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アストンマーティンは2026年以降、全ラインアップにPHEVを追加。様々な会社と提携し、長期的ヴィジョンを持ちながら、できることから着実に変えてゆくもよう

2023/07/31

アストンマーティン

| 現在の会長は数々の企業を成長させた「ビジネスマン」だけにその戦略には期待が持てる |

アストンマーティンはまず「できることとできないこと」「どの時点でやるべきことを行うか」をしっかり見定めているように思われる

新経営者のもと、現在大きな変革を続けるアストンマーティン。

F1との(メカニズム、イメージ、プロモーションともに)連携強化、米EVスタートアップであるルシードとの提携、さらには中国・吉利汽車との関係性を強めるといった新しい方向性が見られ、今回は「2026年以降、すべてのアストンマーティンのラインナップにはプラグインハイブリッドが加えられるだろう」という報道がなされています。※モデルによってPHEVのみ、はたまたガソリンオンリー+PHEVといったラインアップになるものと思われる

なお、それまでに全車種を入れ替えることは不可能だと思われ、よって既存車種がハイブリッド化されるということになりそうですが、「もともとハイブリッド化が想定されてない」クルマをハイブリッド化することは非常に困難であり、たとえばポルシェ・マカンやフェラーリ・ローマは「ハイブリッド化するための(エレクトリックモーターやバッテリーを収めるための)スペースが存在しない」とも言われています。

アストンマーティンの「V8+ハイブリッド」はヴァルハラからはじまる

そしてアストンマーティンのハイブリッド化は2024年発売のヴァルハラからスタートする予定だとされ、この構成は「V8ツインターボ+ハイブリッド」。

この組み合わせは(アストンマーティンに出資している)メルセデス・ベンツのユニットを使用したもので、これによってアストンマーティンの電動化への進出が開始され、他車種が追随する電動化の流れを作ることになるわけですね。

そして今回の「2026年以降、全車PHEV化」という計画について、これは2023年上半期の財務報告に関する報告会において、アストンマーティンのローレンス・ストロール会長じきじきによってアナウンスがなされたものだそうですが、同氏はここで「電動化の過程は、当社初のPHEVスーパーカーであるヴァルハラから始まり、PHEVレンジを中核車種に拡大することによって進められます」コメント。

そしてこのPHEVラインアップ拡充の次は将来のフルバッテリー電気自動車(BEV)へつながるものと思われます。

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アストンマーティンは他社からの供給を受けつつも「自社が関与する範囲を拡大」

なお、アストンマーティンは2016年以降メルセデスAMGからエンジンやトランスミッション、制御システム、電装系の供給を受けているものの、(メルセデス・ベンツの出資比率が拡大しているにもかかわらず)現在メルセデス・ベンツから供給を受けるのは「エンジン(とトランスミッション))」のみだとされ、実際にDB12ではインフォテイメントシステム含む電装系が自社開発に。

さらには供給を受けるエンジンについても「アストンマーティンが手を加えることで」アストンマーティンそれぞれのモデルの性質にマッチした特性を与えるとしています。

さらにルシードとの提携についても、当初はルシードから供給を受けるコンポーネントを使用しつつ、その後は(ルシードとともに開発する)専用品に切り替えると述べており、つまりアストンマーティンは「現状を的確に捉え、まずはできる範囲のことをやりながら、しかし最終的な高い目標に向かって進む」という長期的計画を実行している段階ということになりそうですね。

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シートやエアコン関連についても吉利汽車(Geely)から調達すると発表しており、しかしこれについても「一定段階で」自社製品に切り替えることを念頭に、しかし現在のアストンマーティンの状況を考慮して「無理をせず(背伸びしない)、長期的に成長してゆく」ための戦略なのだと思われます。※吉利汽車はアストンマーティンの第3位の株主で、17%の株式を保有している

いずれにせよ、アストンマーティンは長期的に「内製比率を高める」という方向性を持っているとも考えられ、今後の展開に期待したいところでもありますね。

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参照:Autocar 

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