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バッテリー先端企業「ソリッドステートバッテリー(全固体電池)の実用化にはまだ10年はかかる。そろそろ我々は直近の実用化への期待を捨てて代替手段を模索すべき」

2022/11/13

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一部自動車メーカーはすでに代替手段を構築しつつある

高速充電バッテリー技術企業のストアドット社によれば「全固体電池(ソリッドステートバッテリー)の大量生産は少なくとも10年先になるだろう」。※同社はバッテリー技術に関する先端企業であり、メルセデス・ベンツやボルボからの出資を受け、全固体電池の開発に取り組んでいる

現在多くの自動車メーカーやバッテリーメーカーがこのソリッドステートバッテリー実用化のための研究を行っていますが、ほとんどの例において予定よりも実用化が遅れており、中には「やっぱり無理」としてこれを諦めている企業も登場している状況となっています。※トヨタは2020年の東京オリンピックまでに実用化を目指していたが、現時点でも実現できていない

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ソリッドステートバッテリーは現段階では大きな問題を抱えている

ストアドットは「全固体電池は、費用対効果の高い高速かつ安全な充電が可能で、エネルギー密度も高いものの、全固体電池はまだまだ発展途上であり、大規模な製造が可能になるまでに大きな課題を抱えている」とコメント。

そしてそれまでの「つなぎ」として、各自動車メーカーは半固体電池などの暫定的な技術を導入することを検討すべきであるとも主張しています。

なお、ストアドットCEO、ドーロン・マイヤースドルフ博士によると「ストアドットのような主要なバッテリー開発企業が、世界の自動車メーカーに対し、超高速充電バッテリー技術導入のための現実的で誇大広告のないロードマップを提供することが極めて重要です。現在、ライバル企業がソリッドステートバッテリーに対して強気な主張をしていますが、量産を実現するのはまだ10年以上先の話です。現在、高速充電電気自動車アーキテクチャを開発している自動車メーカーにとって、全固体電池が特効薬でないことは確かです」。

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要は「バッテリーメーカーは、ソリッドステートバッテリーの実用化が目前に迫っているとして、自動車メーカーに期待をもたせるべきではない」ということなのだと思われますが、自動車メーカーとしてはサプライヤーの言うことをそのまま信じるしかなく、「2025年にソリッドステートバッテリーが完成する」と言われればそれを信用し、それをベースにした計画を練ることになるのかもしれません。

ストアドットに関してだと、2028年に「半個体電池」の量産開始を目指しているといい、それはわずか3分で100マイル(161キロメートル)の充電を達成することができる、とのこと。

これは全固体電池に比較すると製造工程がシンプルで難易度が低いというメリットがあるとしていますが、こういったバッテリーの先端企業から「ソリッドステートバッテリーの実用化はまだまだ先」と聞かされるのは「夢が遠のいた」という感じでもありますね(しかたない)。

ソリッドステートバッテリーを積むのはどんなクルマ?

なお、現在多くの自動車メーカーがソリッドステートバッテリーの開発に取り組んでおり、トヨタ、そしてBMWはかなり「進んでいる」グループだとも。

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そしてスポーツカーメーカーについてだと、多くのメーカーが現在のバッテリー(リチウムイオンバッテリー)では車体重量が重くなりすぎるためにソリッドステートバッテリーの実用化を待っている状態ですが、ちょっと前までの報道だと、ソリッドステートバッテリーが2025年くらいに実用化されることを見越して「22025〜2028年くらい」に発表するというスケジュールが多いもよう(しかし、ソリッドステートバッテリーの実用化の遅れとともに、これらの発表も遅くなりそうだ)。

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そしてこういった状況を敏感に察知したのか、ポルシェは現行バッテリーの技術をベースにした改良型バッテリーを生産する計画を公表しており、これをもって「つなぎ」とする可能性も。

なお、フォルクスワーゲングループもソリッドステートバッテリーに対して前向きに取り組んでいた企業であったものの、最近はその方面の話を聞かず、ポルシェの方向性、そしてランボルギーニが他ライバルとは異なり「エレクトリックハイパーカーを(当面)発売しない」ということからも、現在の製品ポートフォリオにソリッドステートバッテリーを組み込むことはできないと判断しているのかもしれませんね。

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参照:Inside EVs

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