
| BMW i8はその効率性を別にしても、そのスタイリングだけでも「買い」だと思う |
これもまた「いつかは手に入れねばならない」一台である
さて、ぼくがときどき欲しくなる中古車が「BMW i8」。
これは2009年にフランクフルト・モーターショーで発表されたコンセプトカー「ヴィジョン・エフィシエント・ダイナミクス(Vision EfficientDynamics)」の市販バージョンで、「エフィシエント・ダイナミクス」そのものは内燃機関(ICE)の燃費を向上させるための技術を集約したBMWの新しいコンセプトを指しています。※映画「ミッション・インポッシブル」シリーズに登場したことでも話題になった
そして2年後の2011年、BMWは「i」ブランドの立ち上げとともにフランクフルト・モーターショーで「i8コンセプト」を発表し、驚くべきことに後の市販化に際しても「ほぼそのまま」のルックスを貫いたことでも知られます(通常、コンセプトカーは市販時には大きくデザインが劣化する)。
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BMW i8は「時代を先取りしすぎていた」
新型BMW i8は、スタイリッシュな2ドアクーペとして登場し、その美しいデザインは多くの人々を魅了することとなるものの、しかし最大の話題となったのは「搭載されるパワートレイン」。
それまでBMWが高性能モデルに搭載してきたV8エンジンではなく、1.5Lターボチャージャー付き3気筒エンジンにエレクトリックモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドが採用され、当時としては革新的であったこのシステムに対し、多くの人が驚きを隠せなかったわけですね。
そしてこの「驚き」はバイヤーにとっての「疑問」に変わったと言ってよく、実際のところ発売直後にはアーリーアダプターが飛びついたものの販売を伸ばすことができず、中古市場では「大幅に価格が下落」するという現象も。
販売そのものは2013年から2020年まで継続されていますが、現時点でもまだ「再評価」というスポットライトが当たらないままで、今でも「そのルックスや性能に比較すると」驚くべき低い価格で入手が可能です。※生産台数が20,465台と「比較的多め」なことも災いしているのかも
システム合計出力は374馬力、フロントホイールをエレクトリックモーターにて駆動する4WDレイアウトを採用し、0-100km/hまでを4.4秒で加速するという性能を誇っており、日本では約2000万円で発売されていますが(フェラーリ458イタリアの2800万円、ランボルギーニ・ガヤルドLP560-4の2500万円よりはかなり安価)、価格やスペックよりも魅力的なのはそのスタイル。
i8のデザインは非常にスタイリッシュで、BMWの社内デザイナーであるブノワ・ジャコブが手掛けており、車高が低く、ワイドで、スポーツカーらしいフォルムを持ち、特にM1(1970年代のBMWの名車)を彷彿とさせるデザインが非常に秀逸。
正面から見ると、細長いグリルとヘッドライトが車のワイドなスタンスを強調しており、フードの大きなエアインテークも目を引きますが、なんといってもハイライトはCピラーのフライングバットレス(空気の流れを整える構造)で、当時としては非常に珍しい「車両の内側を空気が流れる構造」を採用し、まさに「エフィシエント(効率性)」を視覚化したデザインであったと思います。
さらには「スーパーカーらしい」バタフライドアを持っており、スタイリングとしては「申し分ない」クルマであったのですが、なにぶんプラグインハイブリッドカーであったためにEVモードでの航続距離を稼ぐ必要があり(発売当時は37km)、タイヤが非常に細く、これに懸念を示した人も少なくはないもよう。
さらに当時はまだ「プラグインハイブリッド」と「ハイブリッド」「EV」との区別がつかない人も多く、単にパフォーマンス面だけを比較するとポルシェ911カレラS、BMW M6などに比較すると割高であったため、そのコンセプトの素晴らしさや先進性が理解されず、よってBMW i8は「その登場が時代に比較して早すぎた」クルマなのかもしれません。
そしてそのトラウマからなのか、BMWは「電動スポーツカー」に対する興味を失ってしまったようにも見え、いくつか考案されたコンセプトカーも未だ実現しないままに終わっています。
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