前席と後席とも会話はインターフォンを通じてしかできない
ロールスロイスがロングホイールベース版ファントムの新しいカスタムとして「プライバシースイート」を発表。
これは(今までになかったのが不思議な)前席と後席とを隔てる隔壁を設けたもので、映画に登場するリムジンに装備されている「アレ」。
このロールスロイス・ファントムは香港の顧客に納車される一台だそうで、つまりは顧客の要望によって再現された、と考えて良さそうです。
ロールスロイス・ファントムはいつの時代も「運転手付き」
ただしそれはゴーストやカリナン、ドーンやレイスといったモデルを指しており、依然としてファントムは「ショーファー(運転手)ドリブンカー」としての使われ方をなされているようです(いかに高級でも、こんなにデカいクルマを自分で運転したくない)。
そして今回導入されたのが、前席と後席とを隔てる隔壁として用いられる「エレクトロクロマティックグラス」。
ふだんはこんな感じで前席から後席を、後席から前席を確認できますが・・・。
スイッチを入れると電気的にガラスの透明度を変化させることができ、「両方から見えない」仕様に。
ちなみにルーフ内張りは光ファイバーにて星空が再現された「スターライトルーフ」ですね。
しかもこの「プライバシースイート」は視界だけではなくサウンドも遮ることができ、前席には後席の会話や音が全く聞こえない仕様に。
よって、前席と後席とで会話をする場合は、こういったボタンを押し、マイクとスピーカーを通じて行う必要がある、とのこと(話すときは「TALK」、話を聞かれたくないときには「PRIV」)。
そして隔壁には12インチサイズのモニターが2つ内蔵され、エンターテイメントほか様々な機能を活用可能。
なお、ウインドウ類はプライバシーガラス仕様ですが、さらにカーテンも装備されているようですね。
センターにはバニティミラーも装備。
この隔壁や内装には非常に特殊な防音処理がなされており、同じ一台のクルマの中であっても「完全に切り離された」空間を演出できるそう。
香港のエグゼクティブはマカオや中国大陸に行くことが多いと思われますが、今は陸続きとなったためにクルマで移動することが多いと考えられ(それまでは電車か船、飛行機で移動していたものの、距離が中途半端に近く、いずれも効率が良くない)、その場合にはこういった「閉鎖空間」の中で疲れを癒やすもよし、仕事をしてもよし、といったことなのかもしれません。
そして現在、世界の富は「一部に集中」し、富めるものはより豊かに、そうでない人はより持たざる状況へといったところですが、そのぶん富豪がクルマにかけるお金も以前よりはぐっと多くなっており(チューンというよりは、自己実現や自己満足のため)、よって各自動車メーカーに対しても様々な要望が寄せられている模様。
したがって「これまでにない」多種多様なリクエストを自動車メーカーは処理する必要があり、販売現場、そしてデザインや製造の現場に携わる人々も、これまでとは異なるスキルを身につける必要が出てきているのでしょうね(高級車の販売は、もはやクルマの販売といった側面を超え、ライフスタイルの販売といっていいレベルにまで達している)。