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150台限定のハイパーカー、アストンマーティン・ヴァルキリーが「はじめて」競売へ。走行距離わずか123km、予想落札価格は5億円

RM Sotheby's

| アストンマーティン・ヴァルキリーはパワー、エンジニアリング、エアロダイナミクスにおける「現代の最高峰」である |

後継モデルが存在しないと決まった時点でコレクターが手放したがらない「幻の1台」に

さて、ドバイにて開催されるRMサザビーズ主催のオークションにて、走行わずか123kmのアストンマーティン・ヴァルキリーが出品予定。

このヴァルキリーは「レッドブルが、エイドリアン・ニューウェイを(フェラーリに移籍しないよう)引き止めるために企画したプロジェクト」ということが最近になって明かされていますが、開発に大きな困難を伴い、かつ巨額のコストを要したため、現在のアストンマーティン会長、ランス・ストロール氏は「もう二度と同様のプロジェクトが起こることはない」とも。

よってこのヴァルキリーは非常に貴重な「歴史的遺産」となることがこの時点で決定しているわけですが、それを示すかのように予想落札価格は最高で330万ドル(現在の為替レートにて約5億円)というエスティメイトが出されています。

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レッドブル代表「ヴァルキリーは、当時フェラーリへと移籍しようとしていた我々のデザイナーを引き止めるため、彼の要望を聞き入れて企画した。ただそれだけのためにね」
レッドブル代表「ヴァルキリーは、当時フェラーリへと移籍しようとしていた我々のデザイナーを引き止めるため、彼の要望を聞き入れて企画した。ただそれだけのためにね」

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アストンマーティン・ヴァルキリーはこんなハイパーカー

上述の通り、ヴァルキリーのコンセプトに大きな影響力を持っていたのはレッドブル・レーシングのテクニカルディレクターで空力学の第一人者であるエイドリアン・ニューウェイですが、このハイパーカーの要点は「サーキットに制限されることなく、可能な限りF1マシンに近づけること」。

その開発プロセスは「不可能を可能にするためのエンジニアリングにおける驚くべき旅」だと形容され、実際にこのアイデアが出されたのは2014年ではあるものの、納車が始まったのは2021年11月であったという「時間」がその困難さを表しています。

ここまで開発に時間がかかったのは、エイドリアン・ニューウェイの眼鏡にかなうパーツやコンポーネントが現存せず、すべての要素をゼロから設計・製造する必要があったためで、これと並行し、この事業にかかる天文学的なコストが明らかな課題をもたらすことに。

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搭載される6.5リッターV12エンジン(レブリミットは11,100回転)は「NAでは過去に例を見ない」1,000馬力を発生し、これにリマックとの共同開発によるハイブリッドシステムを組み合わせることで1,140馬力にまで増強されますが、このハイブリッドシステムはF1のKERSテクノロジーと同様の方法でオンデマンドにてパワーを高め、7速シングルクラッチ・シーケンシャル・トランスミッションを介して後輪にのみ伝達されます。

このパワートレーンは6,000rpmで900Nmの最大トルクを発生し、0-100 km/h加速は2.6秒という驚異的な数値を誇り、最高速度は400km/hを超えると言われていますが、これらパフォーマンスに関する数字はヴァルキリーの保つ特性の「ごく一部」。

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そしてヴァルキリーについて語らねばならないのが「軽量化」であり、たとえばヴァルキリーの車体構造には鋼材が一切使用されておらず、使用されるのはカーボンファイバーのみ。

さらに軽量化の範囲はフロントのアストンマーティンエンブレムなど他領域にも拡張されており、従来のエナメルバージョンの代わりとして「99.4パーセント軽量で」かつエアロダイナミクスに優れたアルミニウム製の専用品が使用されることに。

加えてヴァルキリーの後部には世界最小のブレーキライトが装備されていますが、これらのアプローチの結果としてヴァルキリーはドライウエイトにて1,270kg という軽量性を獲得することとなっており、目標値であるパワーウエイトレシオ1:1に限りなく近づいているわけですね。

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さらにヴァルキリーをヴァルキリーたらしめているのはそのエクステリアでもあり、一見すると「とても公道走行が可能なクルマ」には見えず、簡単に言えば「フォーミュアラマシンにカウルを取り付けただけ」のようにも見え、複雑な構造を持つフロントスポイラーと巨大なリアディフューザー、取り入れたエアをそのまま排出することを目的としたボディサイドが目を引きます。

なお、オープンアンダーフロアとアクティブサスペンションを組み合わせると、そのダウンフォースは1,100kgにも達する、と説明されています。

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オークションにアストンマーティン・ヴァルキリーが出品されるのは「初」

当然ながらヴァルキリー(クーペ)の生産台数150台については当然ながらすべて売り切れており、よって新車のヴァルキリーを購入するのは「不可」。

そしてこれまでにはエキゾチックカーディーラーにて「転売」されるヴァルキリーが登場したことはあるものの、オークションにヴァルキリーが出品されるのは今回が「初」ということもあり、この個体は非常に高い注目を集めています。

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ボディカラーはシンティラシルバー、アクセントはスピードレッド(フルレングスのボディストライプに加え、フロントスプリッター、サイドシル、リアディフューザーにピンストライプが施される)、そしてアストンマーティンのパーソナリゼーションプログラム「Q」によるグラフィックパッケージも組み込まれている、とのこと。

その他のオプションだと(カーボンファイバーの織り目が見える)エクスポーズド・グロスカーボンファイバー”ツイル”ルーフとエンジンカバー、レッドブレーキキャリパーにマットブラックのマグネシウムパフォーマンスホイール、ジルコテックブラックエキゾーストパイプなど。

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インテリアだとブラックのアルカンターラ、サテンカーボンファイバーツイル、スパイシーレッドのアルカンターラをメインとしており、完全にエクステリアとマッチする仕様を持っています。

カーボンシェルシートと6点式ハーネス、そしてスクエア形状のステアリングホイール(この個体にはチタン製トグルスイッチが装備されている)などレーシングカーさながらの装備も見られ、V12エンジンのサウンドがこだまするキャビン内で(隣の人と)会話するためのインカムも。

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ヴァルキリーそのものが「めったに売り物が出る」ことがないうえ、上述の通り「二度とこういったハイパーカーが(アストンマーティンから)リリースされることはない」という事実を鑑みるに、予想落札価格をはるかに超える金額にてハンマープライスとなるのかもしれません。

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参照:RM Sotheby's

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