| 世界のEV事情が激変 |
世界中のEVマーケットにおいて、中国の北京汽車(BAIC)が製造するEV「EC」は15,132台を販売し、世界一売れているEVになった、とのこと(201/1-2月)。
この数字は前年比でプラス329%の成長となり、恐ろしいスピードで成長していることがわかります。
なお2位は日産リーフで10,881台(プラス34%)。
ランキングには中国勢がズラリ
今回は販売ランキングベスト10が公開されたことになりますが、なんと1/3/6位が中国勢、8位に韓国(ヒュンダイ)。
3位のJAIC IEV 5、6位のCherry EQ1は初登場でのランクインとなり、同じく初登場となるのはテスラ・モデル3。
なお、同期間におけるテスラ・モデルSは4156台、モデルXは3674台という数字なので、モデル3はなかなか検討している、ということになります。
モデルSは-40%、モデルXも-25%と販売が落ちているのも気になりますが、ルノーZOEも-19%と下落傾向。
VWゴルフがここに入っているのにBMW i3の姿は見えず、となるともうi3はオワコンだと考えて良さそう。
正直この結果には驚かされますが、「グローバルでの販売」とはいっても中国産EVが世界中で売れているわけではなく、現在販売規模で世界ナンバーワンを誇る「中国国内で」売れた結果、世界的な販売に占めるシェアが大きくなった(それだけ中国のマーケットはデカい)と考えるのが妥当かもしれません。
なお、なぜ中国でこんなにEVが売れるのかということですが、それは「EVが優遇されすぎているから」。
2017年に中国は2887万台の自動車を販売しており、これは10年前の3倍。
となると渋滞や環境汚染などの問題が生じることになり、中国政府としてはこの解決策に迫られるわけですね。
よって自動車の登録が密集する地域においてはナンバープレートの交付を制限し、抽選や入札という方法を取っています。
この入札というのがやっかいで、現在ナンバープレートの落札価格はどんどん上昇しており、現在は170万円くらい。
クルマを買う(登録する)のにクルマ本体の代金に加えてナンバープレート代を別に170万円も払わないといけないということになりますが、さすがにこの費用負担はキツい、と思われます(中国メーカーの車だともう一台買えそう)。
しかしながら「EV(電気自動車)」だとこういった制限を受けずにすぐにナンバーを、かつ入札なしで受給でき、「すぐに乗りたい人」「ナンバープレート代金を払いたくない人」がEVを選ぶわけですね。※FCVやPHEVなど環境負荷の低いクルマはこの恩恵を受けることができる。ハイブリッドは現在対象外
そのほかEVには税制など様々な優遇が与えられ、「EVを選ばないと損」という雰囲気があるのも確か。
富裕層だとテスラや、普通の人だと中国メーカーの作るEVを選ぶことになり、その結果が今回のランキングを表している、といえます。
なおホンダやトヨタ、インフィニティが(日本ではその予定がないにもかかわらず)中国でEVを発売するとアナウンスしたのもそこに理由があり、中国の自動車マーケットは独自のロジックにおいて発展し、そして世界中の自動車メーカーはそこに合わさざるを得ない、という状況があるようですね。
ちなみにEV/PHEV専用のナンバープレートはこんな感じでグリーンのグラデーション。
中国現地ではけっこうこのナンバーを付けているクルマも多く、一見普通のセダンに見えてもこのナンバーを装着しているケースも見られ、思っているよりも多くのEV/PHEVが中国では登録されている、ということになりそうです。