| ここ最近のアストンマーティンはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いである |
限定モデルの販売にて相当に懐が潤っているものと考えられる
さて、アストンマーティンが世界限定110台のValour(ヴァラー)を発表してわずか2週間といったところですが、すでにその110台全てが完売した、とのこと。
アストンマーティンは今年で110周年を迎え、これと前後して「V12エンジンの販売終了」「F1での成功」を記念した限定モデルを相当数発売しており、しかしいずれも難なく完売しているので、アストンマーティンに対する市場の興味は非常に強い、と言っていいのかもしれません(しかも様々なモデルで、様々な価格帯の限定モデルを発売しているにもかかわらず)。
なお、ヴァラーの販売方法や地域ごとの割当、価格については公表されていないものの、ウワサによるとその価格は「2億5000万円前後」だと言われています。
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やはり「ブランドバリュー」は重要である
アストンマーティンは過去に7回の倒産を経験しており、その都度不死鳥のように蘇ってはいるものの、直近だとコロナウイルスのパンデミックによって販売が急速に減少し、一方で在庫を消化できない、ハイパーカーであるヴァルキリーの納車が進まないために開発コストを吸収できないといった事態から経営危機を迎えることになったわけですね。
これによってメルセデス・ベンツからの資本注入、さらにはカナダの実業家であるローレンス・ストロール氏の投資によって経営体制が刷新されることとなっていますが、その後にヴァルキリーの納車開始、DBXの本格生産スタートが続くことで「息を吹き返す」ことに。
そしてそこからはV12ヴァンテージやV12スピードスター、DBX707、DBS770アルティメイトなど限定モデルの発売と順調な受注によって復活への道をたどりはじているのが現在の状況です。
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さらにはルシード・モータース、中国・吉利汽車との提携、F1チーム(アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ・ワン・チーム)の好調といった大きな変化を迎え、開発や製造コストの圧縮、そして技術や品質の向上、戦略面での変更を行っていることも特筆すべき点だと思います。
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ただ、いかに高いパフォーマンスを持ち、そしていかに限定といえども簡単に完売しないのが現代のスーパーカー/ハイパーカー業界であり、その理由の一つは既存・進行自動車メーカー含めて限定モデルを乱発しすぎているため。
これはマクラーレンがエルバの予定販売台数を消化できなかったこと、そしてかのリマックであってもネヴェーラの生産枠を埋めることができていないことからも明らかで、リマックCEO、メイト・リマック氏が語ったのが「限定ハイパフォーマンスカーを一瞬で完売させることができるのはフェラーリくらいのものである」。
ただし現在のアストンマーティンは発表するスーパーカーそしてハイパーカーを全て完売させており、これは自動車業界、そして自動車史上に燦然と輝くブランドバリュー(ネームバリュー)によるものだと捉えることも可能です。
かつてル・マン24時間レースはじめ多くの競技で輝かしい戦績を残していることが今日のアストンマーティンを助けているとも考えられ、そう思うと「モータースポーツ活動は、ブランド価値構築に非常に重要であり、いかにお金がかかっても、これに変わる(ブランド価値を向上させる)方法はない」のかもしれません。
そしてこういった事実が再認識されているからこそ、多くの自動車メーカーがル・マン24時間レース、F1といったトップカテゴリ参戦を目指し、また実際に参戦し戦っているのだとも思われます。
加えて、アストンマーティンの場合は「ボンドカー」という他ブランドが持ち得ない付加価値も兼ね備えており、これもまたアストンマーティンのブランドバリューを不動のものとしている一因なのでしょうね。
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