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調査会社「現在、自動車購入検討者の半数はEVを否定するEV懐疑論者です。ですが、5年後には彼らの50%、9年後には70%、10年後には80%がEV購入を検討するはずです」

調査会社「現在、自動車購入検討者の半数はEVを否定するEV懐疑論者です。ですが、5年後には彼らの50%、9年後には70%、10年後には80%がEV購入を検討するはずです」

| EVに関しては「技術」「利便性」「コスト」など、そのほとんどが当初予期されたとおりに推移していない |

加えて「修理」「保険」タイヤの摩耗」など別問題も発生している

さて、ここ最近叫ばれるのが「EV需要の鈍化」。

これについては「EVが売れなくなった」かのように報じられるものの、実際には「EV市場自体は成長を続けているものの、その成長率が低くなっている」というだけであり、EVの販売台数自体は継続して伸びているわけですね。

なお、成長率が鈍ったことについては様々な理由があるかと思われ、その一つが「キャズムの壁」。

キャズム(イノベーター)理論で言うところの「アーリーアダプター(新しいものを積極的に購入する人で、人口の13%くらい)」にまでは普及したものの、そこから先の「アーリーマジョリティ(流行しはじめた初期にそれに瑞々する人、同34%くらい)」へと移行するための壁を突破できないと言われています。

香港
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その他にもEVが普及しない理由は多々あるが

そしてキャズムの壁を超えることができない理由は「EV、つまり新しいものに抵抗があるから」。

これがいわゆる「EV懐疑論者」というわけですが、最新の調査だと、この中でも最も懐疑的、つまり「EVを購入しない」と考えている人は米国では自動車購入者のうち半数にものぼるといい、しかしこの調査を実施したコックス・オートモーティブでは「今後3~5年で多くのEV懐疑論者がEVの購入を検討するようになり、2033年までには自動車購入検討者のうち80%がEV購入を検討する可能性がある」。

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実際のところ、コックス・オートモーティブ社リサーチ・マーケットインテリジェンス担当バイスプレジデントのイザベル・ヘルムズ氏は現在のEV市場の成長のかげりについて「最近のEV販売検討額の低下とEV販売の伸びの鈍化は正常なことである」と考えているようです。

EV販売の伸びが鈍化し、購入検討額(車両価格)も縮小しているが、これは正常な成長曲線の一部であり、これで終わりではないと考えています。私たちは米国におけるEV販売の長期的な将来について引き続き強気です。 インフラストラクチャ、教育、技術革新と改善がさらに進むことで、電気自動車の販売は長期的に成長し続けると考えています。

そしてEV懐疑論者がEVの購入を検討するようになる理由につき、同氏は「1.技術の進歩によって、航続距離が伸び、充電時間も短くなり、バッテリーのライフも伸びる。同時に充電設備など環境が整う」「2.EVの正しい特徴やメリットが広く認知されるようになる」「3.EVの価格が下る」とし、EV懐疑論者(現在EVの購入を検討してない人々)であっても、2026~2028年にはそのうちの54%、2029~2032年には70%、2033年以降だと80%がEVの購入を検討するようになり、しかしそれでも残る20%は絶対にEVの購入を検討しないであろう、と推測しています。

やはり大きな問題は「価格」「充電エクスペリエンス」である

なお、今回の推論を裏付けるものとして、最近の「PHEV/ハイブリッド人気」があり、つまりこれらが人気ということは、人々は電動化を嫌っている(あるいはガソリンエンジンに固執している)のではなく、経済的なクルマを求めているものの、EVはあまりに高価で、そのうえ充電が面倒であったり不便であると考えている可能性が大きいとも考えられます。

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もちろんPHEVも充電を行うタイプのハイブリッドではあるものの、「充電を行わなくてもいい」のもまた事実で、実際にほとんどのPHEVオーナーが充電していないという統計から見ても「充電が面倒」だと多くの人が感じていると判断でき、EV普及のための鍵はこのあたりにあるのかもしれません。

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ただ、EVについては「修理コストが高い」「保険に入れない、あるいは加入できても保険料が高い」「売却時にとんでもなく安くなる」「タイヤの減りが異常に早い」などの問題も指摘されていて、これらが「いったんEVを購入したものの、次のクルマにはEVではなくガソリン車を選ぶ」という別の風潮を生み出してしまうことも懸念されます。

Tesla
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参照:COX Automotive

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