>ルノー/アルピーヌ

ルノーも「ガソリン(ハイブリッド)車の投入を活性化させる」と正式に発表。「まさか、EVが普及せずにガソリンエンジンが生き残る未来など想像もしていなかった」

2024/03/04

ルノーも「ガソリン(ハイブリッド)車の投入を活性化させる」と正式に発表。「まさか、EVが普及せずにガソリンエンジンが生き残る未来など想像もしていなかった」

| それでもルノーは他の欧州の自動車メーカーに比較すると「ガソリン車」の可能性を残していたほうではある |

とにもかくにも、多くの自動車メーカーが予想していた未来はやってこなかった

さて、「電気自動車の販売減速」という報道があちこちで聞かれるようになり、1年前とは全く異なる状況にあるのが現在の自動車業界ですが、つい先日はメルセデス・ベンツが決算報告会にて「(EV集中の姿勢を緩めて)今後もしばらくガソリン車を作り続ける」と発表したばかり。

メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツが「EV集中」戦略を転換し2030年以降もガソリン車を作り続けるとコメント。「2030年であっても、EV / PHEVの販売比率は50%にとどまるだろう」

| もはやEVの販売減速、ガソリン車の存続は誰の目にも明らかに | 今後さらに多くの自動車メーカーがメルセデス・ベンツ同様に「方針転換」を行うものと思われる さて、昨今は「EV離れ」「ハイブリッド / ...

続きを見る

そして今回はルノーCEO、ファブリス・カンボリーブ氏が”ツーレッグ”なる戦略を発表し、ここでは「消費者にEV以外のラインアップを届ける」「今後10年間は内燃エンジンを自社製品に加え続ける」と正式にコメントしています。

これによってルノーはEV普及の減速に伴う市場動向に対応できるようになると期待されていて、ここ最近懸念されていた「中国製の安価なEVの進出により、EV偏重政策を採用し続ければ、一気にシェアを失ってしまう」という状況を回避できる可能性が高まったわけですね。

世界自動車市場の81%を持つ欧米自動車メーカーのシェアは「中国メーカーの台頭によって58%まで低下するだろう。テスラは現在の2%から8%へと伸び、ルノーとVWが失速する」
世界自動車市場の81%を持つ欧米自動車メーカーのシェアは「中国メーカーの台頭によって58%まで低下するだろう。テスラは現在の2%から8%へと伸び、ルノーとVWが失速する」

| さらに新興国や低所得地域では中国車のシェアが飛躍的に伸び、もしかするとこの推測以上に中国車の勢力が拡大する可能性も | たった数年で中国の自動車メーカーは状況を塗り替えてしまった さて、UBSグル ...

続きを見る

ルノーはこれまでも慎重な姿勢を貫いていたが

ただ、ルノーはこれまでであっても(他の欧州の自動車メーカーやブランドとは異なって)EV一辺倒のラインアップへと移行することには慎重な姿勢を貫いており、2022年にグループ最高経営責任者(CEO)のルカ・デ・メオ氏は「ルノーの欧州ラインナップは2020年代末までにEVのみになる」という方向性を示唆したものの、”最終的には市場状況に左右される”との警告を付け加えています。

そして今回、ファブリス・カンボリーブCEOは「2040年にガソリン車とハイブリッド車が市場の40パーセントを占めるような世界は予想していなかった」と述べており、つまりルノーは2040年であってもEVの普及率が最大で60%にしかならないと考えている、ということに(トヨタは2030年のEV普及率について自動車業界全体で30%、メルセデス・ベンツは2030年における自社のEV販売比率を”100%”から50%に引き下げた)。

IMG_0120

トヨタ
豊田章男会長「いかにバッテリー技術が進歩しても、電気自動車のシェアは30%にとどまり、残りはハイブリッドやFCV、水素エンジンで占められるだろう」

| 豊田章男会長の発言は年々「現実味」が増している | 現在の「EV販売減速」を見ていると、やはりEVは消費者が欲しがっている選択ではないのかも さて、なにかと電気自動車への移行の遅れを指摘されること ...

続きを見る

よって今回発表された「ツーレッグ戦略」においては「EV投入を積極化する代わり、すべてのセグメントで(従来の計画にあった)EVに加えてハイブリッド車を提供することになりますが、同氏は以下のようにもコメントしています。

私にとって、問題は2030年にEVのみになることではありません。私たちは両足で非常に競争力のある2つのラインナップを用意し、トレンドに従うつもりです。

参考までに、ルノーは2021年に「このまま触媒の価格が高騰し続け、バッテリー価格が下がり続けると、ガソリン車の価格が上がり、EVの価格が下がるので、2025年には両者の価格が逆転し、ガソリン車のほうが高くて購入しづらい選択肢になる」と述べていますが、実際にはその3年後であってもEVは非常に高額な選択肢であり続け、それが故に普及しないという状況となっており、わずか数年前になされた予想であっても「思い描いたとおりになっていない」ことがわかりますね。

ただ、これにはユーロ7の導入内容軟化など複雑な要素が絡んでいて、しかし「状況が常に流動的、しかも急速に」想定外の方向へと動く可能性があるのが今の自動車業界であり、そのためもっとも重要なのは「事情がどう変化してもそれに(どこよりも早く)対応できるようにすること」「そのための選択肢を常に持っておくこと」なのだと思われます。

ルノーCEO「ユーロ7が導入されれば、触媒の価格が高騰しコンパクトカーの価格が倍になる」
ルノーCEO「ユーロ7が導入されれば、触媒の価格が高騰しコンパクトカーの価格が倍になる」。よって小型車メーカーは上級移行かEV移行かしか道が無さそう

| まさか触媒の価格がここまで高騰することになろうとは | さて、ルノーCEO、ルカ・デ・メオ氏が英国Autocarに語ったところでは、「欧州におけるコンパクトカーの価格は2倍になる」とのこと。その理 ...

続きを見る

合わせて読みたい、ルノー関連投稿

ルノーCEO「中国に対抗するには、欧州の自動車メーカーが手を取り合うしかない」。欧州ではそこまで中国に追い詰められているのか

Renault | 現在の欧州では、想像よりも遥かに厳しい競争状態にあるのかもしれない | 欧州では様々な業界で同様の打開策を採用した例がいくつか存在する さて、先日「5 E-Tech エレクトリック ...

続きを見る

これはとんでもないヒットになりそうだ。新型「ルノー 5 E-Tech エレクトリック」正式発表、今までの常識を超えた革新性、最高レベルのコスパを備える
これはとんでもないヒットになりそうだ。新型「ルノー 5 E-Tech エレクトリック」正式発表、今までの常識を超えた革新性、最高レベルのコスパを備える

| ルノー 5 E-Tech エレクトリックは設計段階からしてその思想が全く異なり、新時代の発想に基づいて企画されている | これは単なる「リバイバル」「レトロフューチャー」モデルではない さて、ルノ ...

続きを見る

ルノー
ルノーと中国・吉利汽車が「ガソリンエンジンの開発」を行う新会社設立で合意!日産と三菱は蚊帳の外、なぜいまさらガソリンに注力を?

| 一部の自動車メーカーにとっては早すぎるエレクトリック化が予想外だが、また一部にとってはそれが「遅すぎる」とも捉えられている | ルノーはその考え方を修正し、「ガソリンエンジンがまだまだ残る」ほうに ...

続きを見る

参照:Automotive News Europe 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->ルノー/アルピーヌ
-, , , ,