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アストンマーティンがディーラーから借金をし、ディーラーがカネを払わないと訴える。逆にディーラーはアストンにロイヤルティを払えという訴訟を起こし、完全な泥沼に

アストンマーティン

| 問題は、これによってヴァルキリーの納車を受けることができないと報じられる顧客がいることだ |

思ったよりこの問題の根は深そう

さて、昨年6月に泥沼化するんじゃないかと言われたアストンマーティンに関する訴訟が予想通り泥沼化したとの報道。

順番に説明してゆくと、まずアストンマーティンはハイパーカープロジェクトとして「ヴァルキリー」「ヴァルハラ」をスタートさせていますが、これはとんでもなくお金がかかる計画であり、予想通りというか開発がスタートして早々の2016年には資金不足に陥ります。

ただ、そこでハイパーカープロジェクトを凍結してしまうと、巨額の負債のみが残るため、なんとかこれを継続させて納車を行い、投下した資金を獲得する必要があるのですが、アストンマーティンは(おそらく銀行など既存の投資先から)必要な額の投資を獲ることができなかったわけですね。※あまりにお金がかかったので、アストンマーティンは二度とヴァルキリーのようなプロジェクトはないだろうとコメントしているほど

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アストンマーティンは自社のディーラーから資金を調達

そこでアストンマーティンが渡りをつけたのが自社のディーラー。

これは2016年にアンドレアス・バエンツィガー氏とフロリアン・カメルガー氏の二人が立ち上げたアストンマーティンの正規ディーラーで、裕福な顧客とのコネクションを持っていたために販売を成功させることができたのだと報じられていますが、もちろんアストンマーティンはここへたどり着くまでに、相当数のディーラーに声をかけたのだと思われます。

果たしてアストンマーティンはこのディーラーからお金を借り、「ヴァルキリー、ヴァルハラ、さらには新型ヴァンキッシュの開発資金を提供する代わりに」その3%に相当する1億5000万ポンド(約245億円)をロイヤリティとして支払うという契約を結びます。※逆算すれば50億ポンド=日本円で8200億円を貸しているということに

支払い方法としては、このディーラーが経営する「ネビュラ・プロジェクト」なる会社にアストンマーティンの顧客が(ヴァルキリーの代金として)支払いを行い、そしてネビュラ・プロジェクトは3%を差し引いた額をアストンマーティンに送金するという仕組みだそうですが、まずはアストンマーティンが「ネビュラ・プロジェクトが顧客から支払いを受けたものの、アストンマーティンに対して支払いを行っていないのでカネを支払え」という旨の訴訟(2021年6月に)を起こしています。

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なお、この際の予想損失額は2100万ドル=約30億円だとされ、当時はまだヴァルキリーの納車が行われておらず(納車は11月くらいから開始されている)、初期生産ロットを割り当てられた顧客がネビュラ・プロジェクトにヴァルキリーの代金を支払い、しかしそのぶんをネビュラ・プロジェクトがアストンマーティンに支払わなかったということなのかもしれません。

今度は反対にアストンマーティンが訴えられる

そして今回なされている報道だと、今度はアストンマーティンがこの2名から訴えられたというもので、貸付のロイヤルティに相当する1億5000万ポンドを支払うべしという請求がなされており、アストンマーティンはこれについて仲裁手続を行っていること、手続きは初期段階にあること、仲裁においては有効な反訴を主張できるとコメント出しており、アストンマーティンの会長であるローレンス・ストロール氏は「アストンマーティンは、影響を受けた顧客が確実に納車を受けられるように協力している。我々は法的な立場に自信を持っており、彼らの反訴は報復的であって、メリットがないと考えている」とコメント。

なお、このコメントを見る限りでは双方には双方の言い分があり、「納車を受けることができない」顧客もいることは間違いなく、そうかんたんにコトが落ち着くことはないのかもしれません。

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参照:Financial Times

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