| 他社製品からの乗り換えではなく、自社製品からの乗り換えのみが対象なところがミソ |
テスラはやっぱりあらゆる意味において効率的でもある
さて、テスラが中国市場限定にて「乗り換え時に割引を行う」というキャンペーンを実施。
テスラがこういった割引を行うことは非常に珍しく、日本だとかつて「在庫車」を割り引いたことがあるものの、今では販売可能な在庫車もないので、それもまた「遠い昔の話」です。
それはともかくとして、今回中国にてオファーされているのは、テスラからテスラへの乗り換えを行えば「フルセルフドライビング(FSD)が半額の32,000元に」「1万5000キロ分の無料充電を提供」「家庭での無料充電8000元分をオファー」というもの。
なぜテスラがこういった割引を?
なお、今回の割引は4万元+無料充電ということになるので、日本円だと80万円+無料充電ということになり、これはかなり大きな値引きだということに。
ちなみにフルセルフドライビング(FSD)の半額割引を受けるには、下取りに出す車両にもFSDが搭載されている必要があるそうですが、それを踏まえても太っ腹なキャンペーンであることには間違いなく、年初から値上げをひたすら繰り返してきて状況だけに「なぜ」という感じでもありますね。
参考までに、テスラCEO、イーロン・マスク氏は度重なる値上げについては「恥ずかしい」レベルであり、その原因となるインフレが落ち着けば値下げの可能性もあると述べていて、今回のキャンペーンは「値下げ前」の試金石なのかもしれません。
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テスラには何らかの狙いがあるものと思われる
なお、「値下げ」と聞くと需要が減っているのではないかと考えたりするものの、テスラは「注文を集めるのには困っていない」はずで、となるとこの値引きの意図は別にあるはず。
考えられるのは「中古車販売でも利益をあげよう」ということで、中古車を(このキャンペーンを通じて)仕入れ、新車の販売も行いつつも中古車の販売において利益を得ようとしている可能性が大。
ここで重要なのは、「下取り車にFSDが装備されていること」で、テスラのクルマが他メーカーのクルマと異なるのは、多くのオプションにおいて「最初から、そのオプションを機能させるためのハードが備わっている」こと。
ただし顧客はそのオプション費用を支払わないとその機能を使用することができず、FSDもその例の一つです。
つまり、テスラ車にはFSDを可能とするカメラやセンサーがはじめから取り付けられていて、オプション費用を払えばこれらが利用可能になるわけですが、こういった方法を採用しているのは、「生産コストを(ほぼすべてのクルマを同じ仕様とすることで)引き下げる」「後にオプションの注文があっても物理的な作業を行わずに機能を有効化できる(サービスコストが下がる)」ことを狙ったのだと思われ、フランチャイズによるディーラーを持たないテスラならではの手法なのかもしれません(初期コストを下げることが必ずしも効率化につながるわけではない)。
そしてこのFSDのコストにつき、最初からカメラやセンサーが仕込まれていることからもわかるとおり「それほど原価は高くはない」ものと思われ、よって割引を行ったとしても十分にテスラに利益が残るものと思われます。
加えて、テスラが下取りした中古車を再び販売する際に、「FSDをオフ」にして販売する可能性が高く、そしてこの中古車を購入したオーナーからは別途「FSDを有効化するためのオプション料金」を取ることで利益を積み増すんじゃないかと考えており、文字通りこれはテスラにしかできない手法なのでしょうね。※同じクルマの同じオプションから、2回以上もそのオプション価格を得ることができる
今回のキャンペーンがもし「他社製品からの乗り換え」であればテスラの需要が減ったのではと疑うところですが、「自社からの乗り換え」が対象なのであればまた話は異なり、なかなかおもしろいことを考えたな、という印象です。
@Teslacn offers ownership loyalty program starting now til Sept 30th. Owners trade in their used Teslas for S3XY & will get the following perks:
— Ray4Tesla⚡️🚘☀️🔋 (@ray4tesla) July 28, 2022
1/ 50% off for FSD, saving ¥32k
2/ free 15k km Supercharging
3/ free home charging service valued at ¥8k pic.twitter.com/8NY1N9i7wq
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参照:Ray4Tesla