| ボクはテスラが新規事業に資金を投じることには賛成である |
一方、一部の投資家は「テスラは自動車事業のみに専念すべき」と考える
さて、テスラの株価はこの2週間で最大の下落を喫していますが(年初からおおよそ12%下落し940億ドルの評価額を失っている)、その理由は主に中国BYDの接近そして「確実に起き抜かれるであろう」という予測、そして世界的なEV需要の冷え込み、そしてハーツのテスラ車の大量売却、さらにはイーロン・マスクCEOの薬物使用疑惑などのニュース、そして懸念が一気に噴出したためだと言われています。
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イーロン・マスクCEOはさらなる支配権を求める
そしてこういった中でイーロン・マスクCEOが行った発言が「テスラは自動車メーカーというよりも、AIとロボットを開発する会社である」ということ、そして「25%の議決権が必要であり、これがなければAIとロボットの開発をテスラ内で進めることは難しい」というもの。
なお、イーロン・マスクCEOは現在テスラの発行済株式のうち13%(4億1100万株)を保有していますが、ここからさらに12%を獲得したいと考えていると捉えてよく、しかし現時点では具体的に12%獲得に動くのか、それとも増資を行い自身の引受分を拡大するのかなど実際の公道についてはナゾのまま(ぼくとしては、発行済株式を買いまくって欲しいとは思う。そのほうがテスラの株価も上がると考えられるので。ちなみにこの発言のあった日にはテスラの株価が1.2%ほど戻している)。
さらにイーロン・マスクCEOが言及したのは「最大25%の議決権を持たずにテスラをAIとロボット工学のリーダーに成長させるのは難しい」ということで、つまりは自分が自由研究開発を進める(リーダーシップを発揮する)には25%の議決権が必要であり、この25%の議決権がなければ自身の決定が覆される可能性が考えられ、よって(25%の議決権を獲得できなければ)テスラの社外で(おそらくは新しく自身の会社を設立して)AIそしてロボットの開発を行うとコメントしています。
参考までに、イーロン・マスクCEOは常々「テスラはソフトウエア会社である」と公言しており、AIについても2001年に「AIデー」を開催し「AI分野のリーダーであり続けること」に言及しているので、今回の発言はBYDの猛追によってEVトップ企業の座を奪われることに対するエクスキューズではないのかもしれません(多少その意味はあると思われるが)。
今後テスラは「どうなる」のか?
もうひとつ参考までに、テスラはスーパーコンピューター”Dojo”事業にも10億ドルを投じており、これは主に同社のオートパイロット(自動運転機能)を開発する一環だとされ(しかしこれによってテスラの企業価値は5000億ドル上昇するであろうと推測されている)、さらにはイーロン・マスクCEOが「自動車よりも大きな市場規模になる」と語るロボット「オプティマス」に対しても多額の研究費を割いています。
このオプティマスについてはすでに第2世代が公開されており、先日は「シャツを折りたたむ動画(これには様々な異論が挟まれている)」を公開したところ。
Optimus folds a shirt pic.twitter.com/3F5o3jVLq1
— Elon Musk (@elonmusk) January 15, 2024
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ただ、これらの事業についてもどの段階で黒字化するのか、そして利益を稼ぎ出せるのかという目処が立たず、よって一部投資家(テスラの株主)はこういった分野への投資を抑えたいと考えているのだと思われ、そしてそれら株主とイーロン・マスクCEOとの間に摩擦が生じているのかもしれません。
実際のところ、これまでにも株主とイーロン・マスクCEOが対立したケースは少なくはなく、一時は退任要求までが出されたほどですが、イーロン・マスクCEOの考え方はとうてい常人に理解できるものではなく、よって「株主が正しい」とも言い切れないのが実情です。
正直言うと、ぼくはテスラの将来について、「自動車のみ」として見た場合はさほど明るくはないと考えていて、それは日本の家電メーカーが中国や韓国の製品に取って代わられたように「テスラ車も遅かれ早かれ中国の自動車メーカーの製品によって追いやられる」と考えているからであり、よってテスラは自動車以外の道を模索すべきだとも考えているわけですね。
なお、同じような状況にあるのは「アップル」で、自ら作り出したスマートフォンという市場において韓国製品や中国製品の猛攻にさらされて存在感が薄れており、よって新しい事業を模索しているという状態が続いていますが、そうせずに「今までの製品に固執していては」未来がなく、これはその産業の成熟段階において必然の「過程」だとも捉えています(よってぼくは、イーロン・マスクCEOがさらなる議決権を獲得し、自動車以外に道を切り開くことには賛成である)。
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