| どう考えても日本でこのクルマを拝める機会はやってきそうにない |
今年はコロナウイルスの影響にて「クリスマスどころじゃない」といった状況ではあるものの、ブガッティがそんな雰囲気を打破しようと「世界で最も高価なクルマ」、ラ・ヴォワチュール・ノワールを本社所在地であるモールスハイムに展示することに。
ただ、そんな高額な車ということもあって車両をむきだしにするわけにもゆかず、今回は特別にしつらえたショーケースに入れられており、しかしそれがさらに特別感を倍加させているようにも思われます。
通常は「クリスマスマーケット」が登場するが
なお、モールスハイムでは欧州の多くの都市同様、この時期になると「クリスマスマーケット」が登場するそうですが、もちろん今年は”見送り”。
その代わりに出現したのがラ・ヴォワチュール・ノワールということになり、これには住民も大喜びかもしれませんね。
モールスハイムにて市長を務めるロラン・フルス氏によると「私はブガッティからの、市への贈り物に対して非常に感謝している。市民が皆、この特別なクルマを見る機会を得ることができ、これには(ブガッティ創業者の)エットーレ・ブガッティも誇りを感じていることだろう」。
ブガッティ側も「クリスマスマーケットに代わるものなど存在しないことはわかっているが、我々にとっても、この困難な状況の中で、人々に楽しみを提供することはとても重要なのだ」と語っており、市民にとっては忘れることのできないクリスマスとなるのかもしれません。
ブガッティ・ラ・ヴォワチュール・ノワールはこんなクルマ
ラ・ヴォワチュール・ノワールは2019年3月のジュネーブ・モーターショーにて発表されたクルマで、その意味そのものが「黒いクルマ」。
これはブガッティ・タイプ57 SC アトランティック(アトランティーク)へのオマージュとなるワンオフモデルとなり、その価格は現時点での邦貨換算だと約13億円。
「ラグジュアリーリムジンの乗り心地とハイパースポーツカーのドライバビリティとをそなえたクーペ」だとも紹介されており、比類なき高級さ、そして運動性能を秘めているということになりそうです。
ボディパネルはすべてハンドメイドのカーボンファイバーとなり、随所に3Dプリントにて製造されたチタン製パーツも見られるなど、何から何までが「特別仕様」。
搭載されるエンジンは、シロンに積まれる「W16/8リッター・クワッドターボ」で、発表時には「1500馬力」とされていたものの、実際にこのクルマが納車される2年後あたりにはもうちょっと上の馬力が実現可能となっているかもしれませんね。
なお、このラ・ヴォワチュール・ノワールの購入者は明かされておらず、ブガッティによると「熱心なコレクター」とだけ。
一時はクリスティアーノ・ロナウド、そしてポルシェ創業者一族にして元フォルクスワーゲン会長だったフェルディナント・ピエヒ(死去)がウワサされていますが、クリスティアーノ・ロナウドについては正式に否定されています。
ブガッティは今後「芸術性」を重視
現在のブガッティは「1000馬力オーバー」という圧倒的な出力、そして世界最高速を叩き出せるポテンシャルをもって(ヴェイロンとともに)デビューしていますが、その後はこれに追随するパワーやスペックを持つハイパーカーもいくつか登場しています。
そしてブガッティはそういった状況に疲れたのか、「最高速を追求することをやめ、芸術性を追求する」と言う方向に転換しており、たしかに”(すぐに追い抜かれる)数字で優劣を判断できない”芸術性というのはタイムレスな価値を持っていて、後世に渡ってのコレクターズアイテム化を目指すブガッティにとってはいい判断だったのかもしれません。
なお、ブガッティ創業者の家系はもともと芸術家が多く、これ(芸術性)もまたブガッティの歴史、そして排他性だと考えることもできますね。
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