| もっとも競争が厳しい中国のEV市場において存在感を維持することは容易ではない |
やはりどの市場にも「先行者利益」があると言っていい
さて、BYD「秦」にその座を奪われたとも報じられたものの、テスラ・モデルYが2024年通じ、中国でもっとも売れたクルマになったとのこと。
参考までに、テスラ・モデルYの需要は世界的に見て(競合が増えたので)低下しつつあるものの、逆に中国では増加傾向を見せており、このあたりは先行者利益を活用したテスラの「ブランド力」が大きく影響したということなのかもしれません。(それと同様に、中国では多数の追随者が現れているものの、iPhoneの存在感がいまなお強い)。
2024年11月の時点までは「2位」であったが
なお、テスラ・モデルYはEV普及率が高いとされるノルウェーでは27%、アイスランドでは87%、ルクセンブルクでは31%減少しているそうですが、これはやはりモデルYの発表が2019年と「比較的古い」こと、そしてその後に多数の魅力的な代替選択肢が登場したことに由来するのかもしれません。
その一方で中国では、フェイスリフト版「ジュニパー」の発売直前にモデルYの販売が増加するという現象が発生しており、これは主に(フェイスリフト前の)モデルYが値下げされたことによるものだと言われています。
そしてこの値下げによる販売加速の効果は非常に大きく、11月までは販売首位であったBYD秦を「1ヶ月で」抜き去って年間首位に輝いたわけですが、12月には61,881台を販売し、これは2022年11月の69,098台、2022年8月の62,169台に次ぐ第3位の販売台数です。※テスラ中国は12月に全車種含め93,766台を販売し、全体でも過去3番目の最高記録を更新している
そしてこの12月の好調につき、「値下げ」以外の要素もあるといい、それはスラが2024年後半に中国で行った一連のマーケティング活動。
例えば、テスラのVPグレース・タオ氏は、テスラが過去6年間で一度もリコールされていないことを強調し、安全性を証明したと述べています。
販売増加のその他の要因には、スマートサモン(召喚)機能の導入も報じられ、これらが奏功し「わずか284台差にて」BYD秦を退け首位に立ったわけですね。
あわせて読みたい、テスラ関連投稿
-
「欧州の排ガス規制が厳しすぎるため」トヨタ、マツダ、フォード、GMがテスラに助けを求め、テスラは2025年に1600億円近くも臨時収入を得る可能性が報じられる
| これまでにもテスラは「規制未達企業」のためにクレジットを販売してきたが | EV不振の流れを受け、それが大きく膨らむ可能性も さて、排ガス規制が「厳しすぎ」、それによってテスラにとっての思わぬ収益 ...
続きを見る
-
テスラが新型モデルYを発表。これまで業界をリードしてきたテスラがついに「中国の主要トレンド」を取り入れたルックスに
Image:TESLA | ただしインテリアでは実用的な改良を盛り込み、全体での商品力を大きく向上させている | これによって「BYDに奪われた」首位の奪還なるか さて、テスラがついに「モデルY ジュ ...
続きを見る
-
テスラに有利なトランプ政権の誕生により、「バイデン政権下での政策に対応した巨額投資」が無駄になりそうなヒョンデ。それでも「テスラと新大統領が近いのは業界にとっていいことです」
| 政権とその戦略によって計画を「180度」修正する必要が生じるのが現代の恐ろしさである | この環境下では長期的な計画はさほど意味を持たず、「多様性」「柔軟性」がもっとも重要なファクターであろう さ ...
続きを見る