
Image:Porsche
| ポルシェは昨年後半以降、「内燃機関」も存続させる方針へとシフトしている |
現在の自動車業界において勝敗を左右するのは「柔軟性」
さて、今週ポルシェは様々な発表を行い、非常に忙しい一週間を迎えていますが、フラッグシップモデルの登場、マカンの後継となる新しいガソリンSUVの開発計画を発表しただけではなく、同社は長期的な内燃機関(ICE)へのコミットメントも表明しています。
そしてこのコミットメントにおいて、ポルシェCEO、オリバー・ブルーメ氏は「カイエンとパナメーラが2030年代後半までガソリンエンジンを維持する」と明言し、両モデルの開発が引き続き行われると述べていて、「カイエンの延命」は以前に計画が明かされていたものの、パナメーラに”2030年までガソリンエンジンを積む”という公式コメントは今回はじめてなされたんじゃないかと認識しています。
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現在はポルシェにとって「想定外」の環境
ポルシェは数年前に「(911以外の)ラインナップをEVへと切り替える」という方針を採用し、それに向けて邁進していたわけですが、実際にマカンEVが登場し(そして今回、2026年にガソリン版のマカンの販売を終了させ、マカンがEV専用モデルになることがアナウンスされている)、そしてカイエンEV、718ボクスター・ケイマンEVが登場することが明らかになっています。
そんな中で状況が不透明であったのがパナメーラで、というのもポルシェはすでに「エレクトリックセダン」としてタイカンを有しており、ここでパナメーラがEVになると両者が競合するのでは、と言われていたわけですね。
ただし今回、ポルシェが「2030年まで、パナメーラにはガソリンエンジンが搭載される」と発表したことで少なくとも直近でのパナメーラのEV化はないと考えてよく、したがってタイカンとパナメーラとは「しばし」棲み分けることとなりそうです。
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なお、パナメーラは2024年に新生代モデルへと切り替わっていますが、ポルシェは別途「V8を存続させる」ともコメントしているので、やはり当面は「ダウンサイジング」がなされる心配もなく、「パナメーラはパナメーラであり続ける」ことができるものと思われます。
なぜポルシェは内燃機関に「再注力」するのか
上述の通り、ポルシェは「電動化」にほぼすべてをかけていたものの、昨年後半になって「ガソリンエンジンの存続」にも言及し始め、カイエンEV発売後にもカイエンのガソリン版を併売すること、V8エンジンを存続させること、そして直近では「マカン、カイエンとは異なる、ガソリンエンジンを搭載した新しいモデル」を投入することにも言及していますが、その方向性の変更の根底にあるのは「以前発表した高いEV目標が現実的ではないことに気づいたから」。
実際に今回の投資家向けの発表の中でも「2020年代末までに年間販売の80%を電動車にするという目標は”非現実的”であると」認め、これは2024年にポルシェが納車した車両のうち、内燃機関を搭載しない車は12.7%にとどまっていることを受け止めたからなのだと思われます。
かくしてポルシェは「ガソリンエンジンに再注力」することとなり、新型SUVが発売されれば(ただし2030年くらいになるもよう)ここから先に4つのガソリンモデル(911を含む)を販売することになり、一方で電動モデルは5つ(タイカン、マカン、718ケイマン、718ボクスター、カイエンEV)ということになりそうですね。※このほか、高級SUVの「J1」が登場する可能性も考えられる
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