| 少量生産車に対する「特例」の活用も視野に入れV12の存続を検討しているが |
アストンマーティンのみではなく、いくつかの自動車メーカーにとってV12エンジンの存続可否は大きな問題である
さて、アストンマーティンはV12エンジンを作り続ける数少ない自動車メーカーのひとつですが、今回そのV12エンジンにつき「未来が限られている」とコメント。
これは同社CEO、エイドリアン・ホールマーク氏が語ったもので、同氏によると「排ガス規制の強化や燃費基準の厳格化、さらにコスト削減のための部品・設計の共用化により、V12エンジンを永遠には維持できない」。
ただし現時点では「V12エンジンの締め切り」は決められていない
あわせてエイドリアン・ホールマーク氏は「V12の寿命は確かに短くなっているが、正確にいつ終了するかは未定である」「(現行の規制のままであれば)2028年がV12エンジンの終わりの年になる可能性が高い」とも。
しかしながらV12エンジンは同社に取って非常に強力な資産であり、「抜け道」についても検討しているようで、この抜け道とは「(北米市場での)低ボリューム向けの特例措置申請」。
排ガス規制は販売台数の少ない”ブティック”メーカーに対しては比較的寛容な内容となっていて、例えば年間100,000台のV12エンジン車を生産する場合には2028年が(規制上の)リミットとなりますが、「もしアメリカに150〜300台輸入するだけなら、低ボリューム向けの特例措置を申請でき」、かつ同様の措置はヨーロッパでも可能だといい、「一台ごとに型式認証を受ける選択肢もある」とのこと。
アストンマーティンはなんとかV12エンジンの存続を模索
たとえこの特例措置の適用を受けたとしても、2028年には(現行の規制下において)V12エンジン搭載車の「量産」がまず不可能となり、抜け道を用いたとしても極端に生産台数が減ってしまうわけですが、それはそれで希少性を担保できるものの、1台あたりのコストが尋常ではない額に達してしまうのかもしれません(しかし、それら限定車を購入できる人々にとっては大きな問題ではないだろう)。
なお、アストンマーティンはV12エンジンを「環境規制に適合させるべく」様々な手法を試みているとも語り、これによって寿命を延長させようとしているものの、実質的には2030年頃には現在のV12エンジンの終焉になるであろうという見方も示しています。
参考までに、アストンマーティンの最新V12(5.2リットルのツインターボエンジン)はもともとは1999年にフォード傘下時代に開発されたものがベースとなっていて、その設計のルーツを辿ると、フォードのV6エンジンを2つ組み合わせた形で生まれたユニットです。
このV12は当初5.9リットル・420馬力で登場し、のちに7.3リットル・820馬力まで進化し、サーキット専用車「ヴァルカン」へと搭載され、そして現在の5.2リットル版は2016年の「DBS」とともにデビューし、ツインターボ化された初のV12エンジンとなっています。
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参照:Carbuzz, Drive