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今年はブガッティのデザインの基礎を作った創業者の息子、ジャン・ブガッティの生誕115周年。「センターライン」「Cライン」をタイプ57シリーズで確立

今年はブガッティのデザインの基礎を作った創業者の息子、ジャン・ブガッティの生誕115周年。「センターライン」「Cライン」をタイプ57シリーズで確立

| さらには「ダブルトーン」を取り入れるなど現代にまで通じるデザインを100年以上前に構築していた |

ブガッティ一族はまさに「天才」揃いである

さて、ブガッティ創業者であるエットーレ・ブガッティは芸術家一家に生を受けていますが、その息子であるジャン・ブガッティもまた芸術家としての資質を受け継いでいます。

実際のところ、1920年代から1930年代にかけてジャン・ブガッティが手掛けた先駆的な作品は、当時のどのクルマとも似ておらず、そして現代のブガッティのデザインにも大きなインスピレーションを与えています。

ジャン・ブガッティの代表作の一つはタイプ 57 SC アトランティック

そしてジャン・ブガッティの代表的な作品といえば「自動車史上、もっとも美しいクーペのひとつ」に数えられるタイプ 57 SC アトランティック(アトランティーク)。

このデザインの影響は、今でもブガッティの DNAの中に深く根付いており、たとえばボディのセンターを走る「フィン」はシロンにおいても顕著にその影響が見られます。

08 BUGATTI_Jean Bugatti_Centerline Accentuation

そしてつい先日、このタイプ 57 SC アトランティックをモチーフとしたシロン「57 ワン オン ワン」が公開されており、ブガッティのみならず、ブガッティの顧客にとってもいかにこのクルマが象徴的であるかも理解ができようというものですね。

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そしてもちろん、「世界でもっとも高価なクルマ」のひとつであるワンオフモデル、ラ・ヴォワチュール・ノワールのインスピレーション元であることもよく知られています。

11 BUGATTI_Jean Bugatti_La Voiture Noire

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ブガッティ タイプ 57 ロードスター グランド レイドも忘れてはならない

ただしブガッティが「象徴」として忘れてはならないとして挙げるのが「タイプ57 ロードスター グランド レイド」。

これは当時10台が製造されたそうですが、現存するのはシャシーナンバー57222ただ一台のみだといい、ジャン・ブガッティの父親であるエットーレ・ブガッティが好んだ「イエロー」を取り入れています。

05 BUGATTI_Jean Bugatti_Grand Raid

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そしてブガッティがこのクルマについて大きく取り上げているのは「W16 ミストラルのインスピレーションの出発点となった」ため。

たしかに今思い起こしてみると、W16 ミストラル発表時には効果的にイエローが使用されており、そしてシート後方の「盛り上がり」などに共通点が見られ、両者の強い関係性を感じさせられます(ブガッティが好む”ダブルトーン”もタイプ57 ロードスター グランド レイドに用いられる特徴である)。

04 BUGATTI_W16-Mistral

ブガッティがW16ミストラルの秘密に迫る。「どうやって我々はオープンカーで420km/hを実現したのか。エンジニアリングとエアロダイナミクスを高度に融合させたからだ」
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このタイプ57 ロードスター グランド レイドは、これまでに作られた中で最もエレガントなオープンカーのひとつとして知られており、タイプ57 SC アトランティックやタイプ57 S アタランテなどの他のブガッティ”タイプ57 ”との差別化にも成功しており、ある意味では現代のブガッティの「派生モデルを展開しつつ、それぞれに個性を持たせる」という戦略の先駆けであったのかもしれません。

タイプ57 ロードスター グランド レイドには流線型で細長いフェンダー、V字型のフロントガラス、空力を考慮したヘッドレストサポートなど数多くの革新的なデザインが盛り込まれ、メカニズム面だとステアリングコラムの角度、ギアレバー、ハンドブレーキ、ペダルの調整機構を採用するなど(当時としては珍しく)ドライバーが最大のパフォーマンスを発揮できるような設計が与えられ、ジャン・ブガッティの「絶え間なく限界を押し広げ、規範に挑戦し、新しいベンチマークを確立する」という姿勢がいかんなく発揮されたクルマとしても認知されています。

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さらには現代のブガッティにも採用される「ブレイクアウトセンターライン」「Cライン」を取り入れたのもジャン・ブガッティであり、1930年代初頭には汎用性が高いスケーラブル・モジュラー・アーキテクチャを考案し、プラットフォームの共有と効率的な派生モデル開発を可能にするという手法を確立したのもやはりジャン・ブガッティ(現代では多くの自動車メーカーが取り入れているが、当時としては革新的であった)。

ジャンは、最高レベルで機能する自動車の芸術性を体現しています。 エットーレと同様に、彼は自動車工芸において建築、彫刻、家具からインスピレーションを得ました。 彼のつくるクルマは単なる移動手段ではありませんでした。 彼が製作を主導した各車は車輪を備えた芸術品であり、これがまさにブガッティが今日達成する動機となっているものです。 先見の明のある思考と並外れたコンセプトを特徴とする彼の卓越した作品は、当時、ジャンの自動車が世界中で基準点とみなされ、新たな基準を設定し、機械が技術的な美しさの中から、また素材の品質を通じて感情的な美的魅力を包み込むことができることを実証しました。

今日、ブガッティは真の先駆者の誕生日を祝います(1月15日が誕生日)。 彼のアイデアは、現代のブガッティ ハイパー スポーツ カーだけでなく、より広い自動車分野を形作り、影響を与え続けています。 あらゆる点で、ジャン・ブガッティの作品は無限のインスピレーションの源です。 彼の驚くべき貢献は、自動車業界だけでなく、より一般的に言えば、デザインコミュニティの人々からも永遠に尊敬されるでしょう。

フランク・ヘイル
ブガッティ デザイン ディレクター
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参照:Bugatti

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