Image:McLaren
| マクラーレンはW1のデザインを「かなり思い切った」ものとしており、他社との差別化を図る |
部分的に「セイバー」「セナ」の面影を見ることもできるようだ
さて、マクラーレンがついに新型ハイパーカー(マクラーレンはリアルスーパーカーと表現)、W1を発表。
マクラーレンはこのW1につき「マクラーレンF1とマクラーレンP1という2台の偉大なスーパーカーの後継となる画期的なモデルであり、マクラーレンの伝説的な『1』シリーズの新たな章を開く」と説明しており、「マクラーレンのワールドチャンピオンシップ精神で開発され、真のスーパーカーを定義する原則に基づいている」とも。
マクラーレン W1はこんなクルマ
このマクラーレンW1に積まれるのは新しく開発されたV8ツインターボ+ハイブリッドシステムで、その出力は1,275馬力、そしてこれは今までのマクラーレンの市販車の中で最高の出力を誇ります。
さらには競合する全てのスーパーカーを上回るパフォーマンスを実現すると述べていますが、この数週間以内に発表されるであろうフェラーリの新型ハイパーカー、「F250」との性能差も気になるところですね。
この新型「MHP-8 V8」エンジンは単体で928PSを発揮し(最大回転数は9,200rpm)、1リッターあたり233PSという(これまた)マクラーレン史上最高の出力を誇ります。
高出力エレクトリックモジュールは347PSを発揮し、エレクトリックモーターと制御ユニットを統合することで軽量化と最適なパッケージングを実現しますが、マクラーレンの得意とする軽量エンジニアリングにより車両重量は1,399kgに抑えられ、パワーウェイトレシオは911PS/トンというクラス最高のレベルです。※これもやはりマクラーレンのスーパーカー史上最高の数値である
フォーミュラ1にインスパイアされたグランドエフェクト・エアロダイナミクスとマクラーレンのレースモードが組み合わさり、フロントでは37mm、リアだと17mmの車高調整を行い、最大1,000kgのダウンフォースを得られるという世界初の「可変エアロダイナミクス」の装備も一つのトピック。
公道走行可能なマクラーレンとして、これまでにない先進的なアクティブエアロ機能を搭載しており、リアには300mm拡張する革新的なマクラーレン・アクティブ・ロングテール・リアウィングなど、エアロダイナミクスの革新に関する複数の特許技術が実装されているようですね。
もちろんマクラーレンW1は「マクラーレン最速・最強レベルの性能」を誇る
新型W1は、マクラーレン史上最速の加速力とラップタイムを誇る公道走行可能なクルマでもあり、直線ではスピードテールよりも早く300km/hに到達し、マクラーレンが基準とするサーキット(どのサーキットなのかは明かされていない)ではマクラーレン・セナよりも1周あたり3秒速いタイムを記録しています。
その驚異的な加速力を見てみると、0-200km/hを5.8秒で、0-300km/hを12.7秒未満で達成するとされ、、さらに最高速度は350km/hだと示されていますが、この最高速は電子的に制限されているのだそう(0−100km/h加速については公表されていない)。
駆動輪はマクラーレンらしく「後輪のみ」で、新しいマクラーレン・レース・アクティブ・シャーシ・コントロールIIIサスペンション、そして新しくプログラムされたレースモードにより「公道とトラックの両方で並外れた性能を発揮する」とされ、フォーミュラ1で培った技術がもたらすピュアなドライバーコントロールとエンゲージメントを実現することについても触れられていますが、「マクラーレン・ハイドロリック・パフォーマンス・ステアリング」と油圧ブレーキングから得られる優れたフィードバックと操作感は、真のスーパーカーの感覚を提供するとも述べており、これを見る限りだとパワーステアリングは「(電動式ではなく)油圧式」なのかもしれません。
採用されるトランスミッションは新開発の8速トランスミッション、そして「リバースギア」はなく後退はエレクトリックモーターが担当することとなり(これによってトランスミッションが軽量小型化されているものと思われる)、新しい油圧式電子デファレンシャルと組み合わせられています。
マクラーレンW1の車体構造は新しく設計された”エアロセル”カーボンファイバー製モノコック、エアロダイナミクス的に最適化されたマクラーレン・アンヘドラルドア(ガルウイングドア)を使用しており、これらすべてはモータースポーツからフィードバックを受けた技術によって構築されるもの。
フォーミュラ1にインスパイアされたフロントサスペンションはエアロセルに直接取り付けられ、外部から見えるフロントアームや主要部品の一部はチタン製、そして3Dプリントによって製造されていますが、これは先日提携が発表されたダイバージェント社との共同開発によるものだと思われます。
こういった構造や素材・製法を見ても、このW1が「これまでマクラーレンが製造してきたどのハイパーカーとも異なる、大きく進化した、そして時代に先駆けるハイパーカー」であることがわかりますね。
マクラーレンW1のドライバーエルゴノミクスは他に類を見ないほど優れている
そしてマクラーレンはドライバーエルゴノミクスにも注力しており、とくに良好な視界の確保に力を注いでいます(それはセナのドアにウインドウを設けたことでもよくわかる)。
加えてシートはエアロセル・モノコックに直接統合され(やはり近年のハイパーカーではこの構造が必須である。軽量化、コンパクト化、そしてより低い着座位置とルーフを実現できる)、ドライバーと車両の純粋な一体感を提供します。
シートが固定されているため、ドライビングポジションの調整に際しては「ペダル、ステアリングホイール」ほか主要な操作部を可動させることで行いますが、マクラーレンいわく”コックピット内でドライバーを包み込むように調整可能”。
内外装ともにほぼ無制限のカスタマイズオプションがMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)を通じて提供され、マクラーレン・イノニット素材(文字通りイノベーティブなニット素材なのだと思われる)を使用した新しいインテリアも選択可能。
なお、このW1には包括的な保証(4年の車両保証、6年の高電圧バッテリー保証)と4年のサービスプランが付帯されるといい、これによってハイブリッドスポーツカーを所有するオーナーの不安がある程度払拭されると考えていいのかもしれません。
マクラーレンW1の価格は200万ポンド(約3億9000万円)からに設定されて、限定生産台数である399台にはすべて買い手がついているといい、それら幸運なオーナーたちは今後MSOとの協議に入るものと思われ、様々な仕様によって車両が生産されることになりそうですね。
マクラーレンW1を紹介する公式動画はこちら
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参照:McLaren