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ロータスとの提携解消の結果、アルピーヌは「自前でエレクトリックスポーツカーを作る」という決断を下したもよう。加えてハイパーカーを発売する計画も報じられる

ロータスとの提携解消によってアルピーヌは「自前でエレクトリックスポーツカーを作る」という決断を下したもよう。加えてハイパーカーを発売する計画も報じられる

| アルピーヌは今回の提携解消によって大きな戦略と計画の変更を強いられたに違いない |

ただし、これが結果的にはブランドにとってプラスに働く可能性も

さて、5月には「アルピーヌとロータスが、エレクトリックスポーツカーのプラットフォームに関する提携を、友好的な条件で解消することを決定した」ことが明らかになっていますが、これによってアルピーヌが計画していたハイパフォーマンスEV計画が潰えてしまうのでは、という見方もあったわけですね。

ただ、最新の報道だと「アルピーヌは自前でピュアエレクトリックハイパフォーマンスカー用のプラットフォームを開発する」とされており、これはルノー・グループのCEOであるルカ・デ・メオ氏が、ルノーの新型車「ラファール」発表イベントにてカーメディアに語った内容なのだそう。

アルピーヌとロータスとが「提携破棄」との報道!友好的に決断がなされたようだが、親会社同士の関係性が気になるところ
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「議論の結果、自分たちで電動プラットフォームを開発することにした」

現在アルピーヌはルノーのハイパフォーマンスブランドとして(ルノー・スポールのかわりに)機能していますが、アルピーヌは5種の新型EVの投入を計画しており、そのうちのひとつが「ルノー5ターボ」の再来とも言われるホットハッチ。

そしてアルピーヌA110のエレクトリック版ともいうべきスポーツカーの計画も存在すると言われていますが、これらスポーツモデルが(ロータスとの提携解消によって)消えてしまうと「ハイパフォーマンスブランドとしての」アルピーヌの存在意義はなくなってしまい、そして今後ル・マン24時間レース含めモータースポーツでの存在感を強めようという計画もほぼ意味をなさなくなってしまいます。

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よってルノーは「長い議論を重ね」、最終的に独自のプラットフォームを構築することにした」と語っているわけですが、現時点でこの詳細については明かされておらず、そもそもの計画に変更が生じるのか、今後のアルピーヌの電動化計画はどうなるのか等についてはナゾのまま。

ただしルカ・デ・メオCEOは「アルピーヌの新しい電動化計画については、6月26日に開催される投資家説明会で発表する」ともコメントしており、ここで新しく練り直された計画の概要もしくは全容が語られることになるのかもしれません。

なお、新しいアルピーヌのエレクトリックプラットフォームについては「複数車種で使用されることになる」といい、これは現在のアルピーヌのさほど大きくない販売規模を考慮すると「当然」かもしれず(1車種や2車種にしか使用しないのであれば、開発費のモトは取れない)、ルノー含めて大幅な新車計画の修正が行われる可能性もありそうです。

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ちなみにですが、今回の提携解消については「ロータスとアルピーヌとが共同にてエレクトリックスポーツカーを開発する」という計画をいったん白紙に戻すというもので、しかしどこまで進んでいたのか、そして進んでいたならば今までの研究結果などはどこに帰属するのか等についても現時点ではナゾのまま。※提携時より、この新型スポーツカーの内容、そしてこの研究成果がロータスとアルピーヌとの”どこまでの車種に”拡大されるのかも不明であった

ただ、ルカ・デ・メオ氏は「アルピーヌとロータス双方とも、悪感情を抱くことなく、提携解消の合意に達した。誰もがこれがベストだと感じていたため、物事に対する摩擦はなかった」とも語っており、別のルノー幹部は「また一緒に仕事をする機会がないというわけではありません」と述べ、”これで終わり”を意味するものではないということも匂わせています。

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これによってアルピーヌは「ハイパーカー」の開発機会を得る?

今回、ロータスとの提携解消によってアルピーヌは電動スポーツカー(おそらくはA110の後継)開発計画を調整する必要が生じ、プラットフォームを自前で開発することとなったわけですが、追加で報じられている「副産物」がアルピーヌのハイパーカー。

もともとアルピーヌは「5年で5台」発表するとしていたピュアエレクトリックカーの中にこのハイパーカーを含めておらず、よってこのハイパーカーはつい最近、しかもロータスとの提携解消後に出てきた話だと考えられます。

そのヒントはルカ・デ・メオCEOが「議論に議論を重ね、自前でピュアエレクトリックスポーツ用のプラットフォームを開発することにした」「このプラットフォームは少なくとも複数車種に使用される」というコメントにあると考えて良く、つまり自分たちで新たにピュアエレクトリックスポーツ用のプラットフォームを開発すると多額のコストがかかり、しかしこれを開発しないという選択肢はなく、であればこのコストをどうやって吸収するかと考えた結論が「ハイパーカーの投入」なのかもしれません。

現在アルピーヌはル・マン24時間レースのLMP2クラスに参戦し、そこそこの戦績を残していて、かつ2024年からはトップカテゴリの「ハイパーカークラス(LMH)」に参戦することを決定しており、となるとル・マンでの活躍を背景として(ロードカーとしての)ハイパーカーを販売するという戦略も見えてきます。

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もちろんそのためにはレースで勝たなければならず、そしてル・マン24時間レースを走る「ハイパーカー」と、ロードカーとして「ハイパーカー」とのメカニズム的共通性はほぼ無いと推測できるものの、ルノーとしてはこれを機に”大きな賭けに”出ようということなのかもしれない、とぼくは解釈しているわけですね。

なお、現代のアルピーヌは「フェラーリのビジネスモデルを目指す」とも声高らかに主張しており、その観点からも「モータースポーツでのプレゼンスを強める」「超高性能、超高価格帯のスポーツカーを販売する」と思い至るのは当然の帰結かもしれません。

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参照:Autocar

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