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環境意識の高い欧州において「まさかのEVシェア縮小」。かわりに伸びたのはPHEVではなくハイブリッド、予想通り2024年は「ハイブリッドの天下」となるのかも

トヨタ

| まさか1年前にはこういった状況になるとは誰も想像していなかっただろう |

やはり急激に進んだインフレによって消費者の(高額なEVを購入するための)余裕がなくなったことが大きく影響か

さて、世界各地で「EVの成長に陰り」という報道がなされていますが、それは(もっとも環境に対する意識が高い地域の一つである)EUでも同様で、成長自体は継続しているものの、その伸び率が鈍化しているとの報道。

2024年2月の欧州においてはおおよそ新車のうち「8台に1台(12%)」が電気自動車で、前年比では10.8%から11.5%の成長率となったそうですが、この成長率は前年に比較すると鈍化しているうえ、EVが自動車市場(新車販売)にて占めるシェアが昨年の12.1%から12%へとわずかに縮小したもよう。※米国のEVシェアは7.6%

これはつまり、EVもまだ成長しているものの、その成長速度が遅くなり、一方でほかのパワートレーンを積んでいるクルマのほうがよく売れているという事実を示すことにほかなりません。

欧州の新車販売自体は10.1%の成長を記録

なお、同時期における欧州の新車販売は10.1%の成長であったとされ(フランス、イタリア、スペインでの登録が増えている)、EVの成長率はかろうじてこれを上回っているものの、まさかの「シェア低下」は由々しき事態。

じゃあ代わりに欧州の人がどんなクルマを購入しているのかというと、それは「(PHEVではなく)ガソリンハイブリッド」であり、これは前年同期比で25%という大きな成長を見せ、そのシェアが25.5%から28.9%へと上昇しています。

一方シェアを大きく落としたのはガソリンとディーゼルという内燃機関搭載車で、これは昨年の51.9%から今年では48.4%となり、ガソリン車単体だと36.9%から35.5%へ、ディーゼル車だと15%から12.9%へ(ただし国別に見てみると、ドイツではディーゼル車の販売が9.7%増えるなどの異変もある)。

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欧州における2024年2月のパワートレーン別シェアはこうなっている

そこで2024年2月の欧州におけるパワートレーン別シェアを見てみると以下の通り。

やはりハイブリッド人気が高いということがわかりますが、PHEVはさほど多くなく(7.3%、しかもそんなに増えてない)、その他のパワートレーン(おそらくは水素や天然ガス)が意外と多いことには驚かされます。

パワートレーン2024年2月の市場シェア2024年3月の市場シェア
EV12%12.1%
ハイブリッド28.9%25.5%
PHEV7.3%7.2%
ガソリン35.5%36.9%
ディーゼル12.9%15%
その他3.4%3.3%

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参照:ACEA

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