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EV懐疑論者はEVにネガティブな報道しか目に入らない
さて、環境に優しいと言われつつも「そうではない」という報道も存在するのがEVですが、今回米国にて行われた調査にて、「EVのほうがガソリン車よりもクリーンである」と考える人の割が2022年の63%から2024年では58%に減った、との報道。
ちなみに米国の自動車市場では(シェアを落としている欧州とは逆に)緩やかにEVのシェアが伸びていると報じられ、それだけにこの統計にはちょっと驚かされる部分もありますね。
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いったいなぜ米国人は「EVはクリーンではない」と考えるようになったのか?
この調査は調査機関であるイプソスによって実施・公表されたもので、この意外な結果にはいくつかの考察がなされており、現在多くの論文では、電気の生産やバッテリー鉱物の採掘を考慮しても「EVは全体的に環境に優しい」ことが証明されていますが、それにもかかわらずEV懐疑論者が増えているのは様々な報道が関連しているというのが大勢の見方です。
もちろんEVは完全にクリーンというわけではなく、内燃機関とエキゾーストシステムから有害物質を排出しないものの、電気自動車を動かす電気がどこから来て(それが火力発電所経由だと、石油を燃焼させて得られたものということになる)どのように発電されるのかという問題や、EVのバッテリーに使われる鉱物を地中から抽出するという環境に優しくないプロセスというも考慮する必要性が論じられています。
そしてどんな事柄についてもポジティブな意見よりもネガティブな意見のほうが気を引きやすいのは世界共通で、「EVがクリーン」というよりも「EVがクリーンではない」という見出しや記事のほうが人々の興味を引き付けることになり(日本であっても「EVはオワコン」的な記事のほうが「EVが売れている」という記事よりもよくシェアされる)、北米においても多くのEVに対する否定的な見出しがメディア上に踊っているといい、たとえば「EVはガソリン車よりも重く、タイヤの消耗が速いため、タイヤからより多くの有毒な排出物を排出する」「バッテリー廃棄の際に有毒物質を汚染する」「重量が重いため立体駐車場や道路など既存インフラに負荷をかけ、インフラ再整備によって環境に負荷をかける」「EVは燃えて建物などを破壊する」など。
よってEVに対して常々懐疑的であった人々がこういった報道を見ると「それ見たことか」となって一気にEVアンチに転じることになるのだと思われますが、これが「いまアメリカで起きていること」だと言われているわけですね。
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