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テスラが中国にてモデル3、モデルYの価格を9%値下げ!生産効率が上がったことを理由だとしているものの、競争激化に対するカウンターであるのは間違いなさそう

2022/10/25

テスラ

| これから多くのEVメーカーが価格競争に巻き込まれ、倒産の憂き目に合うものと思われる |

テスラはもちろん、欧米の自動車メーカーもどこまで耐えることができるのかの消耗戦に

さて、テスラが中国においてモデル3、そしてモデルYの価格を9%も値下げしたことが明らかに。

値下げの理由は上海工場の稼働率が向上し、生産コストが下がったからだと説明されており、モデル3の価格は27万9900元から26万5900元へ、モデルYの価格は31万6900元から28万8900元へと大きく値下げされています。

なお、テスラはその販売価格を「コストにあわせ」調整しており、今年に入ってからはコスト上昇を理由に(中国市場では)2回の値上げを行っていて、しかし値下げは「初」。

ちなみにですが、テスラのウエブサイトに表示されている価格は「納車時の価格」であり、たとえば納車時期が半年先であれば「半年先のコストを反映した価格」となっていて、そのためここ最近では急激なインフレを反映し、さらには長くなる納期を背景として値上げにつぐ値上げが世界中にて行われていたわけですが、逆に「インフレが落ち着けば」値下げの可能性もあると言及しており、イーロン・マスクCEOはさっそくこれを実行した、ということに。

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ただし需要が軟化していることも間違いない

しかしながら今回の値下げについては、中国にてEVが氾濫し、テスラの優位性や競争力が弱まったからだとの見方も多く、よって今回の値下げを受けてテスラの株価はなんと7%も下落。

実際のところ、テスラは上海工場のアップグレードを完了し、生産能力を週あたり1万7000台から2万2000台に引き上げたばかりではあるものの、9月の中国での販売台数は2.5%にとどまっており、これは8月の増加率(5.4%)の半分でしかなく、予想されていた増加率(3.3%)をも下回っています。

しかも、中国では現在「世界で最も速く」テスラの納車を受けることができる国でもありますが、この状況にもかかわらず納車台数が伸び悩んでいるのはちょっとした「危険信号」かもしれません。

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なお、テスラはちょっと前からこういった需要の軟化を敏感に感じ取っていたようで、中国市場のみ限定にて「テスラからテスラへの買い替え時に優遇を行う」措置を行っており、現在の中国での状況は確実に以前とは異なるということもわかります。

テスラ・モデルY

テスラ・モデルY
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来年は確実にEV価格競争に

今年は様々なサプライチェーン問題、地政学的リスク、原材料高騰に苦しめられ、いずれの自動車メーカーも値上げを続けてきたものの、中国商銀行国際部(CMBI)によれば、来年はそういった要因も落ち着き、むしろEVの過剰供給によって「価格競争」が起こる可能性があるとも指摘。

現在テスラはBYD、SAIC-GM-Wulingに次いで中国で3番目に売れているEVメーカーではありますが、それよりも下に位置するEVメーカー(NIOやシャオペンなど)が売上確保のためになりふり構わずに値下げを行ってくる可能性も否定できず、よって相当な苦戦を強いられる可能性もありそうです。

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ただ、こういった価格競争に耐えうる体力を持つEVメーカーはさほど多くないとも伝えられており、いっときの戦国時代を経て天下が平定されるのだとは思いますが、テスラがそこをうまく切り抜けることができるのかどうかには注目が集まるところ。

もちろんこういった価格競争が発生しうることは想定の範囲内であり、よってイーロン・マスクCEOはサイバートラックやセミ、ロードスターのような新型車の発売を遅らせてでも既存車種のコスト削減に取り組んだのだと思われます。

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さらにテスラは「まだまだ安価な」製造コストを持つ新型車の投入についても触れており、こちらも「EV戦国時代」を生き抜くための武器なのだと思われ、今後ますます厳しくなる競争に対する「備え」の成果を今こそ見せて欲しいところでもありますね。

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参照:Reuters

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