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北米ではポルシェ・タイカンの中古価格が新車の「半分」まで下がる異常事態に。BMW、メルセデス、アウディの中古EV価格も下落し「高級EVの中古はお買い得」?

北米ではポルシェ・タイカンの中古価格が新車の「半分」まで下がる異常事態に。BMW、メルセデス、アウディの中古EV価格も下落し「高級EVの中古はお買い得」?

| 日本ではアメリカほど相場の下落が顕著ではないが、それでもポルシェとしては例外的に大きく中古価格が下がっている |

おそらくプレミアムカーメーカーの中古EVはいずれも同じ道をたどるだろう

さて、日本でもチラホラ話が出ていたものの、アメリカにて「ポルシェ・タイカンシリーズの中古相場の下落が大きい」として改めて話題に。

タイカンに限らず現在ではEV全般について 技術のアップグレード(それによる相対的な性能の劣化)、新車の価格変動、需要不足が重なり、多くの電気自動車の中古価格が急速に下がってきており、「中古車のほうが新車よりも高かった」状況が続いていたテスラ・モデル3においても「新車の半分」で販売されているといった状況で、実際のところアメリカでは(レンタカーの)ハーツが「テスラのクルマは維持費がかかる(事故の際の修理コストが高い)割に売却価格が低い」として大量放出を決めたことも報じられています。

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特に高価格帯のEVほど「値落ち」が大きい

上述の通りEVの中古価格が大きく下がっているという状況ですが、これは普及価格帯のEVであろうが高価格帯のEVであろうが「ほぼ例外はなく」、しかしもともとの新車価格が高いぶん、ポルシェやメルセデス・ベンツ、BMWなどプレミアムカーメーカーの”下げ幅(下がった金額)”の大きさが目立っています。

なお、この傾向は(相場を見る限り)価格流動性の高い米国において顕著であるように思われ、たとえば2020年モデルのタイカン・ターボであれば新車価格179,630ドルに対し、平均的な仕様と走行距離を持つ個体では89,998ドルで販売されているといい、これはおおよそ90,000ドル(現在の為替レートだと1350万円くらい)の下落です。※新車価格の約50%

日本だと2021年モデルの(タイカン・ターボの)新車価格が2086万円、そして中古相場が1200−1500万円くらいなので、アメリカほどは大きく下がっていないようには思えますが(新車価格の57〜72%)、この4年で円相場が大きく変動したので単純にそういい切れないかもしれません。

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ただ、日本の数字であっても、この値下がり幅はポルシェのクルマとしては「異常」な部類に属しており、911や718ボクスター・ケイマン、マカンといったほかのラインアップに比較すると非常に大きな下落幅を記録しているわけですね(カイエン、パナメーラはそのサイズから購入層が限られるせいか、やや相場が低めである)。

そして先日ポルシェは「新型タイカン」を発表しており、一回の満充電あたりの航続距離が従来モデル比で最大35%伸びて最大678kmへ(+175km)伸長しており、こういった最新モデルの性能アップがタイカンの中古市場に大きな打撃を与えることは間違いないものと思われます。

加えてですが、ぼくが思うに現在のタイカンの中古相場には(この価格であっても)ポルシェのPKO(プライス・キーピング・オペレーション=価格維持操作)が動作していると考えていて、つまり認定中古車の「下限価格」がポルシェ本社によって定められており、これを下回る値付けを行うことは許されないのだと捉えていて、しかしこれがないと更に相場は下がることになるの可能性も※中古車ショップの販売価格も認定中古車の「やや下」に設定すれば良く、中古相場は認定中古車の価格設定によって決定される

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そのほかのEVの相場はどうなっているのか

そしてこのほかのEVについて(カーセンサーエッジを)見てみると、メルセデス・ベンツEQS 450では新車価格1560万円に対して中古相場が960−1200万円くらい(新車価格の62〜77%。ただし発売から2年しか経っていない)、EQAだと新車価格733〜790万円に対して中古相場が560〜660万円くらい(新車価格の76〜84%。やはり発売は2022年)なのでさほど値落ち率はそれほど大きくはないもよう(いずれも40〜50台ほど中古市場に出回っている)。

BMW i5だと新車価格998〜1548万円円のところ中古市場では900万円台(新車価格の58〜90%)となっているのでこちらも値下がりは大きくなく、ただし「2台」しか中古車が登録されていないのであまり参考にならない可能性も。

なお、i4だと新車価格688〜1132万円のところ、中古相場は550〜850万円、といったところです(新車価格の75〜80%くらい。やはり発売は2022年で、30台ほどが登録されている)。

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このほか、アウディRS e-tron GTでは新車価格1862〜1899円に対しおおよそ900〜1200万円くらいの中古相場を形成しており(新車価格の48〜63%くらい。発売時期はタイカンとほぼ同じくらいで、30台ほどが登録されている)、時間の経過とともにプレミアムカーメーカーのEV相場が大きく下がっていると考えていいのかも。

もともと日本でEVを不便なく利用できる層は限られており、というのも日本だと公共充電器が少なかったり(充電速度が)低速であるために自宅や会社に充電器を設置することが望ましいものの、都市部ではおおよそ60%がマンション住まいなので自分の充電器を設置することができず、そして渋滞が厳しい状況ではすぐにバッテリーが消耗してしまうため。

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一方、自宅に充電器を設置でき、1日あたりの走行距離がさほど長くなく、渋滞にあう可能性が少ない人にとって「中古EV」は非常に魅力的な選択肢でもあり(ただし売るときにかなり叩かれることは覚悟する必要がある)、ぼくも「もうちょっとBMW i4が安くなれば欲しいなあ」と考えている次第です。

現時点ではいずれの自動車メーカーも価格維持に介入しているものと考えられますが、どこかの段階で「相場を支えきれなくなり」、EVの中古相場が大きく下がる可能性もあると考えていますが、現在いくつかのメーカーが「EV重視」姿勢から「ガソリン車の見直し」に移っているため、その時はそう先でははない可能性もありそうですね。

メルセデス・ベンツ
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参照:jalopnik, carsensor EDGE

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