| これまでEVは「一部の人」だけが購入する特殊な製品ではあったが、今だとEVは「普通の人」も購入する製品である |
こういった状況の変化に対応するには、不特定多数の人に向けた”広告”が一般に有用である
さて、テスラは(フェラーリと同じく)「自動車メーカーとしての有料広告を打たない」ことで知られており、数年前には広報部門を解体した、ともコメントしています。
これによってテスラは(ほかの自動車メーカーに比較して)年間数十億ドルという単位のコストを節約してきたと言われ、そのかわりにテスラおよびテスラのクルマの認知度を高めてきたのはイーロン・マスク氏の行動やXでの発言、紹介プログラム、そしてテスラボーイズと言われる熱烈な支持者のキャンペーンだと捉えられています。
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今と昔ではテスラを取り巻く状況が大きく変わる
こういった方針は今まで「効率的である」と称賛されており、というのも(数年前まで)EVは一部のアーリーアダプターのみが購入する製品であり、お金をかけて広告を行ったとしても、一般の人が「じゃあ買ってみようか」となるたぐいの製品ではなかったわけですね。
ただ、現在はEV購入者の裾野が大きく広がり、多くの人がEVに対して興味を持ち、さらにはこの状況の中で多数の競合が存在していて、かつては不特定多数を対象とした広告の必要性(有用性)がさほど高くはなかったものの、現代では「広告を打たねばその存在が埋もれてしまう」状況へと変化していると考えていいかもしれません。
よって、直近の株主総会などでは「テスラは宣伝広告活動を行わないのか」という株主からの問いかけもあり、これに対してイーロン・マスクCEOは「検討する」と返しています。
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実は広告を打ったことがないテスラ。今回の株主総会にてイーロン・マスクCEOが「公告を試す」とコメント→会場が歓喜に包まれる
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テスラはついに「有料広告」の展開を開始
そして今回話題となっているのが「テスラの広告開始」。
テスラは2018年以降Facebookページを削除していたものの、今週はじめにFacebookページを再度開設し、そこでさっそく有料広告を展開しています。
つまり、テスラは有料広告が必要であると判断し、そのためにFacebookページを再開したとも考えられますが、これによってテスラは「マジョリティ」へとその存在の周知を行おうとしているのかもしれません。
実際のところ、テスラはメタ社が(Facebook同様に)提供しているプラットフォーム、インスタグラム上においても(No.1のアメリカンEVブランドであることや、税制優遇を適用すれば安価に購入できることなどを押し出して)宣伝を開始しており、さらにはTikTokそしてYoutube、X上でも広告を展開するなど今までとは方向性が一変することに。
BREAKING: Tesla has officially started paid advertisements on Instagram for the first time.
— Sawyer Merritt (@SawyerMerritt) March 26, 2024
Instagram has over 2 billion monthly active users, or ~25% of the global population. pic.twitter.com/j0z1oCfqNP
これはもちろん「テスラの販売状況がかなり芳しくない」という事実を連想させる反面、理論上では「販売増に繋がる」ことも予想され、いったんのプラス材料だと考えて良いかと思います(現在テスラの株価は低迷しており、2024年のS&P500銘柄の中では最もパフォーマンスが悪い)。
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