| 9月に納車が開始されたばかりのマカンEVの販売が意外と好調、タイカンに近い台数を売り上げる |
やはりダントツのナンバーワンはカイエンである
さて、ポルシェが2024年通年の販売を発表し、総納車台数は3%減の310,718台であったことが明らかに(日本は116.1%である)。
なお車種によって販売状況が大きく変わっており、予想通り内燃機関(ガソリンエンジン)搭載車は「好調」、EVは「不調」という結果に終わっています。
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ポルシェの2024年の世界販売結果はこうなっている
そこで今回ポルシェによって発表された2024年の販売結果を見てみると、もっとも売れたのはカイエン、そしてマカン(ガソリン)、911、パナメーラ、718 ボクスター/ケイマン、タイカン、マカンEVといった順番です。
モデル | 2024年販売台数 | 2023年との比較 |
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タイカン | 20,836 | -49% |
マカンEV | 18,278 | NA |
マカンICE(ガソリン) | 64,517 | -26.14% |
カイエン | 102,889 | +18% |
パナメーラ | 29,587 | -13% |
911 | 50,941 | +2% |
718 ボクスター/ケイマン | 23,670 | +15% |
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そしてもっとも販売が減少したのはタイカン(-49%つまり半減)ですが、ポルシェはその原因として、モデルの中期改良(フェイスリフト)を挙げており、たしかに通常、フェイスリフトモデルは販売ペースが遅くなる傾向にあるのである程度理解ができるとろ。
その一方、ポルシェは「電気モビリティの普及は予想以上に遅れている」と認めており、言い換えれば、ポルシェがEVの成長について過度に楽観的だったということも明らかに(よってポルシェはEVにもガソリンエンジンを積むかもしれないとコメントしている)。
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ただしちょっと以外だったのはポルシェのもう一つの電動車である「第二世代のマカン」のデリバリーが比較的好調であったことで、なんとタイカンに迫る販売台数を記録しており、納車が9月末に始まったばかりということを考慮すると「マカンEVは順調なスタートを切った」と考えていいのかも。
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一方でガソリンエンジン搭載マカンの販売は2024年7月までEUで続いていたものの、新しいサイバーセキュリティ規制によってヨーロッパでの販売は終了し、他地域でも2026年には販売が終了する予定ではありますが、こちらも予定を変更し「販売が継続される」可能性が示唆されています。
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そのほか、カイエンは前年比18%増(10万台を突破)と好調で、2023年に行われた大規模フェイスリフトが奏功したと考えてよく、純粋な電動版(BEV)カイエンも現在開発が進められ、2020年代後半には市場に搭載される計画となっています。
一方でポルシェにとって「期待外れ」だったのがパナメーラで、こちらは前年比13%減の29,587台という数字にとどまり、特に中国での需要が低下したことが影響することに(中国市場での販売は28%減少し、しかしその他の地域では需要が増加して中国市場の落ち込みをカバーしている)。
スポーツモデルだと911は2%増の50,941台、ボクスター/ケイマンは15%増の23,670台を売り上げていますが、718シリーズの好調な販売成績は特に注目に値するもので、というのもマカンと同じように、718もサイバーセキュリティ規制によってヨーロッパでは販売が終了しているため。
そしてこの「販売増」の理由はナゾですが(とくに販売に大きく貢献するモデルが追加されたり、フェイスリフトは受けていない)これは「近い将来、EVバージョンの後継モデルに取って代わられる」ことが関係しているのかもしれません。※しかし最近の報道によると、718ボクスター / ケイマン後継となるEVの開発は計画通りに進んでいないようだ
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参照:Porsche