| この新しいフェラーリのプラットフォームは「見れば見るほど」よく出来ているようだ |
この図面を見るに、他社もうかうかしてはいられない
さて、フェラーリは現在スーパーカーメーカーの中でも先陣を切ってエレクトリック化を進めているという状況ですが、現在ハイブリッドモデルとしてはSF90ストラダーレ、SF90スパイダー、そして296GTBを持ち、近日中には296GTBのオープンモデル(296GTS?)が発表されると言われます。
そして「ピュアエレクトリックスポーツ」についても”2025年以降に発売する”としていた計画を”2025年に”という目標に置き換えて邁進しているとされ、実際につい最近、その首脳陣を「電子業界出身者」へと置き換えたばかり。
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フェラーリの「ピュアエレクトリックモデル」の特許が申請される
そして今回、米国特許庁にてフェラーリが申請した「ピュアエレクトリックカーに関する」特許図面が公開されており、これを見るとほかメーカーとは異なる手法が採用されていることがわかります。
この特許の骨子としては「車体剛性を確保しつつもバッテリー搭載スペースを確保する」というもので、まずこちらは基本となる車体。
おそらくはアルミ製のパイプを使用した半モノコックといった感じですが、フロント~サイドメンバーが一体化していること、リアのクロスメンバーが車体の構成部品として機能していること、そしてフロアがスカスカなことが目に付きます。
これまでのガソリンエンジン搭載スーパーカーだと、キャビン部分をモノコック、そして前後はサブフレームで構成し、クロスメンバーは整備製を考慮してレス、もしくはタワーバーのように後付け(取り外し式)だったものの、この特許図面ではそういった「常識」と大きく異る姿を確認することが可能となっています。
そしてこれがバッテリーパックとアンダーカバーが一体化したユニット。
その構造は完全に新世代
これを下から車体にはめ込んでマリアージュ完了。
つまりは「上から」整備することを完全に捨て、バッテリーパックにアクセスする必要がある際は車体をまるごとリフトアップして「アンダートレー」をパカっと外すということになりますね。
ちなみにこの新しい車体では、ピュアエレクトリックのほか「ハイブリッド」にも対応するといい、その場合はフロントの空間、もしくはバッテリーパックの後ろにエンジンを載せることになるようです。
ただ、フロントに搭載する場合は(空間が狭く、ここへ変速機などを突っ込むのは難しいため)レンジエクステンダーとしての役割を期待することになるのかもしれません。
リアに搭載するケースだと、位置的に「リアエンジン」ということになりますが、その場合はバッテリー容量を小さくするなどしてトランスミッションやデフを収めるのかも。
今回のパテントではエレクトリックモーターの位置は示されておらず、左右の車輪の間にエレクトリックモーターとインバーターがセットされる可能性もありそうですが、以前に出願された特許との組合わせも可能なのだと思われます。
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ちなみにこちらがアンダートレーの構造。
シート後方の「チェスト」には数段に分けてバッテリーが搭載され、その容量を自由に調整できるようできるうえ、円柱型、パウチ型、角柱型のバッテリーセルに対応できるといい、将来的に実用化されるであろうソリッドステートバッテリーにも対応できそうですね。
アンダートレーを横と上から見るとこう。
助手席足元(右側)にも小型のバッテリーを搭載することが可能ですが、わざわざここにバッテリーを積む意味は不明です(もちろん意味はあるはず)。
フレームにアンダートレーをはめこむとこう。
サイドシルがかなり高いということもわかりますね(おまけに太い。もしかするとカーボンなのかもしれないが、特許図面を見るとボルト留めではなく溶接しているように見えるので、やはりここはアルミなのかも)。
そしてちょっとおもしろいのは、フロントアンダーからエアを取り入れ、リアに向けて大きく排出するという構造を持ち、つまりグラウンドエフェクトを最大限に活用する形状を持っていること。
これはガソリンエンジン搭載だと難しく(重心を下げるため、車体後部のエンジンを低い位置に積む必要があり、フロアを尻上がりにできない)、しかしEVではじめて可能となった構造だと考えていいのかもしれません。
ボディをドッキングさせるとこう。
「BT1」が小型のバッテリーパック、「BT2」がメインのバッテリーパックですね。
上から見るとこう。
やはりこれまでの「モノコック+サブフレーム」という構造とはことなり、全く新しい考え方で設計されているもよう。
すべてが合体するとこう。
見るからに剛性が高そうでもあり、かなり期待のできるプラットフォームだと思います。
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参照:The Drive