| 内外装における「視覚」はもちろん、「機能」「構造」においても他にない新規性が取り入れられることとなりそうだ |
停滞がウワサされるロータスだけに、ここで暗い雰囲気を一掃したい
さて、ロータスはつい最近新型スポーツカーのティーザーキャンペーンを開始しており、これは当初「タイプ135」と呼ばれるコンパクトスポーツEVを示唆するものと見られていましたが、どうやら「全く別の」スーパースポーツとなるもよう。
この新しいスポーツカー「セオリー1」は、(メディア向けに開催された説明会によれば)「1,000馬力、全輪駆動、車体重量1,590kg以下」を目標にかかげる2ドアスポーツで、エスプリに似た外観を持ち、ロータスの将来のデザイン スキームを表すことを意図している、とのこと。
まだまだセオリー1の詳細はナゾに包まれているが
現時点ではこのセオリー1に関する情報公開は許されておらず、よって断片的にしか伝えることができないものの、フロントだと「薄いブーメラン型のヘッドライトを備えた明確なノーズ ブレード」を持ち、フォルムとしては「エスプリのミッドエンジンレイアウトを彷彿とさせるキャブフォワード形状」。
一方でリア エンドは超薄型のテールライト、高く展開可能なスポイラー、巨大なディフューザーを備え、これはまったくエスプリとは異なるもの。
ただ、ここで注目すべきは「直線的なデザインを持つ」ということで、これはエヴァイヤやエミーラとは全く異なる路線です。
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つまり、ロータスはここ最近の(スポーツカーに関する)路線を仕切り直す可能性が考えられ、とくにエヴァイヤについては(この段階で)「なかったこと」にしてしまい、新しいコンセプトを打ち出す可能性も。
おそらくエヴァイヤに対する反応が鈍く、かつあまりに過去のロータスとの「決別」路線が受け入れられなかった可能性が高く、よってロータスはここ最近のティーザー画像では「過去のF1マシン」「アナログ」を強調しており、よってこのセオリー1は「過去」を正しく解釈し未来へと進むという方向性を示す存在ということになるのかもしれません。
その他わかっているのは「ケーニグセグのディヘドラル シンクロヘリックス ドアとは逆に、後方に上方にスイングして開く」ドア。
ちょっと前までのスーパーカーやハイパーカーは「性能重視」であり、(ブガッティ・シロンであっても)通常のドアを備えるものが少なくはありませんでしたが、最近ではトゥールビヨンもディヘドラルドアを採用し、マクラーレンの新型ハイパーカー(コードネーム:P18)もガルウイングドアを取り入れると言われており、フェラーリはディヘドラルドアの採用について「ハイパーカーには、映画の1シーンを演出するようなドラマ性が必要である」とコメントしたことも。
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ブガッティ・トゥールビヨンの「上に開くドア」はデザイン的側面ではなく機能上の理由からだった。「あれは、ドレスを着た御婦人が降りるときに”変な格好”をしなくてすむようにです」
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よってロータスは現在過密になってきたスーパーカーあるいはハイパーカー市場において「視覚的インパクト」をもって対応する可能性が高く(もちろんそこに機能的な理由が伴うのもロータスである)、さらには「センターシートレイアウト」を採用する3座構成を採用するもよう。
加えてサイド ミラーの代わりにカメラシステムと、そして各Aピラーの横にヘッドアップディスプレイとスクリーンが装備され、奇妙なことにシート、ドア、ステアリング ホイールのファブリックにインフレータブル ポッドが埋め込まれており(これはティーザー動画でも確認できる)、これらによってドライバーに触覚フィードバックを提供するという意図を持っているようですね。※シート表皮ほ一部は3Dプリントされた格子構造で、各シートのヘッドレストにスピーカーが埋め込まれる。このあたりはロータスらしく、一つの構造で複数の役割を兼ねたり、軽量性を追求したということなのかもしれない
そのほか「オンデマンド」ボタンなる機能があり、これはキャビンの表面を覆う「反応性繊維」と呼ばれる素材で作られていて、必要なときにボタンを表示し、不要なときにはボタンを非表示にすることができるのだそう(視覚に限ると、新型ミニのダッシュボードのようなイメージなのかも)。
「この技術は必要なときだけ表示され、その後はボタンがオンデマンドで表示されるように消えますたとえば、運転中に後ろから車が近づいてきたら、シート ファブリックが肩を軽くたたきます。あるいは、電話がかかってくると、電話に出るためのボタンが表示されます。」
モータースキン社 マネージング ディレクター ファクンド・グティエレス
そしてもっとも重要なのはこのセオリー1の心臓部で、もちろんこれはピュアエレクトリック、そして目標航続可能距離は400km、そしてバッテリーパックは70kWh。
パフォーマンス的には「1,000馬力、0-100km/h加速2.5秒」という数字が示されており、これは目を瞠るような数字ではないものの、逆にロータスが”見せかけの数字”ではなくドライバーとのエンゲージメント、そして軽量性という基本理念に立ち返ることを示しているのだと思われます。
「マキシマリズムの時代が続いており、人々は一歩先んじて、さらに上を目指してきました。そして、スタイル面でも、技術のデモンストレーションでも、停滞期に達したと思います。この車では、狂ったような数字の競争をしているわけではありません。」
ロータス デザイン担当副社長 ベン・ペイン
ロータス「セオリー1」最新ティーザー動画はこちら
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参照:Lotus(YouTube)