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テスラが世界で初めて「EV累計600万台の生産」を達成。ただしその生産ペースはスローダウン、ここからは「茨の道」となるのかも。すでに株価は今年に入り1/3下落

テスラが世界で初めて「EVのみで累計600万台の生産」を達成。ただしその生産ペースはスローダウン、ここからは「茨の道」となるのかも

| 世界中の新興EVメーカーがテスラを狙い撃ち、そしてEV市場は供給過多のうえ需要低迷 |

さらにテスラの「反対勢力」の拡大、実力行使が多々報じられる

さて、テスラが「累計生産が600万台に達した」と発表。

これは2008年に最初のモデルである”ロードスター”の生産からしてから16年後のことであり、2023年3月に400万台目の生産達成、2023年9月の500万台目の生産達成に続くもの。

そしてこのEV生産600万台というのは、BYD含む世界中のどのライバルよりも多い数字であり(PHEVまでを含めるとBYDのほうが多くなる)、まさにひとつのマイルストーンと言って良いかと思います。

BYDが自動車史上はじめて「600万台のEVを販売したメーカー」に。まさかこの最初のマイルストーンを達成したのが中国の自動車メーカーになろうとは
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テスラは生産を「調整」している?

なお、ここで注目しなくてはならないのは「400万台から500万台を達成するのに6ヶ月を要し、しかし500万台から600万台を達成するのにも6ヶ月を要している」こと。

これはつまり生産ペースがこれまでと変わらないということを意味しており、言い換えれば「成長していない」ということに。

テスラは市場の動向と在庫を見極めつつフレキシブルに生産を調整することでも知られますが、この数字を見るとやはり需要が鈍化していると考えざるを得ず、しかしフォードやGMのように「大幅減産を行うほど」ではないのかもしれません。

実際のところ、2024年第1四半期の推測では「生産台数の目標値は達成できなかったが、売上高は8%向上する」との予測もあり、今のところはまだダメージはさほど大きくないとも考えられます。

テスラにとっての悪夢はここから始まる?

ただ、現時点でテスラからの正式な発表はなく、よって確たる情報はないわけですが、まずCNBCでは「テスラは2024年第1四半期に475,000台を納入し売上が8%増加」と予想しており(前年同期は36%伸びている)、WSJでは(テスラの最大市場である)中国と米国では納車台数が5%減になるという予測。

そのほかでも「2020年春以来、はじめての納車台数”マイナス”になる」という推測が出されているので、とにかくテスラの納入台数が「目標どころか前年を割る」というのが多くの意見です。※ただ、中国の旧正月にあわせて工場を一旦閉鎖し改装することが事前にアナウンスされており、生産台数の伸び悩みはある程度織り込み済みでもある

この成長の鈍化にはいくつかの要因が考えられ、しかし主には中国での競争激化(2023年第4四半期にはBYDがテスラを抜き、最も売れているEVブランドとなった)、とくに主力モデルであるモデル3の価格競争力が相対的に低下していることが原因かと思われます。

それに加え、一部のアナリストらはイーロン・マスクCEOの行動や政治的見解が米国でのEV購入を思いとどまらせている可能性があると指摘。

伝統的に、低排出ガス車に関心を持つ人々は政治的に左に傾く傾向があるのですが、パンデミックとツイッター(現X)の買収以来、イーロン・マスク氏はプラットフォーム上でのヘイトスピーチを許可し、工場内での人種差別解消への取り組みを無視し、偏屈な陰謀論を推進し、右翼に同調しているとして批判にさらされているわけですね。

そのほかベルリン工場への放火、サイバートラックの納車が開始されたものの、人々が「バズ狙いで」意図的にサイバートラックを破壊するなどネガティブな側面ばかりが目立ったのが2024年第1四半期であり、テスラにとって「もっとも苦難に満ちた時期」がこの第1四半期であったのかも。

実際のところ2024年最初の3か月で同社の株価は29%下落していますが、ここから先にもあまり明るい材料がなく、AI事業も他社に対する優位性が感じられず、FSDのオプション装着率も低下し、一方で競合他社はモデル3に加えてモデルYを狙った新型車を投入していて、さらには頼みの綱の「25,000ドルのEV(モデル2と仮に呼ばれる)」の発売は2年以上先だと言われています。

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参照:Tesla(X)

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