| 様々な理由があるようだが、最大の原因は「EVの修理費用が高額すぎる」ことにあるようだ |
今回の決定は様々な意味で様々な方面に波紋を投げかける
さて、レンタカー大手のハーツ(Hertz)が自社が貸し出しているEVを約2万台売りに出し、かわりにガソリン車を購入するとの報道。
数年前にハーツはテスラ車を10万台導入すると発表し、その際にはテスラの株価が大きく上がるなど大きな話題と影響を振りまいたものの、実際にテスラ車の導入は(2023年で)約48,000台にとどまり、2022年には今後5年をかけ6万5000台のポールスター製EVを購入すると発表したものの、今回の決定によってこれらの「EV導入計画」が大きく後退(もしくは逆転)することとなります。
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いったいなぜこんなことに?
ハーツがEVを導入することによって多くの顧客に「はじめてEVを運転する機会」を与えることになったのは間違いなく、2021年に倒産の危機から回復したハーツに対し、2022年では87億ドルの利益をもたらしたとされています。
つまり、多くの顧客が「ハーツにテスラがあるから」別のレンタカー会社ではなくハーツを選択したとも考えられ、間違いなくハーツにとっては「メリットがあった」わけですね。
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ただ、そういった事情にもかかわらずハーツがテスラを含むEVを(2万台も)手放すのは維持コストが高いからだといい、とりわけ修理費用が高額だからだと説明されています。
「当四半期は、主にEVに関連した衝突や損傷に関連した費用が高止まりしたため、EV車両の大幅な削減に着手するという同社の決定を裏付ける結果となった」
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テスラの中古相場の下落も「EVを10万台導入する」計画に影響を与える
たしかにEVの修理費用は高額だとされていますが、もうひとつハーツが大量のEV(その内訳の大半はテスラだとされる)を手放す理由は「売却価格」にあるといい、というのもハーツ含むレンタカー会社は「レンタルに使用していた車両を売却した際の金額」も事業計画に含めているものの、テスラが相次ぎ値下げを行ったことでテスラの中古相場が下がってしまい、これによって「テスラの車両が思ったよりも高く売れない」という現実に直面することに。
よって「たしかに売上はあがるものの、修理費用が高く、かつ売却時に大きく損をする」ことから「EVをガソリン車に入れ替えたほうがトータルではより多くのお金が手元に残る」という判断を下したのだと考えられます。
なお、ちょっと気になるのはEVをレンタカーとして使用した際に生じる「EVならではの問題」が今回の判断に影響を及ぼしたのかどうかということで、つまりは「充電や電欠に関してのクレームやその対応にかかる手間がどうだったのか」であり、それらが影響したのかどうか(今回の報道ではそこには触れられていない)。
参考までに、現時点でハーツは自社のRent2Buyプログラムを通じてテスラを約400台販売しており、その一部は18,000ドル未満という格安な価格にて販売されています。
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参照:Reuters