つまり途方もない)数字で、しかし実際に多くの人がこれを信じたということになりますね。

現段階では2022年中のどこかでようやく納車が始まるという見積もりですが、これもまた「怪しい」目算だと言えそうです。

参考までに、エヴァーグランデNEVの発売するEVは開発から製造までを外部に委託しているそうで、自社では直接手を下すことはない、とのこと。

これらEVのブランド名は「Hengchi」で、価格は8万元〜60万元という設定です。

会社の実態は不動産業

そしてBloombergによれば、エヴァーグランデNEV内では「EVメーカー」という雰囲気はなく、新入社員はEVとは無関係の不動産販売セミナーへと参加させられ、社内のいたるところにまでマンション販売関連ポスターが掲示され、とにかく不動産取引一色という雰囲気がある模様(さらにボーナスは不動産販売に連動する)。

そこで、なぜこういった事が起きるのかということですが、中国では「法螺を吹いたもの勝ち」的なところがあり、もっともなホラ話を吹聴してまわれば周囲がお金を出してくれるという風潮が存在します。

これは「自分では働かずに他人のふんどしで相撲を取る」のがビジネスの基本だと認識しているためで(これが必ずしも悪いわけではない)、お金や実績がなくとも、それっぽいビジネスプランを出せばホイホイ投資家(個人含む)からの資金を獲得でき、そのまま上場すれば一気に億万長者という例も多数。

たとえば、スターバックスのライバルと言われたラッキンコーヒーは2017年に創業し、破竹の勢いで業容を拡大し、2019年にはナスダックに上場して時価総額が800億円に迫ろうという勢いを見せたものの、その後不正会計が発覚し「実際には利益が出ていなかった」ことが判明。

その後2021年2月には米で破産申請を行っていますが、もともとのビジネスモデルからして「(非常に安い価格で宅配を行ったり、タダでコーヒーを配ったり)利益が出る構造」ではなく、しかし多くの人が「ラッキンコーヒーの株は儲かる」ということで資金を投じたということになります(実態を見ず、他人がいいというモノはいいはずだ、という妄信的行為による)。

ちょっと前の話だと「シェアサイクル」も同様で、多くの企業がここに参入していますが、これもあれよあれよというまにバブルが大きくなり、一気に弾けてしまうことに。

中国ではいくらお金をつぎ込もうとも名前を売れば勝ちという考え方があり、計画的に利益を出していゆくというスタイルではなく、「有名になるためにお金を突っ込み、どうやって利益を出すかはその後で考える」という、現地でいう”焼銭”方式が起業の際のメジャーな手法となっています(こういったビジネススタイルの違いもあり、堅実な日本企業は中国企業との競争には勝てない)。

エヴァーグランデNEVの場合は、「EVはとにかく儲かる」と見て会社を設立し、そこで大口をたたいて信者を作って資金を集めたということになりますが、設立者のバックグラウンドからして自動車業界に明るいわけではなく、あまりに安易に参入してしまったとしかいいようがありません。

ただ、現在は不動産事業が好調ということで、もしかすると将来的には「そっち方面へ」と舵を切る可能性もありそうですね。

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参照:Bloomberg

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