>ポルシェ(Porsche) ■自動車各社業績/ランキング/記録等

ポルシェが2024年の販売台数を公開、全世界では-3%。タイカンは-49%、一方で718ケイマン / ボクスターは15%も伸びるというナゾ現象

ポルシェ

| 9月に納車が開始されたばかりのマカンEVの販売が意外と好調、タイカンに近い台数を売り上げる |

やはりダントツのナンバーワンはカイエンである

さて、ポルシェが2024年通年の販売を発表し、総納車台数は3%減の310,718台であったことが明らかに(日本は116.1%である)。

なお車種によって販売状況が大きく変わっており、予想通り内燃機関(ガソリンエンジン)搭載車は「好調」、EVは「不調」という結果に終わっています。

ランボルギーニ
2024年12月 / 2024年通年での輸入車登録状況が公開。ポルシェ、ランボルギーニなどスポーツカーブランドが好調、一方で欧州製のコンパクトカー、そしてプレミアムセグメントが弱い

| ばらつきこそはあるものの、高価格帯のクルマがここまで「強い」とは | 「超」級ブランド、ロールスロイスに至ってはなんと160%超の成長である さて、2024年12月及び2024年通年での輸入車登録 ...

続きを見る

ポルシェの2024年の世界販売結果はこうなっている

そこで今回ポルシェによって発表された2024年の販売結果を見てみると、もっとも売れたのはカイエン、そしてマカン(ガソリン)、911、パナメーラ、718 ボクスター/ケイマン、タイカン、マカンEVといった順番です。

モデル2024年販売台数2023年との比較
タイカン20,836-49%
マカンEV18,278NA
マカンICE(ガソリン)64,517-26.14%
カイエン102,889+18%
パナメーラ29,587-13%
91150,941+2%
718 ボクスター/ケイマン23,670+15%
ポルシェを復活させたのはボクスターだが、ポルシェの経済基盤を盤石にしたのはカイエンだった。両者ともに適切な時期に登場し適切な役割を果たしている
ポルシェを復活させたのはボクスターだが、ポルシェの経済基盤を盤石にしたのはカイエンだった。両者ともに適切な時期に登場し適切な役割を果たしている

| 今日のすばらしいポルシェ911があるのはボクスター、そしてカイエンのおかげでもある | ポルシェはボクスターとカイエンによって「新しい開発と製造手法」を身に着けたのだとも考えられる さて、前回はど ...

続きを見る

そしてもっとも販売が減少したのはタイカン(-49%つまり半減)ですが、ポルシェはその原因として、モデルの中期改良(フェイスリフト)を挙げており、たしかに通常、フェイスリフトモデルは販売ペースが遅くなる傾向にあるのである程度理解ができるとろ。

その一方、ポルシェは「電気モビリティの普及は予想以上に遅れている」と認めており、言い換えれば、ポルシェがEVの成長について過度に楽観的だったということも明らかに(よってポルシェはEVにもガソリンエンジンを積むかもしれないとコメントしている)。

ポルシェ
販売と利益が大きく減ってしまったポルシェ。「電動化はうまく進んでおらず、今の状況を考慮すると”困難”です。もはやプレミアムマーケットでは誰もEVに興味を示していません」

| 運命の歯車は突如として「逆転」しはじめることがある | これまでポルシェはひたすら「増収増益」を繰り返してきたが さて、ポルシェは2024年第3四半期の決算を公開し、そこでは中国市場での販売台数が ...

続きを見る

ただしちょっと以外だったのはポルシェのもう一つの電動車である「第二世代のマカン」のデリバリーが比較的好調であったことで、なんとタイカンに迫る販売台数を記録しており、納車が9月末に始まったばかりということを考慮すると「マカンEVは順調なスタートを切った」と考えていいのかも。

L1012636

ポルシェは「法規制」に翻弄される

新型ポルシェ マカン ターボ(EV)発表会へ。専用アクセント「ターボナイト」も採用、やはりターボと名のつくモデルは一味違う仕上がりに【動画】
新型ポルシェ マカン ターボ(EV)発表会へ。専用アクセント「ターボナイト」も採用、やはりターボと名のつくモデルは一味違う仕上がりに【動画】

| 新型マカン エレクトリックの細部からはこれまでのポルシェとはまた異なる品質の高さが感じられる | おそらくはこれが「次世代」ポルシェの進む道なのであろう さて、ザ・ガーデンオリエンタル大阪にて開催 ...

続きを見る

一方でガソリンエンジン搭載マカンの販売は2024年7月までEUで続いていたものの、新しいサイバーセキュリティ規制によってヨーロッパでの販売は終了し、他地域でも2026年には販売が終了する予定ではありますが、こちらも予定を変更し「販売が継続される」可能性が示唆されています。

ポルシェ
ポルシェが再三の方針変更によって「ガソリン版マカン」の販売を継続するようだ。ただし現時点では「北米のみ」「当面の間」とされるもガソリン版マカンの生き残り模索を開始か

| 北米ではガソリン版マカン、そしてEV版マカンとがしばし併売されることになるが | ガソリン版よりも20%高額なマカンEVの販売を成功させることはより困難になるであろう さて、ポルシェがタイカンの販 ...

続きを見る

そのほか、カイエンは前年比18%増(10万台を突破)と好調で、2023年に行われた大規模フェイスリフトが奏功したと考えてよく、純粋な電動版(BEV)カイエンも現在開発が進められ、2020年代後半には市場に搭載される計画となっています。

一方でポルシェにとって「期待外れ」だったのがパナメーラで、こちらは前年比13%減の29,587台という数字にとどまり、特に中国での需要が低下したことが影響することに(中国市場での販売は28%減少し、しかしその他の地域では需要が増加して中国市場の落ち込みをカバーしている)。

スポーツモデルだと911は2%増の50,941台、ボクスター/ケイマンは15%増の23,670台を売り上げていますが、718シリーズの好調な販売成績は特に注目に値するもので、というのもマカンと同じように、718もサイバーセキュリティ規制によってヨーロッパでは販売が終了しているため。

L1410794

そしてこの「販売増」の理由はナゾですが(とくに販売に大きく貢献するモデルが追加されたり、フェイスリフトは受けていない)これは「近い将来、EVバージョンの後継モデルに取って代わられる」ことが関係しているのかもしれません。※しかし最近の報道によると、718ボクスター / ケイマン後継となるEVの開発は計画通りに進んでいないようだ

ポルシェ
ポルシェは718ボクスター / ケイマンの電動化に苦慮しているとの報道。バッテリーのミドシップマウント化が難航しているもよう

| 興味深いことに、ポルシェはピュアエレクトリック版718ボクスター / ケイマンにつき、ガソリン車用プラットフォームを使用している | もしかすると次期718ボクスター / ケイマンは「ハイブリッド ...

続きを見る

合わせて読みたい、ポルシェ関連投稿

ポルシェが中国での「販売30%減」を受け現地のディーラーを大幅削減すると発表。中国依存の反動は大きく「今後、中国は以前のように戻るとは期待できないでしょう」
ポルシェが中国での「販売30%減」を受け現地のディーラーを大幅削減すると発表。中国依存の反動は大きく「今後、中国は以前のように戻るとは期待できないでしょう」

| ポルシェは販売台数以上に「利益」面において中国に大きく依存していたため、非常に大きなダメージを受ける可能性がある | 更に大きな問題は「この状況が改善しないであろう」ということである さて、ポルシ ...

続きを見る

ポルシェ・マカンEV
ポルシェの16年にわたる成長神話がついに崩壊か。2009年から今までに販売台数をほぼ3倍に拡大、しかし今年は現時点で7%減、前年割れが確実に

| これには様々な複合的要因が考えられ、それだけに問題を一朝一夕に解決するのは困難であろう | しかしもっとも大きな要因は「EVの不調」「中国市場の減速」である さて、現在ポルシェはその苦境が報じられ ...

続きを見る

ポルシェ・タイカン
ポルシェの中国市場における販売が3割も落ち込み、ディーラーを約1/3削減することに。一方で「体験型ディーラー」「オンライン販売」へとシフトし、中国の自動車メーカーが採用する手法を取り入れる

| 中国の顧客は急速に「ポルシェに飽きて」いる | ポルシェは今年に入り約30%の販売減少を記録し、中国における輸入車全般の「倍」の縮小幅に さて、たびたび苦境が報じられるポルシェではありますが、その ...

続きを見る

参照:Porsche

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->ポルシェ(Porsche), ■自動車各社業績/ランキング/記録等
-, , , , , , , ,