| 損傷範囲はけっこう広く、修理費用は安くない |
たしかにフェラーリF40は極めて扱いづらいクルマとしても知られているが
さて、スイスにて開催されたヒルクライムイベント「ケレンザーベルクレンネン」にて、不幸にもクラッシュを喫してしまったフェラーリF40が話題に。
先に述べておくと、幸いなことにドライバーや観客にケガはなく、救急車も駆けつけたものの、「そのまま誰も乗せることなく」帰ることになったと報じられています。
ただ、フェラーリF40のほうは無傷ではすまず、フロントが大きく大破し走行不能な状態となってしまい、クレーンにて吊り上げて積車に載せられ運び去られることに。
ここでその事故がどうやって起きたのかを見てみましょう。
フェラーリF40の事故はこうやって起こった
まず今回のヒルクライムイベントは公道にて行われており、こういった感じでフェラーリF40が登場。
その後を追うようにマセラティMC20やSF90ストラダーレ、カリフォルニアなどが峠を駆け上がってゆきます。
そして事故の瞬間こそは見えないものの、何かがガッシャンとぶつかった音がして、フタッフと思われる人々が慌ただしく動きだしたことから「何かが起きた」ことがわかります。
そしてこちらは事故直後。
ガードレールも大きく曲がったり、その下に車両が潜り込んだりしていないので、速度そのものはさほど出ていなかったのかもしれません。
なお、フェラーリF40は「そのまますぐにレースに出ることができる(公道走行可能な)フェラーリ」というコンセプトにて企画されており、スペースフレーム+カーボンファイバー製シャシーにV8ツインターボエンジンをミッドマウントするというレーシングカー同様の構造を持っています。
パワーステアリング無し、ブレーキアシスト無し、内装の内張りも無し、サイドウインドウは手動昇降式(もしくは小窓スライド式)というとんでもなくスパルタンなクルマです。
ただ、F40をF40たらしめているのは、グループCからデリバリーされた3リッターV8ツインターボ(F120A)で、478PSという高出力を発生させる反面、もともとレース用のエンジンだけあってターボチャージャーが大きく、それに起因して高回転でないと加給がかからないとされ、よって通常の街乗りにて使用する回転数から回転数を上げると一呼吸ののち急激な加給がかかるといった特性も(つまりターボラグの大きいドッカンターボ)。
そして今回のF40の事故についても、コーナリング中(というかカーブの出口で)アクセルを踏んだ後に急激にトルクが立ち上がり、それによって車両の制御を失った可能性がありそうです。
画像を見るとフロントは完全に潰れ、右リアも大きく破損しているので修理を要する範囲はかなり広く、当然ながら相当に高額な修理費を覚悟する必要がありそう。
なお、こういったクラシックカーやネオクラシックカーで問題となるのは「修理費用をカバーできる保険がなかなかない」ということで、このオーナーさんについては「ちゃんといい保険に入っている」ことを祈るばかりです。
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フェラーリF40は近年大きく価値を上げている
フェラーリF40は「フェラーリ40周年」を記念して製造されたスーパーカーですが、フェラーリにとって「初の周年記念モデル」でもあり、多くの購入希望者が殺到したことから、400台と言われた当初の生産予定台数を引き上げて1311台を製造しています。
ただ、その後フェラーリは記念限定モデルを(チャリティー目的の+1台を除き)増産することはなく、その生産台数を210~500台程度に収めており、よってF40の1311台というのは「かなり多め」。
そのため他の周年記念限定モデル(F50やエンツォフェラーリなど)に比較して相場が低迷した時期もあったものの、現在はその割り切ったスパルタンさが再評価され大きく取引金額を上げています。
しかしながらターボラグに起因する運転の難しさ、そして「燃えることが多い」という事実から個体数が減っている、さらには無事故の個体が減っており、程度の良いF40はさらにその価値を上げているようですね。
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