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5年間待った甲斐があったようだ。アストンマーティンが「同社初」てんこ盛りのハイパーカー、ヴァルハラの市販モデルをついに発表。1079馬力、4WD、0-100㎞/h加速2.5秒、限定999台

5年間待った甲斐があったようだ。アストンマーティンが「同社初」てんこ盛りのハイパーカー、ヴァルハラの市販モデルをついに発表。1079馬力、4WD、0-100㎞/h加速2.5秒、限定999台

Image:Astonmartin

| この期間、アストンマーティンはF1を通じてその地位を高めてきたが |

それでも999台を完売するのは容易ではないかもしれない

さて、5年の開発期間を経て、ミッドエンジン ハイブリッド スーパーカー、「アストンマーティン ヴァル​​ハラ」の市販バージョンがついに登場。

まずスペックを述べておくと、車体ミッドに搭載されるエンジンは4リッターV8ツインターボ(828馬力)、そしてこれに3基のエレクトリックモーター(251馬力)を組み合わせることでシステム合計での最高出力は1,079馬力、最大トルク1,100Nmにも達し、これによって0-100㎞/h加速2.5秒、最高速350㎞/hを誇ります。

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新型アストンマーティン・ヴァルハラはこんなクルマ

このヴァルハラの起源は2019年のAM-RB 003コンセプトまで遡り、ヴァルハラ(Valhalla)の名は北欧神話の最高神であるオーディンが”勇敢に戦い死を迎えた”戦士を招く神殿から取られたもので、アストンマーティン伝統の「Vから始まる」という命名法則に倣ったもの。

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なお、最初の発表から今回の「発売」まで5年を要したのは経営体制の変更にあり、当初ヴァルハラは「ヴァルキリー、ヴァルハラ、(ミドシップ化される)ヴァンテージ」という三兄弟の中核を担うはずであったものの、その後ランス・ストロール氏が経営権を取得するに際して計画に変更が生じ、ヴァルキリーはもう変更できないところまでプロジェクトが進んでいたのでそのまま発売、しかしヴァルハラについては当時アストンマーティンが新しく開発していたV6エンジンを捨てて(アストンマーティンへの出資比率を高めた)メルセデスAMG由来のV8エンジンへとスイッチし、そのために多くを再設計する必要が生じています。※ちなみにヴァンテージのミドシップ化は完全にキャンセルされ、「ラゴンダ」計画も廃棄された

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そしてこの4リッターV8ツインターボエンジンは(AMG GTブラックシリーズで採用された)フラットプレーンクランク内蔵版が選択され、さらには新しいピストンとカムシャフト、ドライサンプ式オイル潤滑システム、アップグレードされたターボチャージャーが与えられることに。

これを補完するのは3つのエレクトリックモーターで、1つは8速デュアルクラッチトランスミッションに統合され、主にスターターと発電機として機能するほか、バッテリーパックを充電するための電力を送ります。

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他の2つはフロントにあり、左右各ホイールを回転させて全輪駆動グリップを実現しますが、これらのモーターは独立して動作し、サーキットではトルクベクタリングによる強力な旋回性能を発生させ、一般道では「時速130㎞/hまでの速度で、14㎞の距離を」ピュアエレクトリックモードにて走行させることができるほか、この2つのエレクトリックモーターは(ヴァルハラにはバックギアがないので)後退用の動力源としても機能します(ほかにもエレクトリックモーターがバックギアの変わりを兼ねるクルマは存在するが、フロントモーターがその役割を担うのは珍しい)。

その他の特徴としては、ヴァルキリー同様の「強大なダウンフォース」が挙げられており、時速240㎞/hでは(アクティブエアロが起動することで)最大650kgにまで高められ、さらには角度を自動的に調整することで「時速350キロまでの速度域において」この650kgが維持されるようですね。※逆に650kg以上としないのは

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新型アストンマーティン ヴァルハラの核となるのは新しい統合制御「IVC」

アストンマーティンはこのヴァルハラのパフォーマンスにおける重要なキーとして新しい統合車両ダイナミクス コントロール (IVC) システムを挙げており、このIVCはサスペンション、ステアリング、ブレーキ、トルク ベクタリングのみならず、エアブレーキ用のウィングの展開にいたるまで、文字通り「車両のすべての計算と調整」を行うとしていますが、これはBMWが新しい「電動版Mモデル」にて導入する車両統合制御システムに似たものだと考えられ、今後のハイパフォーマンスカーはすべからく「この方向」へと進むことになるのかもしれません。

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なお、ヴァルハラには4つのドライブモードが備わっていますが、このIVCのおかげで「各モードでのドライブフィールがそれぞれ全く異なるものにできた」とも述べています(制御の範囲が広がり、変化をつけやすくなったのだと思われる)。

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ヴァルハラの車体構造は「カーボンファイバー製モノコック+アルミ製サブフレーム」、リアには5リンク式のサスペンションが採用されるものの、フロントにはF1風のプッシュロッド式サスペンションが組み込まれ、これによってエレクトリックモーター用のスペースが確保されているのだそう。

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ちなみにヴァルハラの車体重量は1,655kgだとアナウンスされていますが、これは「3モーターを採用する4WD(AWD)ハイブリッド」として悪くない数字だと思います。

ブレーキシステムはブレンボからの供給によるもので、フロントは6ピストン+16.1インチのカーボンセラミックディスク(アストンマーティンの量産車としては最大である)、リアには4ピストン+15.3インチ。

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ホイールサイズはフロント20インチ/リア21インチ、そこへ装着されるタイヤはヴァルハラ専用に開発されたミシュラン パイロット スポーツ カップ2。

新型アストンマーティン ヴァルハラのインテリアはこうなっている

インテリアについては、その性格を反映して「他のアストン マーティン モデルと比べるとかなり質素」。

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バタフライドアを開けると、むき出しの(かつ大量の)カーボンファイバーが現れ、F1風のコンパクトなステアリング ホイールも。

ダッシュボードは「キャビンの幅いっぱいに広がるカーボンファイバー製の支柱」としても機能しており、ここへ2つのデジタル ディスプレイが取り付けられています。

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フロアは最新のハイパーカー、たとえばブガッティ・トゥールビヨンやマクラーレンW1ほど低くはなく、かつシートそのものは「車両に統合」される形ではなく「独立式」。

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このあたりからも、ヴァルハラは日常性を考慮した設計がなされていることがわかりますが、Bowers & Wilkins製のサウンドシステム(つまり助手席の人との会話はヘッドホン経由でなくてもいいということに)、ナビゲーションシステム、Apple CarPlayといった快適装備も見られるところから、同じハイパーカーといえど、ヴァルキリーとは大きく性格が異なるということもわかりますね。

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「批評家から絶賛を浴びている次世代スポーツカーの発売に続き、私たちは今回、史上初のミッドエンジン量産型アストンマーティンをポートフォリオに加えます。究極のドライバーズスーパーカーです。理論上も実走テストでも、ヴァルハラは最もドライバーオリエンテッドで技術的にも先進的なスーパーカーであり、真のハイパーカーとしてのパフォーマンスを発揮しますが、路上では他のアストンマーティンと同様に使いやすく楽しいものです。市場で最もエレガントでエキサイティングな製品となるよう設計されたユニークな提案です。」

アストンマーティンCEO エイドリアン・ホールマーク

冒頭にて述べたとおり、このヴァルハラは開発に5年を要しているものの、アストンマーティンとしては「初」の試みが多数盛り込まれ(同社の量産モデルとしては初のフラットプレーンクランクV8エンジンに4WD、最大サイズのブレーキローターなど)、かつ高い快適性を持つということで「待った甲斐がある」ハイパーカーだと考えてよいかと思います。

現時点で価格は公表されず、しかし限定台数は「999台」、生産は2025年第2四半期に開始されることについてのアナウンスがなされています。※直近でのアストンマーティン限定モデルの落札状況を見るに、もしかすると完売するのに苦労するかもしれない

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    参照:Astonmartin

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